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バイトで新しく入った子と体験した恐怖

※(この話は、実際に体験した方の話を基にフィクションを混ぜて作成しています。)


これは、昔私が居酒屋でバイトしていた時の話です。

当時私は大学生で遊びのためのお金が欲しくて、講義がない日にはその居酒屋のバイトをしてそのお金を稼いでいました。


当時からその地元では人気店だった為、バイトを始めてからはその業務の多忙っぷりに圧倒されていました。

けど給料が当時としては物凄く良かったのもあって、なんとか食らいついて働いていました。


おかげで貯金はかなり溜まり、仕事にも慣れてくるとバイト先の先輩や同期とも仲が深まりバイトがある日が楽しみになっていました。


そしてバイトを始めてから4ヶ月後、新しい子がバイトとして店に入ってきたんです。


?:今日からお世話になります、筒井あやめです。



それまでその居酒屋では女子がいなかったらしく、あやめちゃんがバイトに入ってきた時はそれはもう皆して話題になっていました。


それから、あやめちゃんとシフトが初めて重なった時がありました。


あやめ:お疲れ様です、宮本先輩。今日はよろしくお願いします。

〇〇:よろしくね、筒井さん。

〇〇:今日もお客さんたくさん来そうだね〜

あやめ:ですね。

あやめ:ちょっと緊張してます。

〇〇:大丈夫だよ、ここの常連さんたちみんな優しいし。それに何かあったら、俺に聞いてくれれば良いからさ。

あやめ:ふふ、ありがとうございます。


それから勤務開始になり、私とあやめちゃんは注文を受け取ったり料理を運んだり、帰った客のテーブルの食器類を片付けたりなどして忙しくしていました。


初めてのあやめちゃんとの勤務でしたが、

特にこれといった失敗も起きず、

それどころか度々客たちにあやめちゃんが誉めている姿が見られ、

見ていてこちらがほっこりしていました。


あやめ:はぁ〜、今日はすごく疲れました。

〇〇:お疲れ様。筒井さん、今日お客さんたちに凄く誉められていたね。

あやめ:いやぁ、恐縮です。

〇〇:ふふ、そんな畏まらなくて良いのに。

あやめ:宮本先輩のおかげですよ。

あやめ:先輩と一緒だったから、今日頑張れたんです。

〇〇:そんな大袈裟な、俺なんか大したことしてないし。


あやめ:そんなことないですよ、私がわからないこと宮本先輩が丁寧に教えてくれてましたよ?

あやめ:いつもだと、他の先輩に聞いても「あ、良いよ。俺がやっておくから」って言われて…

あやめ:なんか私お荷物なのかなって思って、自信無かったんですよね…

〇〇:そっか…

〇〇:でも、多分ね皆んな筒井さんに気遣ったんだと思うよ。ほら、この店では初めての女の子だし、無理はさせられないって思ったんじゃないかな。

〇〇:でも今日の筒井さん見てたら、そんな気遣う必要なさそうだけどね。凄く生き生きしていたし、なんなら俺よりお客さんに人気ありそうだし。

あやめ:いやそんな…でも、嬉しいです。そう言ってもらえて。




それからあやめちゃんとシフトが重なる度に、徐々にお互い仲を深めていきました。


あやめ:はぁ〜、今日も疲れましたね〜〇〇さん。

〇〇:そうだね、あやめちゃん。

いつの間にか、お互い名前で呼び合う程になって、

あやめ:あ、今日も一緒に帰りましょ?

〇〇:うん、もちろん。

帰り道をともにするようになっていました。


あやめ:あ、これ気になってたんですよね〜

〇〇:ん?ああ、抹茶ケーキか。

あやめ:でも夜ってちょっと罪悪感感じません?

〇〇:あ〜、分かる。ちょっとね。

〇〇:でも、今日だけ食べちゃえば?

あやめ:んふふ、そうします?笑

そう言って、コンビニのスイーツを買っては二人で仕事後の至福の時を味わったりして…


このバイト始めて良かったな〜


そう思ってました。

あの店で、僕とあやめちゃんがあの恐ろしい出来事に遭うまでは…




〇〇:お待たせしましたー、生5つです!

