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5.HSPがもたらした変化

(私自身のHSPについての話です。みなさんに当てはまるお話ではないことをご了承ください。)

HSPを知ることで、私の心の中には大きな変化が起きました。家族や友人たちは私に何の変化も感じてはいないかもしません。でも私の人生にとっては大きな大きな節目となる出来事となりました。

2、3年前からHSPという名前は知っていました。チラッとだけ説明を読んで、これは私のことだ!…とは思っていたんです。

でも詳しく知るのが怖かったのです。
病気の名前かもしれないし、詳しく調べることで自分に何か良くない変化が起きてしまうかもしれない。
漠然とした不安から、いいや、今は詳しくは知らないままでいよう…そんな風に思ってしばらくそのことは考えずにいました。仕事も忙しく、きちんと向き合う余裕もなかったのです。

今年の春、仕事をやめて、のんびりした毎日を過ごすようになって、やっとHSPについて詳細に調べてみるようになりました。

知れば知るほど、これは私のことだ、と確信が持てました。

幼い頃から思い悩んできた、まわりの人と自分の違いが、HSPの特徴として並んでいました。

些細なことを気にして落ち込んだり、細かい部分が気になったり、感受性が強く感傷的、自己評価が低く、他人を優先してしまうゆえに自分の人生が自分のものに思えないような感覚もありました…

そんな私はHSPを知り、あまりに自分に当てはまることに驚くとともに、強い安心を覚えました。

私、心の弱いダメな人間じゃなかったんだ。
しかも1人じゃない。5人に1人同じような感覚で生きている人がいるんだ。
性格が悪いとか、生き方が悪かったわけじゃない、生まれたときからHSPの気質を持って生きてきたというだけだったんだ。

物心ついたころから40年以上になります。自分を責めたり、家族や友人に指摘されたり、先生に叱られたりしてきたことは…HSPの特性によるものだったのです。

そう思えたことで、救われました。

日陰に陽がさしてきて、ほんのりとあたたかく人生の温度が上がったように感じました。

心の中だけでなく、毎日の生活にも変化があらわれました。

恥ずかしながら、結婚してからというもの、夫と言い争いが多く、子どもたちに悲しい思いをさせたことが何度もあります。

言い争いの原因はたいてい考え方の不一致。夫が偏った意見を言い、私がそれに対する自分の考えを述べ、夫がそれを否定する。いつも決まってそんな風でした。

私は、自分からみるとこう思えるし、子どもたちに関してはこう、相手の立場になればこうだし、社会全体にとってはこんな利点もあるけど、こんなマイナス面もあるよね…

いつもそのように自分の意見を述べていました。(今になって振り返ってみるとHSP的な考えだったのでしょう。多角的というか。)
夫はそれに対して、簡単に返事します。お前みたいな馬鹿なこと言うのは世界中に一人もいないぞ!と…

ここにいるよ、少なくとも私が…1人いるよ…と言っても、
いないいない!!いるはずない!!
と言われて、やり取りは終わりです。

夫には私のような人間は奇異に映っていたようです。私はその度に落ち込んだり泣いたりしていました。どんな話題でも、どんな内容の話でも大抵は同じやり取りになってしまっていました。


そんなことがもう20年続いていました。

そして私は自分がHSPだと知ったのです。夫はそのことを知りません。おそらくHSPという言葉も知らないと思います。

HSPについて詳しく調べ、学ぶうちに、夫と言い争うことはほとんどなくなりました。
意見が全く違っていても、私は自分の意見を述べようと思わなくなりました。

HSPと非HSPのものの見かたは違っていて当たり前、すり合わせようとしても合わないのだということをはっきりと知ることができたのです。

私が物事を深く考えるたちで、夫は単純に一方向から考えるたち。
私が自分の考えを言えば言うほど夫はムキになって頑なになる。これでは意見が折り合うことなどありません。

私が自分の意見を言わなくなると、夫も偏った意見を主張することがなくなってきました。

夫婦の間になんとも静かな日常がやってきました。結婚25年目にして手にした平和です。

お互いに相手のことを理解はできていませんし、(特に夫はHSPを知りませんし…)お互いの良いところ良くないところを全て受け入れたというのとも違います…今でもちょこちょこ小さな諍いはあります。

けれども私は、自分はHSPなのだと知ってからは、自分の考えていることをわかってもらおうという気持ちを抑えることができるようになりました。
説明してわかるようなことではないと思うのです。HSPの特異な気質は、非HSPには理解が難しいと思っています。

夫の言っていた、世界中に一人もいないどころか、5人に1人はHSPとわかって安心したためでもあります。


私と同じように、自分の考えていることの伝わりづらさを感じながら、意見を否定されて辛い思いをしてる人が他にもいるだろうと想像できたことで、自分はこういう人間なんです…一緒に暮らす夫婦なんだから理解してほしい、という承認欲求がすーっと消えたのです。

今は平日こそ会話は少ないですが、献立を一緒に考え、買い物にも連れ立って出掛け、カフェに寄ったりスイーツを食べに行ったり…そんな週末を過ごせるようになりました。

HSPであることがわかって、私の生活に起きた良い変化です。

私の経験が、HSPのみなさんが少しでもラクに過ごせるお役にたてれば幸いです。またHSPへの認識にもお役に立てれば嬉しいと思っています。

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