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50年前の約束

今から50年ほど前、200世帯ほどの人間が船に乗り込み大海原へと漕ぎだした。それから四半世紀ほど経ったとき、船の乗組員の数は3000世帯を超え、およそ1万人に到達しようとしていた。

しかし今、その船の乗組員はおよそ7千人ほどにまで減少している。50年前は若く、元気に船を漕いでいた人々ももう80代90代になっている。体力は衰え、船を漕ぐ腕に力が入らない。次世代の若者たちは船を離れ、それぞれの人生を歩んでいる。

船は長年の航海の間、ほとんど修理もせず動いていたためか老朽化が目立つ。アチラコチラに穴が空き、浸水し始めている。このまま放っておけば転覆してしまうのは時間の問題だ。

このまま何もせずただ沈みゆく船と一緒にその時を待つか

船をなんとか修理して漕ぎ続けるか

動力のある新しい船を作り乗り換えるか

このかつて新しかった町は、今、岐路を迎えている。

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