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『妖花迷宮』終演に寄せて〜「燐光姫」

2019/4/23~28

ヅカ★ガール御披露目公演『妖花迷宮』

終演に寄せて。

《華の章》《凜の章》そして「燐光姫・華/凜」に関してつらつら書きました。主に、今回各々の章で主演を務めて下さった女優陣について。

今作はプライベート★ミューズ制度発足記念公演ということで、全編全キャラクターをほぼ役者への宛て書きでつくりあげました。物語やキャラクターが生まれた経緯や配役のポイント等、飯塚の視点からみたプライベート★ミューズ陣の魅力を中心に書き残していきたく思います。

《華・凜の章》「燐光姫」

片山一人芝居withミューズズの朗読という、他の作品とは一風変わった見せ方で作りました。

当初から5分程度の超短編にすることは決めていたので、その中で如何に輝き如何に散らせるか、ということに腐心しました……

「あなたはわたしを見つけてくれる?」とか「お前に私の命をあげよう」とか、(私的に)パンチ力のある台詞で固めた仕様です。とても気に入っています。

「環」という漢字は「生と死を繋ぐ」「魂は巡り来る」と言った中国の神話から出来たとても素敵な言葉ですので、その言葉のイメージを中心に、手塚治虫の火の鳥的な味付けで描きました。神話が描かれた飛び出す絵本のような雰囲気で。

歩美さんの指先から足先まで情感豊かな振付は全て彼女自身が作り上げたものです。しかも超超超短期間で!

なのであのお話に至っては、最早演出片山歩美と言う表記にしても過言ではないと思います。

時間軸的にはこれは『妖花迷宮』本編よりも過去にあたる話なので、話の順番としてわかり難いとも言う意見もちらほらいただきました……しかし作品的には「燐光姫」を最後に持ってきたほうが絶対的に美しいので、こう言った美意識をもっと強固にするには如何にしようかなぁ……と考えるきっかけにもなった作品だったりします。

◆片山歩美……《華・凜の章》環役

プライベート★ミューズ兼劇団員である歩美さん。生きて動いているだけで絵になる人。花が咲くように舞台に立ち、肉体そのものを芸術作品にでき得る役者。

歩美さんに托した環というキャラクターは、簡単に言えば人間と妖怪(妖狐)が合体して生まれた存在であり、男でも女でもなくしかしそのどちらでもありそうで、古物商であり妖明かしであり。皆様ご存知京極堂、ギンコ、薬売り、壱原侑子古くはシャーロック等等を下敷きに生み出した人物です。

物語から物語へ(または浮世から常世へ)行き来する役割を担った探偵的キャラクターへの浪漫と憧憬を詰め込みました。

歩美さんは物語の渦中(中心)に在る登場人物(主演、ヒロイン等)を演じることが多い方だったのですが、この度はそのイメージを一新しようと挑戦していただきました。

また彼女が得意とする女性的で優美な面を敢えて封印して演じて貰うことにより、より深化した妖しさ・美しさを湛えたイケメン片山をお見せすることが出来たのではないでしょうか。と自負しておきます。

彼女の飯塚作品に於ける「身体」と「真意」を汲み取る能力はまさに天賦の才です!

「美しい接吻」は勿論「美しく概念化された性交渉」から「美しい首の掲げ方」まで。台本の裏側に流れる真理を汲み上げて所作・振付に反映し、肉体に表す。いつも私の想像を超えた絵を提示してくれます。

余談ですが、ヅカ★ガールという場所が、彼女が芸劇や新国立やコクーンに立つ為の足がかりの一部になったら良いな。というのが、劇団入りしてもらった理由の一つでもあります。常に高みを目指す姿が、とても頼もしく頼れる方です。


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