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店長論 第二章⑥

ここの珈琲屋さんが素晴らしすぎた。
人生の財産に今でもなっている学びが3つある。

① 挨拶を全力ですれば喜んでもらえる。全力の限界はまだ越えられる。

この珈琲屋さんは、一杯のコーヒーで人を幸せにできると本気で願って取り組んでいる。
お店の前に立ったお客さまには100%お声がけ。
店内でコーヒーを提供するときのカップの置き方から一言お話する文化までのこだわり。
オーダーを受けた時に全スタッフがお客さまの顔を覚えてどれだけ混んでいても手渡しでその人に渡しにいってお見送りをする。

言葉で書くと簡単なのだが、実際には全然できない。
特に忙しいながらもオーダーしてくれたお客さまの顔を全員覚えるのが全くできなかった。
正直、当時の僕には、これは無理だなと内心決めつけていて、覚えている先輩に、最悪聞けば良いと思って小器用にこなし始めていた。
その様子を見て、ある人が本気で叱ってくれた。
「絶対できます。必ずできるからやって下さい」と。
社外からの研修に来ている僕に、しっかりと叱ってくれるこの人は
いろはを全て教えてくれ、ブラックコーヒーも美味しく感じさせてくれた恩人だ。今でも仲良くさせてもらっている。

② 失敗しても巻き返せる

今までのアパレルブランドでは、ファストファッションでチェーン展開していたこともあり、ミスをしないようにどう工夫するかを徹底的に取り組んできた。
ミスに対して厳しく叱り、イレギュラーを作らないことがチェーン店の満足度をあげることだと信じて、どのお店でも同じサービスを受けられることに重きをおいて取り組んだ。

しかし、この珈琲屋さんはすぐ「できます!」という。
急いでるんだけど間に合うかな?「できます!」
席あいてないのに「もうすぐあきます!」

そして、なぜかちょっと怒っている人たちも笑顔で帰っていく。

オーダーを間違えてしまったとき。オーダーが入っていなかったとき。
新人スタッフがミスをしたときも、試飲を持っていって珈琲の説明を始める。
世間話を始める。

できない理由を考えて断るんではなくて、できる方法を考えて失敗してもよいからがんばる!!これは当時の僕には、本当に衝撃的だった。
最初はできないくせに、できるって言うなよ!とイライラしたのだが、すぐに重要性が分かり、学びに変わっていった。

③ 接客の本質

ここでも今までアパレルでやっていた、受け身の接客との差を痛感した。

概念が180度変わったのだが、ここの珈琲屋さんは、スタッフ目当てにご来店されるお客さまがくることだ。
毎日のようにスタッフに会いに来るのが目的のお客さまがいる。
それぞれのお客さまの好みのコーヒーをしっかり理解していて、迅速にコーヒーを入れたあとは会話する。

本当に一人一人を大切にしているなと感じた瞬間だった。

ヘルプユアセルフという困ったときにお手伝いをするような接客を学んできた僕は、売場の綺麗さ、欠品がない状態、売れ筋が分かりやすく陳列されていることにばかり注力してきた。
客数を増やすことばかり考え、元気な挨拶と笑顔、ハキハキした対応さえ出来ていれば売上は伸びた。接客に深入りさせることはさせずに、いかに作業を効率的にするかばかりであった。だから、常連の方はいたが、僕に会いにくるようなお客さまは一人も作れていなかったのだ。


この3つの学びは、とにかくガムシャラに頑張ってきた僕にとって衝撃的だった。
そして、今でもこの学びは凄く役立っているし、
商売の本質を本当に捉えていると思っている。

さぁ、いよいよ。
新規業態であるコーヒースタンドに向けて
アルバイトスタッフを募集していく段階へ。

飲食店をほとんどやった事がない会社で取り組む珈琲屋はどうなる?

続く

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