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かばん(7)
お届け先につくと、お客様が外に出て待っていてくれた。
「やあ、弟さんだね?よく来てくれました。
おやおや。そちらの皆さんは?」
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お客様は、これまでの経緯を聞いて、面白そうに笑った。
「まさに、事実は小説より奇なりだね。」
そして、かばんが開けられた。
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中には、宇宙のことが書かれた古い希少本が入っていた。
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動物たちは、もしかしたら、おいしい食べ物が入っていて自分たちもお相伴に預かれるのではないかと淡い期待をしていたので、少し拍子抜けした。
お客様は言った。
「君たちがいなければこの本はぼくに届かなかっただろうよ。お礼をさせてもらうよ。ワン君たちには骨付き肉を。猫君にはお頭つきのお魚。ヤギ君、ロバ君には、とびっきりおいしい干し草をあげよう。」
みんなは飛び上がって喜んだ。
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ソラは、自分も宇宙に興味があることを話して、今度ゆっくり会おうと約束をした。
★ ★ ★
「おかえりー。」
店に帰って、ぼくは兄貴に今日の出来事を話した。
「へー、そんな事があったんだね。(書を捨てよ町に出よう)というフレーズがあるけれど、時にはいいものだろう?」
やっぱり、兄貴は企んでいたんだ。
そして、悔しいけれど、兄貴の言う通り、外の世界にもワクワクする出来事がたくさんあるなあと思った。
さあ、読みかけの推理小説を読もう。
ページをめくりながら、ぼくは慣れ親しんだ日常に、
ゆっくりと戻っていった。
(おしまい)