「誰かのNo.1であり特別なOnly one」琥南まことさんの卒業に寄せて~#宙組はみんな最高
「No.1にならなくていい、もともと特別なOnly one」
と、言う歌詞があるが、タカラジェンヌはどの生徒だって「誰かのNo.1であり特別なOnly one」退団公演に挑む琥南まことを見る度に思う言葉だった。
琥南まこと。私の中では宙組のフェアリー枠。少女漫画のようなビジュアルに中性的な顔立ちに長い手足。そう言うタイプの男役は何人かいるが、不思議と上級生の誰かとも個性が被る事が無い。正直、この作品のこの役!と言う強い印象に残るタイプではないし、セリフの多い役と言う印象も少なかったけれども。シルエットが綺麗であの顔立ちは何だかんだで目立つ。あまり漢漢していないのが宙組のカラーに合っていたし、ショーでのアピール力に長けていた。お芝居のイメージよりショーの印象が強かったが、最近の作品ではカルトワインなど上級生男役の個性を出して来た…と、感じていた。
その独特の存在感、何故か私の周囲には彼女のコアなファンがちらほらと居て一度琥南まことの虜になるとどっぷりとその沼にハマる人が多かった。彼女のファンでなくても宙組ファンであるならば何かと気にしていたし話題にはよくあがった。学年が上がるにつれて立ち位置も変わったし客席で知られる事も増えた。最近では宙組ファン同士で「琥南も立派になったよねぇ」なんて事を言い合ったりもしていた(笑) みんな何だかんだで琥南まことを気にかける。そんな存在だった。
何だかんだ、琥南まことはいつだってずっと宙組にいて独特の彩りを添えてくれた存在だ。新公を全うし充実の中愛されて去っていく今の姿を見て思う。
個性派揃いの宙組100期生。男役は比較的中性的なキャラクターが被り気味でもあった。その中でそれぞれが個性を発揮し、一人はその身体能力の高さで活躍し一人は娘役転向。3人3様に切磋琢磨して今の姿がある。琥南君だってきっと最初の頃は迷ってたのかな。でもいつだって「琥南まことは琥南まことだよ」とコツコツと舞台に向き合っていたし、いつしか「私は私の男役像がある」と言わんばかりの存在感が出て来た。これからもっと男役として面白くなりそうだなぁ~と思ったその矢先の退団なのでビックリしたけれども、逆に彼女の中で「私の男役像」に出会えたからなのかなとも思う。
これって特に下級生ファンにはあるあるだと思うけど、応援して信じたタカラジェンヌが何処へ進もうとするのか。同期達の活躍を気にするし下級生の役付きの良さや活躍にヤキモキする。この作品の出番が少ないセリフが無い。「ただ好きで応援しているだけ」と言う建前だけではない。好きな人にできるだけ活躍して欲しいと言う本音。そんな中でファンは彼女を信じて応援して来たし、彼女なりの男役のアンサーを出して卒業していく。ファンの求めるものはそれぞれ違うし色んな思いがあるだろうけれども。
新公を全うして退団公演の今を見ていると、五組400人以上在籍する中で宙組の琥南まことに出会えるって凄い確率なんだと思っている。出会えた事が奇跡だと。きっとみんなの中の「琥南まこととは?」はあると思うので聞かせていただきたいし、いち宙組ファンとしては「みんな何だかんだで琥南まことを愛してたんだよ!」と言いたい。名前が分からなくてもあの顔のキレイな人ぐらいには気に掛けていたし愛してたと思う。
どんなタカラジェンヌだって「ナンバーワンでオンリーワン」である。
いつだって「琥南まことは琥南まことだよ」とコツコツと舞台に向き合っていられたのは、この広い宝塚歌劇団と言う宇宙の中、何百分の一の確率で出会えたファンの存在だろう。
卒業に向け充実した表情からは「多くの愛を受けた」と言わんばかりに見えた。その感謝の思いがにじみ出ていて「もともと特別なオンリーワン」と言う言葉を浮かべて涙が出そうになった。私だって琥南まことが居た宙組を観られて嬉しかった。最後まで愛を沢山感じながら宙組の舞台を楽しんで欲しい。ファンの皆様におかれましても、あなたの中の唯一無二の大好きな人に出会えた幸せを感じながら最後まで共に過ごして頂けたらと思う。