客:おお、ありがとー!みやっち。

〇〇:あとつまみ、すぐ持ってきますね。

客:あいよ〜


ある日、いつも通り常連さんの注文した生ジョッキを運んでいて、つまみを提供しに厨房に戻った時のことでした。


〇〇:お、あやめちゃん。そのつまみ出しに行くね。

あやめ:あ、はい…

〇〇:ん?

その時、珍しくあやめちゃんの表情が暗かったんです。

〇〇:大丈夫?

あやめ:え?

〇〇:具合とか、悪くない?

あやめ:い、いえ…あ、これ。

〇〇:あ、ありがと。

忙しかったのもあり詳しくは聞かず、あやめちゃんから渡されたつまみの乗った皿たちをお盆に乗せて、常連さんたちのテーブルに運んでいきました。



〇〇:ふ〜、疲れた〜

制服から着替えて普段着になると、更衣室のドアが開けられてあやめちゃんがさっきの暗い表情のまま入ってきたんです。

〇〇:あっ。

あやめ:あっ、ご、ごめんなさい!

〇〇:あ、いや…平気だよ。丁度着替え終わったし。

あやめ:そう、ですか…

〇〇:何かあったよね?

気になってあやめちゃんに聞いてみると、彼女が小さく頷きました。



あやめ:その…ちょっと不気味な子どもがいたんです。

〇〇:え?

あやめ:私が注文を受け取ったお客さんたち畳の個室、あそこの隅で立ってこっちをジッと見つめてくる小さい女の子がいて…

〇〇:な、なるほど…

確かに話を聞いて想像してみると、不気味な気はしました。

〇〇:それは、ちょっと怖いね…

あやめ:はい…

〇〇:でも良かった、あやめちゃんがどこか具合悪くなったとかじゃなくて。



こんな夜遅くまで親に付き合わされている子がいるなんてとあやめちゃんが話していたその子を不憫に思いながらも、その後店を閉めて二人で一緒にいつも通り帰りました。




それから3日後。


店で畳の個室で予約を取っていた客たちの注文を取っていた時のことでした。


〇〇:ハイボール4つと、生5つ。枝豆4皿、唐揚げ3皿、焼き鳥塩だれ4本、砂肝5本。ご注文は以上で宜しいでしょうか?

?:はい、大丈夫です。

〇〇:かしこまりました。それではお持ちしますので、お待ちください。


注文を確認して、正座していた足を伸ばして立ち上がったとき、


〇〇:!?


部屋の隅に、小さな少女が立っていてこちらをジッと見ていたんです。


驚いて一瞬体がビクッとなりましたが、すぐ注文を厨房に伝えなければならなかったので、すぐ部屋を出て厨房に向かいました。


数分後、注文されたものをその個室に届けに行こうとした時、

途中で私の横を先ほど個室で見た少女が通り過ぎていき、

そのままその畳の個室に入って行ったのを見たんです。


そして、個室に到着して注文されたものを提供して部屋を出ようとした時、違和感に気づきました。






〇〇:(あの子、どこだ!?)


確かに先ほど、少女がその畳の個室に入っていくのを見ました。

それから、一度もその部屋から出てくるところは見てないんです。

けど、その個室を出て行こうとした時、



どこを見ても、その少女は部屋では見当たらなかったんです。


子どもだからもしかしたらテーブルの下にでも隠れたのかもと思い、チラッとテーブルの下も確認したのですが、


当然テーブルの下には大人たちの寛いでいる足しかありませんでした。


その時、確信したんです。


あの少女、この世のものではないと…




あやめ:あ、〇〇さんお疲れさまです。

更衣室で着替え終わったあやめちゃんと会うも、

〇〇:お、お疲れさま…

あやめ:どうかしたんですか?

〇〇:え?

