見出し画像

青い電車


夕暮れ時、弟と手をつないで歩いていると、
向こうのほうから電車が走って来た。

幻燈みたいな青い車体。

電車の後ろには、走行時に起こる風に吹かれて、
青い花吹雪がスーッと一筋続いていた。

電車が走り過ぎると、花々は、散り散りに飛ばされていくのだった。

電車の後ろ姿はどんどん小さくなって、やがて見えなくなった。

夕暮れ時、周りには家路を急ぐ人たちが沢山いたが
             だれも電車に気づかないようだった。

私たちも帰ろうとあゆみを進めると、
     前を行くお姉さんのハンドバッグの上に、
            小さな青い花が ちょこん と乗っていた。