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店長論 第二章②

売上規模も立地も一等級である施設のリニューアルグランドオープンに向けた新店の店長に抜擢してもらった。

施設の長からは、トップ店長ランクを用意してくれとオーダーされていたらしいのだが、上司は、若い僕を推してくれた。

期待に応えたいと、多少力みがちで異動を引き受け準備に取り掛かった。

僕のほかに社員を3名配属してもらえることになり、
会社から辞令が出る前にさっそくその3人に一人一人アポイントを取って会いにいった。

作りたいお店のビジョン、仲間、君たちにはこうなってほしい。こうあるべきだ。
最初から偉そうに語った。

努力は他人よりしてきたつもりであったが、順調すぎるキャリアアップを積み上げていた僕は今思えば明らかに肩に力が入っていた。
そしてゼロからチームをリーダーとして作り上げたことがない若者は
何度となく、細かいミスを犯して苦労することになる。

ミス① 採用を部下たちに全面的に任せたこと

確かに開業店長は業務が多く、時間を作るのが難しいのだが、変に任せようとしすぎてしまい、少なくとも面接のいろはを伝えるまでは並走すべきであった。
細かな悩みまで聞きだせていないまま採用しており、メンタルケアが必要なスタッフが多かった。
また年齢層やキャラクターもバラバラなスタッフを集めていて、トラブルが多発した。

何より、面接時の動機付けが出来ておらず、前向きな仕事を取り組む覚悟が出来ていない状態から教えなければいけなかった事は苦労した。

ミス② 業務の教え方を細かく擦り合わせしていなかったこと

バラバラの店舗から集まった4人では、取り組んできた背景が違い、レジ動作ひとつ取っても教え方がバラバラとなってしまった。
オープンニングのアルバイトで入った時に自分が一番感じたストレスだったにも関わらずそこまでの準備を怠ってしまっていた。

当然、業務レベルの質が低く、高いレベルで求める僕とのギャップを埋めるまでに相当な時間を要した。

ミス③ アルバイトリーダーの選定に失敗したこと

自分自身がアルバイトリーダーの役職を早くからもらえて取り組めたことが、成長の大きなステップであったことから、過度な期待をしてしまう。
また、選定するのにも、最初のやる気やコミュニケーション力のみで判断してしまい、周りへの思いやりや内側の本質的な所を見抜く時間も取らずにリーダーを決めてしまった。

当然、他のスタッフはそのリーダーについていきたくなくなり、反発が生まれトラブルが頻発するようになる。また、結果論として開業後にスタッフは続々と退職し、要員不足に陥ることになる。


大きくこの3つのミスを犯したリーダーである僕は、
これから相当な苦労をすることとなる。

そして、追い込むかのように、
開業前にさらに苦労の種となる大きな出来事が起こる。


続く

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