ツアー旅行(4)
船は、まるで天体の重力にひっぱられるように、花に近づいていった。
ある程度、近づいた所で魚は言った。
「船は花の中へは行けないのでございます。
ここから、お部屋へはお客様自らダイブしていただく必要があります。」
(もし、落ちたら?・・・)
そんな心配が頭をよぎる。こわい。
けれども、ここで思い切らなければ、私は部屋へ入れないのだ。
(よし!)
覚悟を決めて、私は船から飛び降りた。
漕ぎ過ぎたブランコに乗っているように、体が大きく揺れた。
でも、それは一瞬のことで、私は空中をスーッと進んでいた。
自分で何もしなくても、花が導いてくれるようだった。
(つづく)