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空を見るだけの1日(3)

1日おひとりさま限定のアートギャラリーは、山奥の変電所跡。私はギャラリーで、窓枠に切り取られた絵画のような空を見る。

これまでのあらすじ


こんなふうに空を見る。なんて贅沢な時間だろう。

そよぐ風。川の水が流れる音。鳥も鳴いている。
                 鼻腔をくすぐる花の香。

いつも私は、何かに追われている。
あれしなきゃ、これしなきゃ。車の音。サイレン。テレビから流れてくる醜悪かつ陰惨な事件。タバコの煙。怒鳴声。バラエティー番組の空虚な笑い。音や煙からは逃れるすべがない。真夜中、やっと手に入れた静かな時間。でもなにかしようと思っても睡魔が・・・・。そして目覚めるとまた1日が始まる。

人との繋がりが多ければ多いほど忙しさが増す。若い時よりも適応しているし、よい意味で鈍感になり少しのことでは動じない自分に驚いている。でも、こうして日常を離れて一人になってみると、心底ホッとして寛いでいる自分がいる。

                (つづく)