unity1week 共有会 「レあつめ」サウンドの工夫点補足
はじめに
最近、unity1week 共有会 #10 で「サウンドに全振りしたゲームで気を付けたこと」という発表を行いました。
今回の発表では、わかりやすくするためだったり持ち時間の都合で、一部内容を端折った箇所などがありました。
なのでこの記事では、その省いた箇所の補足だったり、より詳細な説明をしていきたいと思います。
発表内容の補足
発表で説明しきれなかったサウンド工夫点
ちょっと専門的な話も出てくるかも
この先、「サウンドに全振りしたゲームで気を付けたこと」の発表を視聴済み前提で話を書いていきます。
まだ共有会の発表を見ていない方は、アーカイブも上がっているのでそちらを先に見ていただけると幸いです!
発表内容の補足
発表で力尽きてしまったので、箇条書きスタイルですがお許しください
unity1weekにおける「サウンドに力を入れる」って何?
過去のunity1weekサウンド部門の上位作品群で、自分が思いつく特徴は以下の通り
サウンド素材が自作
めちゃくちゃいい曲・効果音
肉声ボイス
このうち「自作でめちゃくちゃいい曲・効果音」を毎回用意するのは再現性がない(それができたら苦労しない…)のと、肉声ボイスはゲームジャンルによって向き不向きの問題が。できれば雰囲気重視のゲームにボイスをぶちこみたくない
そうなったときに、「ゲーム仕様にサウンドが食い込んでいるゲーム」だったり「インタラクティブミュージック」という技術的な切り口を考えた
曲の良し悪しという主観的な評価に左右されずに、安定した評価を狙えそう、と思ったため
「無音」の詳細
タイトル画面のBGMはホワイトノイズになっている
さすがにタイトル→メインステージの両方が無音BGMだと、「このゲームBGM間に合わなかったのかな?」という負の印象のほうが大きくなってしまうため
ただ、タイトル画面で普通のBGMを流してしまうと、インタラクティブミュージックで初めて曲が鳴るという感動が薄れる
折衷案として、あえてメロディが一切入っていないただのホワイトノイズを流した
「多軸の遷移」の詳細
BGMの構成は、スーパードンキーコング2 (SFC)の「とげとげタルめいろ」BGMを参考にしている
上の図の通り、序盤静か → 中盤盛り上がる → 後半にドラムが入る → 終盤また静かに戻る という展開
この曲の展開を、インタラクティブミュージックによって再現できないか?という試みからスタート
サックスメロ以外は大まかに真似することができた
サックスメロだけは、どう調整しても上手くなじませることができなかった(実力及ばず)
途中で鳴る系のBGMとメロディラインは、相性が悪かったようだ
また、音符の反射音が自然とメロディラインになると面白いかも、という線も攻めたが、そちらも上手くいかず・・・
反射音はタイミングがバラバラで、音楽的にならなかったので断念
メロディラインそのものを諦めた
ただ、メロディラインを諦めたので、BGMそのものを簡単なループミュージックにすることができた。30秒ほどで先頭に戻るので、どのタイミングで曲が鳴っても割といい感じになっているのではないかと思う
これがイントロ・Aメロ・サビ・・・のような区切りがしっかりしている曲だと相性が悪かった気がする
インタラクティブミュージックで鳴るパートの順番の意識
はっきりしない音から鳴らし、徐々に輪郭のはっきりした音を鳴らす
無音 → パッド → ポコポコ → ベース → ドラム
最初は全貌が見えずふわふわしており、徐々に全体像が見えてくる という演出を意識した
曲においてドラム・ベースというのは曲の骨組みになるもの。なので、その2つが鳴っていない状態は不安定な状態だといえる
序盤のほわーんとポコポコしか鳴っていない状況は、その不安定な状況を再現
「サウンドとリンクする画」の詳細
ライトはURPの2D Lightを使っている
Build-in Pipeline(デフォルト。2DLight非対応)をプロジェクト途中でURPに変更したが、特に深刻な問題は起きなかった
