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晩年

私はソファーです。
家族と人生を共にし、幸せな時をたくさん過ごしてきました。

子どもが巣立ち、子どもたちの母親も逝ってしまい、この家のあるじは老人となりました。

ソファーである私もしかり。

ある日、私は家の裏の菜園へ運ばれました。
そうして、あるじが畑仕事に疲れた時に、一服する場所となりました。

★         ★         ★

それからまた、時が流れて、
         この家に住む人は誰もいなくなりました。


ある日、一羽の鳥が、私の上にふんを落としていきました。
そのふんに、おそらく種が混ざっていたのでしょう。


ニョキッ! 背もたれから、何かの植物が生えてきました。
全く自然のたくましさといったら、目を見張るばかりです・・・・。

やがて家は解体され、私も処分されて、
              もう彼の地には何も残っていません。

ソファーとしての人生を振り返ってみると、
         うんざりしていた昔が一番思い出されます。

子どもたちが、私の上でピョンピョン跳ねていたあの頃がね・・・。