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外野席

野球のことじゃなくて、、、、
外側から見るという意味

何かを知らないという事は


決して悪いことではないでしょう
でも、知らない事を知っているというのは
とても大切だと思っています

なぬ?知らない事を知ってるって
どんな日本語?
いや、ほんとに日本語ってニュアンスの言語です
書いてある文字よりもその響きや前後の文脈で
内容を表現していると思うのは私だけかも知れませんが

20代の前半に単身渡米した時は


ロサンゼルスにもアメリカのどこにも
親戚、知人、友人はいませんでした
土地勘もなく一人で空港に降り立ったとき
今夜はどこへ泊まろうかと考えました

今と違ってインターネットも携帯電話も
まだ発明されていない時代
ガイドブックや地図を頼りに
色々なところへ行ったわけです

アメリカで生活してみると


日本そしてその後に住んだシンガポールとは
すべてが違っていました
事あるごとに「日本だったらこんな事はしない」とか
「なんでアメリカ人って郵便物を丁寧に扱わないで
小包などをポイポイ投げるんだ!」なんて
一人でぼやいていました

数年後ふと気が付きました
あ、ここは以前住んでいたところとは
別の世界なんだ
言語も文化も法律も地理的条件も気候も
すべてが違う場所
だからそこの人たちの行動も当然
他の国とは違って当たり前

それに気づいてからは
外野席に座っている自分がいました
外野席からはるか下のほうにある光景を見る
そこには日本列島が見えました

日本に住んでいた頃は普通だったことが


外野席から見ると
なんでそんな事やってるんだろう
なんでそんな事言うんだろう
と???がどんどん浮かんできました

例を挙げると切りがないけれど
たとえばリクルート・スーツ

リクルート・スーツがデビューしたのは


バブル崩壊の後だと聞きました
それまでは学生が就職活動をする時の服装は
カジュアルであって面接にふさわしいもの、、、
みたいな曖昧かつ暗黙のルールでみんなが
なんとなく私服で企業の面接を受けました

リクルート・スーツの流行と定着は
スーツを作っている企業の戦略でした
こんなふうにスーツを着ると
就職に有利ですよと言わんばかりに
メディアを使って生活者にメッセージを送って
就職活動ならリクルート・スーツというイメージを植え付ける

学生も親もなんの疑問も持たずに
アオキや青山に走る
そして全員同じ黒いスーツと申し合わせたような
カバンをもって面接を受ける

めでたく入社してすぐにリクルートスーツは
クローゼットの奥のハンガーにぶら下がり
新社会人はスーツだったり私服だったりと
業種によって異なる服装に変わる

あれ?昨日まで全員真っ黒だったのに
もう誰もリクルートスーツを着ていない!

こんな現象を不思議と思わないのが日本人
いえ、それ自体が悪い事ではないです
なぜだろうという疑問を持つことは大切です
また、なぜ?について会話する事も大切
否定から始めるのではなく
とりあえず「なぜこうなってるの?」を
誰かに聞いてみる

でも、そういう事を良しとしない
不思議な文化を持っている日本人

外野席に長い間いると
その他にもなぜ???って思える事がたくさん

外野席の効力はなんと言っても
遠くから見ることで全体が見える事
あんなところにこんなものがあるとか
自分も過去にあんな考え方をしていたんだとか
気づきがたくさん

外の世界を知ることで
自分が何を知らなかったのかが
見えてくる

専門学校時代に学生にこの事を伝えました
とにかく若いうちに日本ではない場所に
行っていろいろ体験して欲しいと

ジョン万次郎は土佐の漁師だったけれど


14歳で船が遭難し、アメリカの捕鯨船に救助されました
漁師たちはアメリカ本土へは連れて行かれずに
ハワイで降ろされましたが
ジョン万次郎だけがアメリカ本土へ行く事になりました

彼は船長の家族同然にお世話になり、
有名な学校を首席で卒業し
日本へ戻りました

ジョン万次郎の目に写った日本は
彼が知っていた世界とはまったく別のものでした
世界地図でアメリカがどこにあって
どんな広さかを日本人の誰一人として知らなかった時代の事です

まあ、ジョン万次郎の事は書き出すと長くなるから
このあたりにしておいて、、、

知らない事という事を知っている人と
知らない事という事を知らない(気づいていない)人には
大きな差ができる

知らないという事を知っている人は
やがて知る事で視点が変わるかもしれない

そうでない人はそのままで

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