音符に個別のライトを持たせ、ステージ全体を照らす全体ライトも用意している
雰囲気重視のために画面を暗くしたが、画面が見づらくなって難易度が大幅に上がってしまったので緩和するため
コンボ数に応じて、全体ライトの明るさをスクリプト経由で増やす
発表できなかったサウンド取り組み
時間の都合で、発表から除外した工夫点の紹介もします。
音符の効果音を、固有のAudioSourceで音量管理
「音符が反射すると効果音が鳴る」という仕様は、愚直に実装すると反射音がうるさすぎる問題
そこで、「音符の反射音に応じて、音符の反射音のボリュームを下げる」という仕様になっている
音符ごとのボリュームを制御するために、ゲーム全体のSoundManagerとは別に、音符の効果音用SoundManagerを作成し、それを音符オブジェクトに持たせた
別にSoundManagerでなくてもいいが、「固有のAudioSourceを持たせて、各オブジェクト内で音量操作の影響を閉じる」というのが重要そう
この実装はどのゲームジャンルでも活用できそう
いつレが鳴っても調和するBGM
BGMを作ったときに活用した、音楽理論の話
BGMの各パートがDメジャーペンタトニックというスケールの音で成り立っている(その中でもさらにレ・ファ#・ラの3音のみ)
ペンタトニックスケールというのは、雑に説明すると「曲に対して適当にメロディを弾いても不協和音にならない音階」というもの
なので、効果音でレの音を雑に鳴らしても、レはDメジャーペンタトニックの構成音なので心地よく調和する
効果音とBGMの調和という考え方
これは、taroさんの「「管楽のお時間です」を評価してくれた方々へ感謝の正拳突き」という記事が基になっている(ありがとうございました)
戦いは開催前から始まっている(下準備紹介)
前回のunity1week(9月)が終わってから、サウンドに力を入れるために9月~12月でやったことを説明します。
サウンド機材の強化
毎年11月は「ブラックフライデー」と呼ばれる、DTM機材が1年で一番安くなる期間がある
そこで、音楽機材に課金して強化した
買ったもの
モニター用ヘッドホン(YAMAHA HPH-MT8)
オーディオインターフェイス(PreSonus Studio24c)
Vstプラグイン(chipsounds、Total Studio 3.5 MAX など)
上3つからあえて一番重要だったを挙げるとすると、「オーディオインターフェイス」かもしれない(よく「DTMの心臓部」と言われるのを見かける
音楽理論の強化
音楽理論を知らなくてもDTMはできるけど、曲の説得力が段違いになるので知っておいた方がいい気がする
ただ、楽器経験がないまま、音楽理論の本を読むだけじゃ自分は全く身が付かなかったため・・・
楽器経験を持つのが近道だと思う
まずは楽器を買って一人で触るところから
自分は2022年後半から、月2・3回のペースでギター教室へ通い始めた
そこでペンタトニックスケールについて学んだ(↑の「いつレが鳴っても調和するBGM」へとつながる)
#深夜の2時間DTM への連続参加
unity1week、1週間でゲームを作るのはスケジュール的にカツカツで、音素材の作成に割ける時間は正直ほぼない
なので、ひたすらDTM経験を積んで高速に曲を作れるようになるのがよいかもしれない
ということで、深夜の2時間DTM へ3ヵ月ほど集中して打ち込んだ
概要(公式ページより引用):
(週2-3回のペースで開催される)
ただ漠然と無締切でDTMするよりも、完成曲が増えるので良い経験になると思う
あとタグつけるだけで参加者からいいねされるので、モチベーションも上がりやすい
また、出題されるお題のジャンルが広いので、様々なゲームジャンルのBGMを作れるようになるんじゃないかという狙いもあった
まとめ
サウンドの工夫、参考になれば幸いです
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