ショートショート⑰「ディーディーの死」(235字)

ディーディーが死んでみんな悲しんだ。
しかもあのうす汚ないアパートの階段で
亡き夫のかつらをかぶって死んでいたと聞いてよけい悲しんだ。

みんなありあわせの喪服で集まって
紅茶を飲みながら ディーディーのついた数々のほら話や それがばれた時の話などして泣いた。

帰りぎわ 初めて見るディーディーの孫から
ひとりひとりに大きな紙袋が渡された。

中は卵１パックと アルミホイル１本と
ディーディーお手製のまくらだった。

ディーディーらしいはからいにみんなでまた泣いてバスや電車やバイクで帰った。