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晩年
私はソファーです。
家族と人生を共にし、幸せな時をたくさん過ごしてきました。
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子どもが巣立ち、子どもたちの母親も逝ってしまい、この家のあるじは老人となりました。
ソファーである私もしかり。
ある日、私は家の裏の菜園へ運ばれました。
そうして、あるじが畑仕事に疲れた時に、一服する場所となりました。
★ ★ ★
それからまた、時が流れて、
この家に住む人は誰もいなくなりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1717904792592-zekziBCWTf.jpg)
ある日、一羽の鳥が、私の上にふんを落としていきました。
そのふんに、おそらく種が混ざっていたのでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1717908635572-760yZagCjJ.jpg?width=800)
ニョキッ! 背もたれから、何かの植物が生えてきました。
全く自然のたくましさといったら、目を見張るばかりです・・・・。
やがて家は解体され、私も処分されて、
もう彼の地には何も残っていません。
ソファーとしての人生を振り返ってみると、
うんざりしていた昔が一番思い出されます。
子どもたちが、私の上でピョンピョン跳ねていたあの頃がね・・・。