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かばん(2)

古い革のかばんは嫌いじゃないが、実用には向かないと思う。なぜなら、何も入っていなくてもすごく重いから。そこに本が入っている。
なかなかに骨が折れる。

ぼくはインドア派で、家にばかりいる。
推理小説が大好きなのだ。兄貴の店には、おもしろい推理小説がどっさりある。時間があれば読みふけっていたい・・・・。

なのになんだよ。配達頼むなんて。
待てよ?兄貴の忙しさなんて、今にはじまったことではない。
なのに、配達を頼まれたのは今日が初めてだ。
さては何か企んでいる?・・・。

すぐに推理を始めてしまう。頭の思考回路がそうなっている。

それにしても、腕が重い。ダルイ。ちょっと一休みしよう。
トランクを下に置いた。


その時、事件は起こった!


バサバサ!音がしたかと思うと、
大事なかばんは、大きな鳥に持ち去られてしまった!

               (つづく)