見出し画像

【アイマス】日常パートからライブパートへ移行する際に誘発される視点の転換

どうしてアイマスのライブってあんなに感動するの。

その理由を筆者なりに考察します。


アイドルマスターというコンテンツが好き。

アイマスとは、自身がプロデューサーとなってアイドルをプロデュースすることで、彼女らとともに夢へと進んでいくアイドル育成シュミレーションゲーム。今回取り上げるのは、そのアニメシリーズ
個性的なキャラクター・予想不能なストーリー・魅力的な楽曲・プロデューサーたち(我々)の意見を柔軟に受け入れてくれる制作陣…………等々、語る要素はいくらでもある。

その中でもわたしが本レポートのテーマとしたいのがこれ。

『アニメのライブパートで異様に感動してしまうのはなぜか』

以下で、この問いに対する個人的な考察を述べる。



アイマスのアニメに欠かせないのが、何と言ってもライブパート

たいていの場合、ライブパートは話の終盤に設定されている。最終話や、クールごとの終わりということだ。

彼女らの努力や葛藤を一緒に見てきたプロデューサーにとって、その渾身のライブを涙なしには見ることは不可能。アイマスを見る醍醐味と言っても良いだろう。

では、なぜ我々は彼女らのライブを見て感動してしまうのか?

主な理由の一つ目は、前述の通り彼女らのバックグラウンドを知っているということ。

そして二つ目は、アニメーションや楽曲のすごさ

ゲームとはまた違った、アニメーションによって生かされる彼女らの姿に感動を覚えることはもはや必然。制作スタッフのみなさまへの感謝のあまりテレビ画面に向かってひれ伏すことなど日常茶飯事である。

そして三つ目。

考察するに、わたしが彼女らのライブに異様な感動を覚える最大の理由。


それは、カメラに向けられたアイドルたちの視線の延長線上に『わたし』がいることである。


そもそも、アニメの大部分は日常パートで構成されている。

ゲームの場合は自身がプロデューサーであるため一人称の視点でアイドルと接することができるが、アニメにおいてはそれができない。アニメではすでにプロデューサーとしての人物が用意されており、アニメを鑑賞する私たちは誰でもない、いわば神の視点から彼女らの日常を見守ることしかできないのである。


例えば実写映画において、観客に縫い目を意識させることはご法度とされている。縫い目というのはつまりカメラの存在だ。

そのため、そういう演出でない限りは演者がカメラを見据えてはいけないということになっているらしい。もちろん例外はある。

しかしアニメにおいては、その作品が二次元のものであると誰もが了承しているため、アニメを制作した第三者の介入があたりまえに受け入れられている。
よって、アニメ界ではそれほど縫い目の問題が重要ではないのか、実写の映像作品と比べてキャラクターらがカメラに視線を投げかけることが多いように感じる。

しかし、たとえアイドルがカメラに視線を投げかけることがあったとしても、彼女らが見ているのは絶対にわたしたちではない

彼女らとわたしらの間には絶対的な不可視の壁が存在する。観者は観者らしく、彼女らの日常を一方的に見ていることしかできない。

しかし、

その不可視の壁を取り払うことができるのが、ライブパートなのだ


ライブがアニメで描かれるとき、その画面(我々の視界)は必然的にカメラの視点へと変換される。

ライブ会場を縦横無尽に動き回るカメラの存在を無意識に想像し、あたかも自分は実は彼女らと同じ会場にいて、そこに設置される大型スクリーンの映像を見ているのではないかと錯覚するほどの臨場感を覚えはしないだろうか。

さらに、アイマスではステージ上のアイドルだけでなく、会場に詰め掛けたオタクたちの存在まできちんと描かれているということがその現実感を高めている。コールだってある。

こうして自らの感覚がライブ会場へとトリップしたとき、前述の 不可視の壁=縫い目  は完全に取り払われることになる。

つまりこう。

日常パート   → 神の視点
ライブパート  → カメラ = ただのわたしの視点

その結果として、ライブ中にアイドルがカメラ(画面)を見据えたとき、その視線は間違いなく画面のこちら側にいる『おれら』へ向けられていると捉えることができるのだ。

春香

それゆえ、ライブパートを見たときにわたしはこう思う。

「ああ、彼女たちは本当に存在したんだ」と。

その実感が、それまでに見てきた彼女らの努力や葛藤を実体化し、感動を増幅させているのではないだろうか。

そしてこの体験は、アニメを見ていれば誰にでも無条件に機会が与えられるというところが実に巧妙。

我々は無意識に彼女らの実在感を脳裏に焼き付けられた後、何度でもその沼に沈むことになるのだ…………。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?