「いぶし銀」と「ロイヤル」が共存する男役だった惟吹優羽~ #宙組はみんな最高
宙組の舞台をいつも彩ってくれた男役・惟吹優羽。
私にとっても、宙組の長い歴史の1ページにおいても、こんなにも素晴らしい男役が居た。その事をこの場に記したいと思う。
私はたびたび彼を「いぶし銀ロイヤルプリンス」と呼んでいた。
「いぶし銀」と「ロイヤル」と言う言葉は本来相反するものだが、男役・惟吹優羽はそのどちらも持ち合わせている稀有な存在だったと思う。人懐っこい優しい顔立ちに、恵まれたプロポーションで繰り広げられる圧巻のダンス。お芝居では悪役から渋い男役芝居もこなす
私が宙組を好きになった頃の最下級生だった101期が、新人公演を卒業し中堅どころとなった。同期それぞれに持ち味が出て来て、鷹翔千空さんは初のバウホール主演が決まった。真名瀬みらさんは繊細さだけでなく男役としての逞しさが出て来て見ていて安心するし、雪輝れんやさんの強烈な目力はインパクト大。圧倒的な美と存在感の水音志保さん、娘役の頼れるお姉さんになった湖々さくらさん…とそれぞれが「宙組になくてはならないもの」を兼ね備えて舞台を支えている。
その中で、いっぷーも一層その個性を発揮して宙組を支えていくんだろう…と思った矢先の退団だったので、ちょっと寂しいなと思いつつも、下級生の頃から無くてはならない活躍を見せてくれていたな~と思い返す。
個人的なエピソードだけど「初めて人前で喋る」いっぷーは女の子そのもので、喋る時に緊張し過ぎてマイクを両手でがっつりと握っていたらちょっとドSな上級生さんに「片手で持とうか?」といじられアタフタ…そう言う事する先輩って春瀬央季って人なんですけど(笑)(同じ公演の別の日に甲高い声で「初めて人前で喋ります!」と言ったのが雪輝れんやだったのも懐かしい)
まだあどけない、優しい顔立ちの女の子の今日までの姿をずーっと見て来た。
下級生の頃から知っているよしみもあるし、いっぷーだけは毎回目につくんだよね。下級生時代から新人公演は専科さん組長の役も板に付くし、別箱では悪役や渋い役もこなす。悪役でも同期の雪輝れんやとはまた違う持ち味で、彼女にしか持ちえない温かみや貫禄を持っていた。(れんやはとにかくアクが強い)(そこが好き)
ショーでは大体ダンスの場面には出ている印象。小顔で手足が長いと言う生粋の宙組生そのものを具現化したスタイル。シルエットだけでも美しく魅せるし、娘役さんをエスコートする姿はまさに王子様そのもの。ふりふりの衣装がやたらと似合う。HiGH&LOWの超絶アクロバティックな動きにだって難なくこなす、何ならあんなハードなダンスでエレガントさまで残しているんだから凄いや。
お芝居からは「いぶし銀」の男役芸を見せてくれて、ショーでは「宙組DNAをこれでもかと感じるロイヤルプリンス」であった。通常どちらかが色濃く出るけど、両方の個性を持っている男役さんってなかなか居ないと思う。上級生になって学年を重ねた故の渋さ、みたいなものではなく、いっぷーは最初からそうだった。
惟吹優羽。
私にとって、この先もずーっと忘れられない特別な男役さんだ。
初舞台から見ていたいっぷーをお見送りする今のお気持ちが表れてるかのようですね。お顔から滲み出る優しそうな人柄、誠実に舞台と向き合う姿、宙組男子らしいチャラさ!素敵な男役さんに出会えて幸せですよね。退団後のご活躍をお祈りしています!