たたり
その日、私はある会社の社長の私邸の警備についていた。親族でパーティをするとのことだった。時間になると高級車が続々と現れた。大型のSUVから4人家族が降りてきた。事前に出席者の顔は覚えているので誰なのかはすぐにわかった。父親の後ろに黒い影があった。嫌な予感がした。父親は禍々しい笑顔を浮かべながら建物に入っていった。銃声がした。悲鳴が続いた。銃声が続く。あの男が撃っているのだと思った。私は銃を構えて銃声のする方に走った。男が見えた。私は男の胸を撃った。男は倒れた。男を含め7人の死体があった。
「どうして6人も射殺した」
「私が撃ったのはSUVで来た男1人だけで、それも守るためにやったことです」
「全部君の弾だった。言い逃れはできんぞ。SUVもなかったよ」
「心の防御機構が働いたのじゃないかしら」
「あなたは羨ましかった。殺したいと思った。そんな自分を認められないから、幻想を作り上げた」
「SUVの男の背後の黒い影は、あなたの悪意の象徴なのです」
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