黒うさぎのミミ
黒うさぎのミミは悩んでいました。
音がよく聴こえすぎるのです。
どのくらい聴こえるかというと
1㎞先に住んでいる子どもが
小さな人差し指で、
おもちゃのピアノをポロンと鳴らした音が聴こえるくらい。
音、音、音・・・・。
ミミの周囲には、いつも音が溢れていました。
特にこわいのは、携帯電話のブーブーっと鳴る音です。
あれを聴く度に、こわくてビクッとなってしまうのです。
★ ★ ★
そんなミミのもとへ、ある日、こんな話が舞い込んできました。
『ここは、大きな音は厳禁です。
なぜなら、大きな音をたてると居場所が分かってしまうから。
話す時も、みんなヒソヒソ声です。
逆に、何かを見つける能力は必要で、
あなたの過敏な聴力は、役に立つかもしれません。
我々の所へ来ませんか?』
実際、中に入ってみると、
なるほど、そこはとても静かで居心地がよい場所でした。
こうして、黒ウサギのミミは「潜水艦のミミ」になりました。