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『妖花迷宮』終演に寄せて〜《華の章》

2019/4/23~28

ヅカ★ガール御披露目公演『妖花迷宮』

終演に寄せて。《華の章》《凜の章》そして「燐光姫・華/凜」に関してつらつら書きました。主に、今回各々の章で主演を務めて下さった女優陣について。

今作はプライベート★ミューズ制度発足記念公演ということで、全編全キャラクターをほぼ役者への宛て書きでつくりあげました。物語やキャラクターが生まれた経緯や配役のポイント等、飯塚の視点からみたプライベート★ミューズ陣の魅力を中心に書き残していきたく思います。

《華の章》(月暈/花ノ怪)

満月とのっぺらぼう。という取り合わせは大学時代に初めて書いた戯曲でも登場するモチーフでして、以来「顔」「お面」「自己」と言う題材は私が作劇する上での永遠のテーマの一つになっております。

今作では、顔がないから面を集めるのっぺらぼう。という連想から“お面屋”という怪異が生まれ。そして『妖花迷宮』は春をテーマにした作品でしたので、やはりここは満開の桜の下に渦巻く“あの”感じ。圧倒的な美と静寂。安直に言ってしまえば坂口安吾感。を絡めていきたい。

そこに結崎あゆ花と来栖梨紗を主演にするとくれば、女と女が男の屍体を埋める話が美しかろう。と。

そうして「月暈」「花ノ怪」から成る美と狂気に満ちた《華の章》は出来たのでした。

◆結崎あゆ花……小町美乃役(画像右)

彼女がサディストを演じる姿を見てみたいというのが小町美乃が生まれた切欠です。

あゆ花が初めてヅカ★ガールに出演した、2017年秘言公演「卍珠沙華」(谷崎潤一郎の「卍」を原作にしたもの)の稽古時に徳光光子の台詞を読んでもらったのですが(ヅカ★ガールでは相手役の台詞を読むという稽古をよくやります)、その際瞳を輝かせて生き生きと演じる姿が印象に残り、いつか奔放で嗜虐的な女を演じて貰おうと懐であたためていたのでした。

小町美乃は執筆初期は「春琴抄」の春子のような女にしようと考え、盲目にする案もあったのですが物語と噛み合わなくなってしまったので断念しました。

「小町」という名前の「女優」というアイコンの強烈さ、種が明かされていくにつれて複雑さと繊細さを露呈していく過程、巧みな流し目技術と芯のある声の芝居で丁寧に演じ上げてくれたと思います。どんな表情もどんな声もハッとする艶やかさがあるんですよね。あゆ花の一番好きなところは瞳の色です。芝居に熱が入ってくると、柔和な面差しが一変し、瞳の奥に炎が燃え上がって見えます。

◆来栖梨紗……柴崎月子役(画像左)

はかららずしも、非常に主人公的役割を担うキャラクターになった柴崎月子。

りさはハンター×ハンターの念能力で例えたら放出系の役を演じることが多い(私見)のですが、実は強化系の素養もあるんじゃないかな?と思って宛て書きました。

彼女は内なる狂気を絶妙なバランスで飼い慣らしては爆発させることが出来るよい役者だなぁといつも感服しているのですが。

月子の様に正気の面を引っ繰り返した裏側に狂気が渦を巻いているような(見方によっては平凡とも言える)人物を演じさせたら新し面白いのではないのかしらんと……事実、りさの更なる可能性を感じさせる良い配役になったのではないでしょうか。と自負しておきます。彼女はどんなキャラクターも我がものにするガッツがあるので、演らせ甲斐があります。

私はりさの愚直さというか、生真面目さというか、演劇に対し飽くなき情熱を傾けているところがとても好きです。あと身長がとても可愛くて好き。

アドリブは苦手と言いながらも、舞台上でちょっとしたハプニングが起きた際に即座に対応する肝っ玉が育ってきていたということが(今回の本番中に)明らかになるという場面も……!期待の成長株ですね。



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