見出し画像

狐と豆腐屋(2)

街の人たちは、とても忙しそうで歩くのが速い。
兎や狸、鹿や猿、熊なんかは全くいなかった。

カラスは田舎と変わらず、たくさんいた。

(たくましいなあ。)と、わたしは彼らを眺めた。

おばあさんから引き継いだ祠には、フード付きの服があった。

(人間に、狐だと悟られないように)

これは、狐界の掟のようなもの。

わたしは、どこに行くにも、
   この服を着て、フードを被ってでかけた。

(つづく)