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盛者必衰のことわり

力あるものは栄える。しかもその強いやつを止める者がいなければいつまでも力をふるい続ける。強者による支配は延々と続き、周りから搾取してますますその権力が広がる。いつまでも。

そんなことを考えるとあまり強くないぼくとして絶望的な気分になるのだけれど、一方でこの世の中には盛者必衰の理がある。今日は植物の世界でもそのようなことがあることを紹介しようと思う。

その強者は「セイタカアワダチソウ」である。秋になると道路の中央分離帯にめっちゃ生えている黄色い背の高い奴だ。このセイタカアワダチソウというのは、北アメリカ原産の外来種で繁殖力が強い。しかも日本には天敵がいない。イネ、ブタクサ、ススキなどの日本固有種を駆逐してものすごい勢いで繁殖する。まさに強者。止める者はいないのである。二十年くらい前はもうあちこちセイタカアワダチソウだらけだった。
しかし、最近はそんなに見かけない。昔はあれだけはびこっていたのに。

セイタカアワダチソウは根っこから他の植物の育成を阻害する化学物質を出す。それが土壌に広がって他の植物が育たなくなってしまう。けれど、実はこの化学物質、セイタカアワダチソウが繁殖しまくって多量に土壌中に放出してしまうと自家中毒を起こしてしまう。他の植物の生育を妨げるために出しているものが、自分たちに害を及ぼす。具体的には、セイタカアワダチソウ自身の種が生長できなくなってしまうのだ。
一方その化学物質でイネやススキは育ちが悪くなるけれど、種の発芽とかには影響が出ない。

つまり、セイタカアワダチソウが増えてから衰退する流れは

セイタカアワダチソウ、化学物質を出して他の植物の「生育」を妨げる

他の植物が生育しないうちにセイタカアワダチソウが繁殖する

繁殖しまくったセイタカアワダチソウが化学物質をさらに出す。そうするとセイタカアワダチソウの種が発芽できなくなる

セイタカアワダチソウが育たなくなる

他の植物が生育するようになる

という感じだ。
まさに栄枯盛衰。
しかも徳川政権みたいに百年単位で長きにわたって栄えてから滅びる、みたいなのではなく、平家みたいに数十年でめっちゃ繁栄するんだけどそれ以降は続かない様に近い。

国家や組織と同じで、植物もいくら力があって一時期は旺盛になるけれどいずれは衰えてしまう。ただ一種の強者だけが好き勝手に繁殖しまくらないというのは、自然というものはまっことよくできている。

ちなみにセイタカアワダチソウは秋の花粉症の原因としてささやかれていたが、セイタカアワダチソウの花粉は重くて量も少ないので人に害を与える可能性は低い。

さらにちなみに、日本ではセイタカアワダチソウがススキを駆逐してけしからんと思ったりするが、セイタカアワダチソウの原産地アメリカでは日本のススキが侵入して土地を荒らしまくっているそうだ。それを聞くとなんだか複雑である。

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