見出し画像

耳の鍛え方

なんやかんや言って、音は最後は耳から入ってくる。
耳の感度(聴力ではない)が大事。

ボクは、夜学時代に働いていた京都東映撮影所での経験が大きい。
フィルム全盛だった当時は、音と映像は完全に分かれていて、
現場の音、効果音、音楽、ミックス(ダビングと呼ばれていた)は、
録音部の担当であり、撮影所では色んなお仕事をさせてもらったが、
ミックスのアシスタントとして参加させてもらうことが多かった。

ミックスは、音の最終段階の作業であり、フィルムを回しながら、
音楽や効果音をライブで入れてゆく。
ビデオとかなかったし、途中ミスれば、始めからやり直しとなる、
かなり緊張感のある現場であった。
通常、ミックスをするスタッフは、技師の中でも大ベテランであり、
撮影現場で鍛え上げられた経験豊かなスター録音マン。
ボクは20歳そこそこの若輩者であったが、勘と手先の器用さで、
可愛がられ、重宝された。(たぶん)

音と映像が分かれているので、セリフは現場で同時録音するが、
効果音とかは、別でミックス用で用意しなければならない。
音効さんと呼ばれるスタッフが、既存で無い音は自分で作り、
効果音だけのリールにして、ミックスされる。
これがなかなか深い世界で、映像には写っていなくても、
音だけが鳴っている世界を、効果音一つで表現してゆく。
例えば、笑顔でハッピーな映像に、不気味な鳥の声をのせたり…
音一つで、その映像の意味さえ変えてしまう。

そんな現場で、ただ見えているものだけが発する音だけでなく、
見えていない音まで考えるクセをつけてもらえた。
人が普通想像する音を考え、その逆を提案する楽しさや、
映像を盛り上げたり、意味を変えたりする醍醐味を知った。

耳を鍛えるには、ただ何回も聞くのではなく、
そこに意味を見出し、テーマを深く考えながら聞くこと。
ベースだったら、なぜこう弾く?単に手ぐせ?
とかとか。

感度を高める、つまりアンテナの性能を上げる。
感じやすい人は、傷つきやすくもあるけど、
そこで感じたことが、アウトプットに活かされる。
すごい人は、感度が高い。

まずは、同じAmのコードを、
ピアノとギターでどう違うか?
響きを深く感じて、言葉にしてみる。
その曲は、ピアノかギターか、どっちが相応しい?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?