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店長論 第二章①

様々な出会いとチャンスに恵まれ、アルバイト入社から約2年半で、正店長職に着任した。

新しく店長生活が始まったのは、開業から3年弱のいわゆる中だるみに陥っている店舗であった。
スタッフの質は非常に高く、開業より高いレベルでの仕事を求められ続けていたとのこと。

実際に着任して接してみても、コミュニケーション力も高く、作業も的確かつスピーディで言うことがない。
なんなら、急速にキャリアアップさせてもらった自分よりも一つ一つの売場での作業が効率的で早い。
しかし、クレームやミスが多く、売上もイマイチ上がっていない状況で、可もなく不可もなく感が強く万永していた。

聞くと、開業当初は、みんなでよーいどん!と始まり、議論をしながら成長してきたという。
実は、僕が影響をもらった尊敬する店長の1人目の人が、開業店長であった。
さすがの店舗作りだった。

その店長が抜け、厳しい社員が抜け、リーダー格のアルバイトが社員となって異動してしまって、ぽっかり感があったのかもしれない。

どこか物足りない空気が漂っていた。

まず僕は、経験、実力ともにリーダー格にも関わらず、リーダーになりきれていないメンバーと徹底的に関わる事から始めた。
僕の目指す店舗作りや方針、想いの共有をし、メンバー自身が何を目指してどうなりたいのか、このお店をどうしたいのかをヒアリングし、議論していった。

また、同時進行で、バックルームを徹底的に整理整頓する事も進めた。
これは、とにかく徹底した。
バックルームに来たスタッフの動きを逐一確認し、呼び止め、
補充時・納品時・レイアウト時に一つ一つ意味を持って動けば
作業のついでの30秒を全員が意識して整理するだけで変わる事を教えた。

実際注力して取り組んだ事はこの二つだけだったが、みるみるうちに、売上が上がり、クレームも無くなった。バックルームも圧倒的に綺麗になった。

もともと質の高いスタッフたちは、楽しそうに課題や弱みをなんなくクリアしていってくれた。

若干25歳の店長にも関わらず、理想論の店舗運営に付いてきてくれ、毎日のように仕事終わりに館の前で缶ビール片手に立ち話で語り合った。フリーターも学生も関係なく、終わったらみんなで語り合うこの文化は、本当に楽しかった。

たぶん、当時の僕の目指す理想の店長像が、この店でさっそく実現出来た。

順調に、こんな日々が半年くらい続いていった時、いつもの声掛けがきた。

新店やってみるか?

続く

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