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ぼっちリモート5周年のコミュニケーション

Herokuというサービスのサポートエンジニアとしてリモートで働き始めて5年が経ちました。その間タイムゾーンをまたいだ同僚と仕事を続けて、疲れにくい非同期での働き方を選べるようになってきました。

ぼっちは非同期の方が働きやすい

サポートエンジニアの主な業務はお客様からの質問に回答することです。Herokuでは内製のウェブアプリケーションで、サポートチケットとして質問を受け取り、やりとりを続けます。このアプリケーションのユーザーインターフェースは、会話を進めながら情報を収集するチャットではなく、ある程度時間をかけて情報をまとめてやりとりするのに最適化されています。サポートエンジニアとしては、お客様の質問から問題の原因について仮説を立てそれを実証するための情報をひととおり集めてまとめて回答するまでの時間的余裕が感じられます。

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通常業務ではこのアプリケーションを通じてお客様やエンジニアと非同期的な会話を続けて行くのですが、サポートについて初期回答までの時間制限の契約のあるお客様からの緊急のサポート依頼に対応する場合には様相が異なります。契約上、最初の回答までの制限時間があるだけではなく、お客様のアプリケーションを、停止して業務に支障の起きている状態から回復するべく、サポートエンジニアとして全力で対応し、サポートチケットは同期的に更新されていきます。

このような経験を続けると、同期的な業務は非同期的な業務と比較して、精神的そして肉体的な負荷が高く、時間的な効率が低いことがわかります。同期的な業務では、自分が作業をしている間の負荷が高いだけではなく、先方からの回答を待つ間に疲労を回復したり情報を整理する機会が少なく、また、進行中のものと無関係な業務を進めることが難しいようです。また、同期的な業務の開始時には、それまで進めていた業務からのコンテキストの切り替えに必要な時間が足りず、再開時に同様の作業が必要になってしまう場合もあります。

筆者のチームはタイムゾーンをまたいでいることもあり、幸いなことに、内製のアプリケーションを含む業務フローは非同期的に進められるように最適化されています。

チャットでもできるだけ非同期的に会話する

このような経験から、同期的な会話のためのチャットでも、筆者はできるだけ非同期的に業務を進められるよう工夫しています。

業務について疑問点や相談したい点がある場合には、できるだけ話題に関連の高いチャンネルで、緊急度に応じてノーティフィケーションの強さを調整して質問し、すぐに回答が必要ではない場合には質問が無視されても気にしないようにしています。ノーティフィケーションの強さは、すぐに回答が必要ではない場合には素の文で、できればすぐに回答が必要な場合にはオンコール担当者に@付きで、緊急の対応が必要な場合にはオンコールへの緊急呼び出しとして、質問することで調整します。

回答側が回答するタイミングを選べるように、必要な情報と詳細情報へのURLを含んだ質問を1行にまとめて発言するようにしています。質問する相手の状況を確認する質問をしてしまうと、先方が回答してから、こちらが質問を書くまで待たせることになってしまいます。

このような質問に回答する側としては、すぐに回答できない質問を無視しても悪く思わないようにしています。他の同僚が回答してくれるかもしれないし、自分の業務が一段落してから回答してもよい。

なお、エンジニアリングチームは1週間にこなすタスクの優先順位を同期的に決める必要があります。その際に不足していた情報に関する質問には同期的に回答することで、優先度の評価ができるだけ正確になるようにしてもらいます。

それでも同期的なビデオ会議が有利な場合もある

インシデントの後には、日程を調整して対応に関係した人を集めてビデオ会議を実施します。この場合にはビデオ会議の獲得目標がはっきりしていて、必要な情報を準備しておけることから、比較的効率的に会話を進めることができます。

いっぽう、上司との1対1の面談のように日時のみが決まっていて話題が不明瞭なビデオ会議も実施します。この場合は、物理的に会っているのと同様、雑談などから必要な内容の会話に進んだり、会話の必要がないことがはっきりして短時間で会議を終わらせたりすることになります。リモートではこのような雑談の機会を意識的に確保する必要がありそうです。

もっと遅延の大きいやりとりに電子メールを使う

オンコールの日程の調整など、タイムゾーンをまたいで同僚とやりとりをしたい場合には、依然電子メールが有利です。同僚の全員がメールを読むまで24時間かかることを念頭にやりとりをします。残念ながら事後にやりとりのURLを取得できないのが欠点です。

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