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これから福祉タクシーを起業する人へ現役介護タクシー乗務員がお伝えしたい言付け



2019年3月末において、


「介護タクシー 儲かる」

「福祉タクシー 開業」

「介護タクシー 儲かるのか」

「介護タクシー 開業失敗」

「介護タクシー 廃業」

これらのキーワードで1位、もしくは2、3位の検索ページ上位を占めております。サチコ(サーチコンソール)がそう言うておりました。


このユーザーらの検索意図を読み解くと、

『これからこのビジネスを起業しようと思っているんだけれど、なるべく失敗(廃業)しないような心構えを事前に知っておきたい』

『儲からないビジネスと見聞きしたけど一つ二つくらいは儲けているところがあるだろう、その人たちはどうやっている?どこにいる?教えてもらえそうか??』

というものでしょう。



介護タクシー開業論やら営業論とやらで持論を述べた記事も2~3年前の視点に基づいて書き上げたものであり、情報としては古いのですがそれらを〝今の意見〟として認識されるのもなんだかなぁという思いがあり。


いっちょここらで再考察してみようかなと思い、Q&A方式で書き綴っていきましょう。

お役に立てたなら幸いでございます。



介護タクシーってぶっちゃけ儲かるの?

儲かるように(ために)働きかけましょう というしかありませんし、そもそも「儲かる」の定義を、検索者はどのように捉えているのか気になります。

まぁ分かりやすくいえば月収50万とか100万というイメージがいわゆる〝儲かっている経営者〟ということなんでしょう。


結論を言えばそんなに稼げません。

んなわけがありません。



改めていうまでもないことですが、月収とは手取りを指していますから乗務員一人の身体と福祉車両1台でお客様からの予約を受けつけ、

運行と介助を提供してお金を頂くこのビジネスモデルではガンガン稼ぐ(50万とか100万とか)というのは現実的に不可能なのであります。



手取り100万はぜったいありえません、何故なら月収100万を獲得するには月商170万を売り上げないといけないからです。

それじゃあ、50万を個人財布に残すためにはどれだけ売り上げなければいけないかというと月商80万です。


月商80万÷30日= 日商¥26,600ですね。



一般タクシーなら十分可能な日商ですが、

タクシー車両への介助を行い・診察終了のタイミングも読めず・運行中介助中に突然予約が入るこのビジネスモデルでは日商26,600は厳しい数字です。

あくまで平均日商のお話をしております。

稼げるときは日商10万を稼げますがそれは数か月に1度あるか無いかというものです。



先ほどの手取り50万の話に戻ると、月商80万を稼がなければならないと申しました。

この数字をはじき出せる根拠は、私の経営実績から導いたものでして

ガソリン代
車両ローン支払い
事務用品費
任意保険代
雑費
研修費
水道光熱費
通信費
広告費
交際費

これらの経費が売り上げのおよそ60%を占めるということです。

以前とくらべて20%ほど経費が増していますがこれはお客様の快適タクシー乗降につながるカスタマイズをほどこしたことが大きな要因です。

詳しくリサーチしたわけでありませんが、自宅を営業所とする本土の介護タクシー事業者もだいたいこの経費率になるか、50%といったところでしょう。


この経費率を踏まえたうえで一日にどれだけ売り上げられるかなのですが、その日商アップについては以下の要素をふまえたうえでどれだけうまく絡められるかが肝になってきます。

営業所を置く地域(片道20キロ圏内)の支持人口が1000人を超えているか


☑社会福祉法人/NPO運営の「福祉有償運送」が近くにあるのか


☑透析患者送迎・高齢者通院送迎などの「契約送迎事業」ニーズがあるか、掘り起こせそうか、つかめそうか


☑連携室相談員・ケアマネとのコネがあるのか なければ営業力で築き上げられるのか

☑先発組同業者(介護タクシー協会・組合など)の活動状況は、事業者数はどれだけか

☑観光で盛り上がっている地域か これからそうなるのか


これらの要素の絡みぐあいと地域性と営業力次第で日商が¥6,000だったり¥15,000に上がったりするでしょう。



経営はやってみなきゃわからないという側面はありますが、

これらの要素は毎日の売り上げにかかわる非常に重要なポイントなので予備知識として知っておいて損はありません。

というか、こういうこと伝える介護タクシー事業者は私くらいだと思います(笑)


民間救急タクシー(通称:民急タクシー)なら儲かるの?

かいつまんでいえば、1発の移送で10万以上を稼ぐ案件もあるものの毎日依頼はないし医療器材導入・維持費に経費がもっと掛かって看護ケアも行えるスタッフも雇わなきゃならず〝命を運ぶ〟ことの責任は介護タクシー以上、、、

というのが民間救急タクシーです。


まぁ、医療的搬送以外にも通常の介護タクシー依頼にも十分対応できるのですが。


都心部の民急タクシーは5台以上の体制を整えているところが多数を占めます。

つまり、搬送単価が介護タクシーよりも高い民急タクシーを展開するにもどの地域で開業するかが重要で、先発組が地盤を固めているレッドオーシャン地域に乗り込むよりも、民急タクシーが活動していない人口規模11万人以上のエリアで展開するのが実現的です。


まずは地域の消防署に足を運び、民急タクシーがニーズとして求められているかの確認をされた方がいいでしょう。

合わせてこちらのnoteをご覧いただければと思います。

福祉タクシーと民間救急タクシーって何が違う?どっちが儲かるの?



介護タクシーの利益率とは


私の経営実績で言えば5%です。

例えば、その日¥10,000売り上げたとしたら、

60%経費→¥6,000

35%人件費→¥3,500

5%利益→¥500

という内訳になりますね。


利益を上げる視点がなければ経営は続きません。

その日のガソリン代と人件費ぐらい稼げればまぁいいだろう、という考えは事業者自身の行動力を狭めたり集客に対する意識もおろそかになっていずれ予約すらも途絶えてしまうでしょう。


たった5%ですが〝それ〟を積み上げていけば予期せぬ車両トラブルへの修繕費やお客様の快適をさらに約束する福祉機材(車椅子・クッション・補助ステップ)の購入費に充てられるわけです。


そして、ここが大事なのですが、

介護タクシーとはれっきとしたビジネスでありビジネスとは利益をあげることを追求する組織・個人であらねばならず、儲けたお金は社会に還元する視点をも忘れてはならないのです。


つまり、

がっぽり儲けて事業者自身も潤ってズバッと税金払おうぜ!ってことです。


冒頭の「介護タクシーは儲けられるビジネスではない」と矛盾しているように感じるかもしれませんが、利益を生み出しにくいビジネスモデルではあるものの、

安売りせず

もっと儲かるには=お客様に喜んでもらうには

を追求すれば自然と儲かっていくのです。


現実に私も法人を立ち上げ微々たる額ですが法人税を支払えているわけですから。



観光介護タクシーを強みに加えた開業/経営サポートについて各種サポートを充実させていますので、良ければ下記リンク先をのぞいてみてください。

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