10年以上音楽を続けてやっと家族が応援してくれるようになったって話

先日、仕事終わりに急に1本の電話がきた。
それは兄からの電話だった。兄から電話が来る時は一緒にゲームをする時か、もしくは家族間で何か問題が発生した時くらいしかない。
かかってきた時は仕事中で出ることができなかった。
僕には兄以外には兄弟は姉もいる、3人兄弟なのだが姉も兄のことが昔は怖かったらしい。
兄のイメージは乱暴で柄が悪く、僕の住んでいる地域では酒豪で有名だ。
そんなイメージがある兄は今は普通にゲームをする仲だったとしても心のどこかではやはり怖いというイメージがある。
そんな兄からかかってきた電話に少し抵抗があったが折り返してみた。
しかし電話に出ない。「家族間で何かあったのだろうか?」僕は少し心配な気分になった。

●どんな再生数やどんないいねの数よりも幸福感の高い成果

折り返し電話をしても出なくて、1時間後くらいにLINEが兄からきた。
「お前の曲はすごい!CDでほしい!車で聴きたいから早く送ってくれ!」
という内容だった。僕としては驚きだった。
僕の家計は基本的に音楽をやる人を鼻で笑うような風潮があった。
僕自身もDTMで曲を作っていても「それが金になるのか?」とか「そんなことをしている暇があったらもっと働け」とかそういうことを言われることの方が多かったし、馬鹿にされることのほうがほとんどだった。
「DTM講師になった」という話をしても興味がないどころか「それで評価されるのか?」とか大人が好きなそうな数字とか世間体ばかりを求められることばかりで音楽を続けてかれこれ10年ほど経ったが音楽を真剣にやっている自分を認めてもらえることが今まで一度もなかった
そんな家族の風潮の中で兄から「CDをくれ!」と言われたのは本当に驚きでしかない。わざわざ電話までしてくるのはよっぽど早くCDとして欲しいのだろうなと思う。
音楽をやっている自分を兄が認めてくれた瞬間はどんな再生数やどんないいねの数よりも充実感と幸福感の高い一つの結果として、僕の音楽活動の中の一つの成果になったと感じられる瞬間でもあった。

●心の底から充実感を得ていくためには自分の気持ちに真っ直ぐになるしかない

兄がくれ!と言ったCDはライブの物販や即売会に出したわけではなく手売りや通販のみで200枚近く売れた。作った時は売れても50枚ほどだろうと思っていたが考えていた以上に好評だった。
僕がDTMで最大のライバルだと思っていた人からまさかのDMが届いたこともあった。
当時、そのCDを作った時は一緒に曲を作っていた幼馴染と今までの音楽の技術の全てをぶち込んで誰が聴いてもクオリティが高い!と感じさせてやろうという執念の元に作った曲達が入っている。
ボーカルも僕が尊敬する人で僕自身もファンの一人でもある。
この人に曲を歌ってもらえるならそれだけでも嬉しい、素直にそう思える。
だからこそ僕の音源を聴いてくれ!とそう胸を張って言える
音楽をしている僕を馬鹿にしてきた兄の気持ちを動かすことができたのはきっと胸を張れるクオリティまで詰めていったからかもしれない
もちろんそのクオリティに過信をするつもりもないし、まだまだ満足するつもりもない。
当時はその胸を張れるクオリティに行くまでに自分なりの試行錯誤と挫折を繰り返してきたのも事実の一つでもあった。
社会は試行錯誤や挫折といういわゆるプロセスについては結果が出ないことには評価をすることなんて何一つない。
社会からの評価が欲しい!と望む自分がいたとしたらその望みだけでは試行錯誤や挫折をしてまで苦労するとは今、考えてみても思えない。
年齢として25を超えてくれば時間や労力を使うことを選び始める年齢だとも思う。きっとそこまで時間と労力を使うには社会からの評価を求めるのではなく、好きな音楽で胸を張れるクオリティの物を作りたい。というその一つの想い強かったからなのだと自分で振り返ってみてそう思う。
「これをすれば誰かが評価してくれるだろう」という淡い期待だけではそこまでのエネルギーを生み出すことなど有り得なかったということ。
自分が心の底から充実感を得るためには社会が評価してくれるだろうと予想が付くものでは有り得ない。「自分がやっていることは周りから評価なんてしくれるわけもない」と思っていても本当に自分が好き、とかこれをしたい!と思うことに真っ直ぐに向き合うことができるか、そしてそれを積み重ねることができるのか、しかないのだと思う。
そうでもなければ兄がCDをくれ!と10年もかかって予想していなかったことなど有り得ないのだから。

●おわりに

今後自分が求める充実感のためには社会が求める評価とは違った方向に行くことが増えていくと思う。
実際孤独を感じる時間が基本になると思うのだけどそれでも後悔とかはないと思う。自分の気持ちに真っ直ぐになれなければ心の底から充実感を得られることがないとこの出来事から学んだからこそ。

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