吹奏楽コンクールにおける録音・撮影の禁止の意味

本日の真相深入り虎ノ門ニュースで経済評論家の上念司氏がこのように発言していました。
当該部分の動画はこちらです。YouTubeが非公開になったので別の所からになります。動画の29分10秒あたりからから始まります。

文字おこし

上念:朝日新聞言わせてもらいますけど、全国のブラスバンドのコンクールの後援やっていますよね。
居島:そうなんですか?
上念:でね、コンクールの時に親ね見に行くでしょ。親御さん。ご親戚の方とか。写真撮影禁止なんですよ。
居島:えー
上念:何でか知っています?
居島:せっかく、自分のね。
上念:晴れ姿写真に撮っちゃいけないんです。北朝鮮ですよ。規制しておいて朝日新聞で全部写真撮ってね、で特別号って感じでこれが皆さんのお手元に届きますのでこの場でご契約をって
大高:せこいやり方して
居島:そんなことしているんですか?
上念:酷いでしょ。契約すると写真届きますって。子ども人質に取った詐欺ですよ。朝日の後援は断ってください。マジで
居島:そんなことまでやって
上念:せこすぎです。
居島:ちんまいことしますね。

ブラスバンドのコンクールなどそもそも存在しない

上念氏の仰っている「全国のブラスバンドのコンクール」を朝日新聞が後援している事は事実ではありません。正確に申せば「全日本吹奏楽コンクール」です。吹奏楽経験者から言わせればブラスバンド=金管バンドという図式になる人も多く、この時点で彼が全国吹奏楽コンクールについて理解をしていない、知識が浅い、一方的なエビデンスによるものではないかと思ってしまいます。重箱の隅をつつくような指摘ですが、吹奏楽コンクールのことを理解しているのかという疑問符が付く内容です。

吹奏楽コンクールにおけるマナー面での基礎知識

小・中・高と8年間吹奏楽を経験した筆者から言わせれば、「上念はんあんた吹奏楽コンクールのみに行ったことありまへんやろ?」といえるものです。
そもそも、エビデンスは保護者からのヒアリングのみ。実際にコンクール会場に足を運んでいるとも思えない。と言う発言です。
会場は暗く、ステージのみ明るい状態です。更に、コンクールでは各団体が演奏をしている間は会場内に入ることも出ることも出来ません。これは演奏者が集中できる環境と他校との同一環境を提供するための配慮と考えます。この点をまず、頭の片隅において考えなければなりません。コンクールなので評価される以前に環境面ではなるべく同一環境が提供されなければフェアな評価は出来ません。

何故、写真撮影はダメなのか

実際、各学校の定期演奏会など撮影OKである演奏会でスマホや携帯電話のカメラを使って写真撮影をするとハレーションを起こして見るに堪えない写真になります。シャッター速度も遅くなれば奏者の動きにより被写体ぶれが生じます。そもそも、シャッター音がします。そんな音がしたら集中できますでしょうか?では、一眼レフカメラではどうかと言えばよほど高感度モードにするかF値の低いレンズをしなければ被写体ぶれをまず起こします。但し、これはストロボを使用しないことを前提にしています。ストロボを使用すればどうなるか。観客席から強い光が発せられる訳なので演奏者の目が眩むこともあり得ます。基本、演奏者は指揮者を見て演奏します。そのため、ストロボによる光で指揮者を見ることが出来なくなったら、演奏は破綻します。特にパーカッションのメンバーがやられたらテンポがめちゃくちゃになってしまいます。これでは演奏者が集中できる環境と他校との同一環境は提供できません。聴衆としてもスマホを高く掲げたらせっかくのステージが見えなくなります。そんな想像力も無いのでしょうか。吹奏楽コンクールは評価される場であり、定期演奏会などの発表する場ではないので主催者側の規約に沿った行動が求められます。

写真を撮影しているのは朝日新聞の記者か?

先の動画では朝日新聞で特集号を組むという発言がされます。全国大会に行けば特集は組まれますが、新聞の写真レベルでは銀塩写真には遠く及ばないクオリティです。しかも、新聞紙の解像度は低いのでスキャンしても使えるかどうかのレベルです。
実際にコンクール会場で撮影しているのはプロの業者さんです。ビデオについても同じです。いかに演奏者に邪魔にならないように写真を撮るかを熟知しています。私もコンクールに出場する度に写真を撮られていますが、全く気がつきません。プロというのはそういうことが出来るからではないでしょうか。因みに、コンクールが終わってしばらくすると写真販売のための見本が届きます。それを見てどの写真を買うかを選ぶのですが、これが1枚800円くらいからだったような。お小遣いの範囲を超えています。だけど、ちゃんとした写真が届きます。

録音・録画はダメなのか。

著作者(作曲者)から録音・録画の許諾を得ていれば話は別です。しかし、全ての参加校がそのようなことをすれば可能という理想論でしかありません。1校でも許諾を得られなければその学校の演奏のみ録音・録画が出来ませんがその統制を誰が取るというのでしょうか。その前に、演奏時間は課題曲と自由曲を合わせて12分以内という規程があります。その間、三脚なしで手ぶれ無く撮影など出来ません。三脚は必須と言えますが、三脚を使用する場合は必然的に他の聴衆に迷惑をかけることになります。ホールの収容人数も限られており椅子が使えなくなるのはマナー違反となります。
録音は隠れてやっている人がいるのは確かですが、隠れて録音するくらい小さい録音機材(特にマイクロフォン)ではまともな録音は出来ません。記録用くらいのレベルです。

そもそも、写真撮影をする時間など無い

吹奏楽コンクールは発表が12分(中小規模だと7分)入替3分でスケジュールが組まれています。演奏中以外はステージは暗転しています。聴衆の役割は写真を撮ることではなくこの12分や7分に込められた各校の演奏を聴くものです。吹奏楽コンクールの流れは次のようなものです。
移動→明転→拍手→演奏→拍手→暗転→移動→集合写真→片付け
これが分刻みで行われています。このどこで写真を撮れと言うのでしょうか。はっきり言って写真撮影する余裕すらないスケジュールで次から次へと演奏がなされます。
唯一、写真を撮れるとしたら演奏終了後の集合写真を撮っている合間くらいではないでしょうか。それも他の出演団体の邪魔になってはいけません。

朝日新聞の勧誘はあるのか

調べた範囲では朝日新聞の記念号外は申し込めば無料配布してくれるようです。そもそも、私が吹奏楽部現役だった20年前はそのような記念号外もありませんでした。時代は変わったなぁと言う感じでしょうか。上念氏が新聞の勧誘になると言うのはその記念号外を申し込んだ名簿から勧誘されると言うことならば話は分かりますが。

結論

上念氏は現場を知らないのでは?
逆に、オフレコの講演会って北朝鮮なのでしょうか。
Twitterでの反応を見ても上念氏に同調する意見を見ますが、実際に吹奏楽コンクールに出場してきた私から言わせれば演奏中の写真撮影や録音・録画は演奏者や聴衆の邪魔にしかならないのではないでしょうか。
個人情報については吹奏楽連盟でどのように使用するかプライバシーポリシーに基づいて使用されています。これに同意できないのであれば吹奏楽コンクールに参加できないのは当然ではないでしょうか。大会申込書には演奏の録音販売については意思表示する部分がある都道府県もありますので。

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