見出し画像

冬推し

 冬の王子が行く先々で、人々は寒さに身を震わせ、降り積もる雪をうらめしそうに見つめます。春を待ちわびる人はいても、冬がずっと続いてほしいと願う人はそういないのです。

「どうせ、ぼくはみんなに嫌われる厄介者さ・・・・。」

王子が拗ねていると、雪うさぎが言いました。



「いやいや、冬のよさもありますよ。

  1,大地が浄化される。
  2,ウインタースポーツが楽しめる。
  3,雪の下で甘みを増す野菜がある。
  4,寒いと雑菌が増えないので、おいしいお酒を仕込むことができる。
          
          まだまだ、たくさんありますが、どうですか? 」

「うーん。そうだね。でも、ぼく、
          春のように、もっと愛されたいんだよ・・・。」

「そうですねえ・・・。」

その後、雪うさぎはスマホを取り出してゴソゴソ・・・・。
            しばらくすると、着信音が鳴りました。


「あっ、(チーム★冬推し)の皆さんから、メッセージが届きましたよ。」

 クールな冬の王子の口角がちょっと上がったのを、
                  雪うさぎは見逃しませんでした。

「じゃ、わたしはこれで・・・。」  

 雪うさぎがいなくなった後、
          王子はそっと自分のスマホを取り出しました。