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バイクの最高速度に意味は無い、本当の速さとは、”風の中に居るライダー” だけが知っている

「このバイク、何キロ出るんだい?」
「メーターは、〇〇キロまでかな。」
「凄いな!怖くないのかい。」

単車乗りなら誰しも経験のある、この類の会話
疑問に思うことなど無かった。
大きな潜在能力に、自分は跨っている、
その可能性だけで優越感に浸れた。

しかし、乗り続ける中で、次第に疑念を抱き始める
こいつは腕時計なんかじゃない
性能を使い切ることなど、到底、不可能だ
街中で出せる上限が決まっているのなら
最高速度など、無意味じゃないか?

いや、きっとそうなのだろう
皆、カタログデータでしか、自分の相棒の“本性”を知らない

スペック上の最高速度など、何の意味も持たない

バイクを降りていく大抵の者たちは、おそらく気にもかけなかっただろう
メーターを振り切れないことへの苦悶
非現実的なスピードへの恐怖
常識をまとい、妥協している己への怒り

許容の限界の低さを、路上の現実の非情さを、
身をもって思い知らされ、矛盾に気づいてしまった
そんな単車乗りたちは、葛藤する
“速さとは何だ“
“基準は、ゴールは、何処にある?“

・・・慌てるな。“速さ”に答えなどない
見つかりっこないさ、足元に気付くまで。
何に跨っている
二輪が二輪であり続ける限り、
所詮、コントロールされた領域でしか操れない。

メーターの指針に惑わされるな
挑戦と無謀を混同するな
後先まで度外視して、出せたスピードに己惚れるな
残された運の、無駄使いに過ぎない

速度に上限は無い、これから先も永遠に

速度とは無限だ、そう、上限は無い
これから先も、永遠に。
ましてや、
はなから未完成な存在の単車に、答えなどあるわけがない
たとえ、指針を振り切れたとしてもだ!
ゴール? 
あるとすれば、それは幕切れのこと
降りるか、乗れなくなるか、の二択しかない。

気付いているんだろう、走ることの素晴らしさを
速度計の隣には、風や、空や、陽射しや、音色や、
そして、感動を示すメーターは無い
“スピード” は、ライドの、数ある魅力のひとつには違いないが
その“物差し”に決まりはない
景色を楽しめる速さ、
気持ちいいと感じる風の上限、
エンジン鼓動の丁度いい回転域、
木々や海のにおいを満喫しながら、様々だ

本当の速さとは、その場面の ”風の中に居る単車乗り” だけが知っている

単車乗りにとって
目に見えるメーター指針は、意味をなさない
本当の速さとは
その場面の“風の中に居る単車乗りだけ”が、
感じられるものだからだ

速度は、風圧に抗うこと、風とは、空気の躍動、
ならば逆風に向かえばいい
嫌でも、速さを肌で痛感できるさ

やり方や感性に速度制限はない
最高速と全速力は違う
自由に楽しめばいいじゃないか
風に溶け込め、駆け抜けろ
そのシーンに一番しっくりくる、
自分が選んだ“全速力”で。

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