〇〇:いやぁ、別に何も。平気だよ。


あやめ:そうですか、なら良いんですけど。

〇〇:うん。



あやめちゃんにはその時、畳の個室の少女の話はしませんでした。

私が見た少女が通り過ぎて入っていったその個室、その個室は前にあやめちゃんが見た不気味な子を見た部屋と全く同じ場所で、

その部屋で自分が少女の幽霊を見たなど話せば、あやめちゃんが不安になると思ったからです。


その気遣いが無駄になることも知らずに…





1週間後。


あやめ:ふ〜、今日も大繁盛でしたね〜

〇〇:ふふ、そうだね。

お互いこの店で恐怖を味わったことも忘れて、その日の店閉まいを二人だけでしていた時のことでした。


ギィ…


突然、部屋が軋むような音が店の中に響いたんです。


〇〇:いや、この店も創業70年とかだっけ?結構古いんだよね。

あやめ:みたいですね。

そう言って二人で店のテーブルや椅子を拭いていると、


ガシャンッ



〇〇・あやめ:!?

厨房の方から、食器が割れる音がしました。


誰かいるに違いない。

そう思って二人で一緒に見に行くと厨房の棚が開けられて、床に割れた皿が散乱していましたが近くに人がいる様子はありませんでした。


〇〇:ひどい、誰がこんなことを…

とりあえず、割れた皿たちを二人で回収した後、監視カメラを見ることにしたのです。

監視カメラなら、皿を割った犯人が映っている筈ですから。



ところが…



あやめ:きゃっ!?

〇〇:!?


監視カメラが記録した映像を見ると、


誰もいない厨房の棚が勝手に開き、棚から皿が飛び出して床に勢いよく落ちていく様子が映っていたんです。


〇〇:い、急いで出よう…

あやめ:は、はい…


あとは照明を消して店の入り口の鍵を閉めるだけ。

離れ離れにならないように二人でくっつきながら、店の照明のスイッチがあるところまで行きました。

そして照明を消すと、店は一気に暗くなり不気味さが増してました。


叫びたい気持ちを抑えて、スマホのライトをつけて店の入り口に向かおうとした時、


あやめ:ひゃっ!?


あやめちゃんが小さく叫び私の腕を引っ張り、指をとある方向にさしていました。

その指さす方向に視線を移すと、

〇〇:!?



見知らぬ老人が、店奥の通路を徘徊していたんです。

それも、足元が透けていて…



口を抑えて声を出すのを堪えているあやめちゃんを横に見ていた時、


ポンッ

左肩を叩かれる感覚がしたんです。


しかし、その時あやめちゃんは両手で口を抑えていました。


あやめちゃんに僕の肩を叩ける筈がありませんでした。


〇〇:・・・


恐る恐る、その叩かれた左肩の方を見ると、








「ネェ、イッショニアソンデヨ…」





目から赤い血を流した、青白い少女が…


〇〇・あやめ:うわぁああああ⁉️




その後、私とあやめちゃんで急いで店から出て鍵を閉め一刻も早くその場から走り去りました。



翌日、店長にその時起きたことを話すと

店長:2人には黙っていて、済まなかった。

と謝罪された。


そして、店長の口から恐ろしい事を知る事になりました。


その居酒屋では男性が昔首吊り自殺をしたことがあるらしく、所謂事故物件だったというわけです。

それからというものの、度々店では怪奇現象が起きていたようでした。


あの建物にはその自殺した男性の霊が住み着いていて、それに他の霊たちが引き寄せられたのかもしれません…



私はあやめちゃんと一緒にそのバイトを辞め、別のバイトを始めました。


新しいバイトを始めてから1ヶ月後…



あやめ:〇〜〇さん!

〇〇:わ!


あやめ:ふふ、びっくりしました?

〇〇:あ、うん。急に後ろから押されたから…

あやめ:待たせちゃってごめんなさい。

〇〇:ううん、平気だよ。

〇〇:じゃ、行こっか。

あやめ:はい。



私はあやめちゃんと付き合い始めました。



fin.


※(この話は、実際に体験した方の話を基にフィクションを混ぜて作成しています。)

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