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11話「交錯 後編」

ー前回までのあらすじー

 二体のオルフェノクと戦闘になったファイズ(飛鳥)とカイザ(瑞穂)。だが、その二体のうちのクレインオルフェノク(美月)に命を救われたことがある飛鳥は、瑞穂がクレインオルフェノクにトドメを刺そうとしたところを阻止しようとし、自分がカイザの必殺技の標的となってしまう。


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瑞穂:くそっ……退け!

カイザのキックの必殺技「ゴルドスマッシュ」はもはや中断することができず、瑞穂はカイザポインターから放たれたエネルギー状のマーカーに捕捉された飛鳥に叫ぶ。そして、カイザのキックとファイズエッジがぶつかり、電撃が辺りに散る。

飛鳥:ぐぅ…!

ファイズエッジで「ゴルドスマッシュ」を受け止めていた飛鳥は、ファイズフォン「ENTERボタン」を押す。

「Exceed Charge」

すると、ファイズの刀身に纏うフォトンエネルギーが増大され、飛鳥がファイズエッジを振り自身を捕捉していたエネルギー状のマーカーを破壊する。

飛鳥:つぁあああああ!!



瑞穂:っ!?

カイザポインターから放たれたマーカーを破壊されて地面に落下した瑞穂は一瞬だけ呻き声を上げたが、すぐカイザブレイガンを構え、エネルギー光弾を放つ。

飛鳥:!

向かってくる光弾をファイズエッジで次々と跳ね返すと、飛鳥はファイズエッジでカイザの正面を斬りつけた。

瑞穂:がはぁ…

瑞穂が一瞬怯んだ隙に、そのまま飛鳥は荒れ狂うようにファイズエッジを振りまくった。

飛鳥:ふぁあああああ!

(ファイズエッジとブレードモードのカイザブレイガンのぶつかる音)

瑞穂:っ…ふざけるな!



ファイズとカイザの戦う様子を遠目で見ていた美月。

美月:…

「に、げ、て…」

飛鳥に先ほど言われた言葉を思い出しながら、クレインオルフェノクの姿の美月はその場から退却した。



啓太郎:どうしてこんなことに…

突然オルフェノクを庇い、瑞穂に襲い掛かる飛鳥の行動が理解できなかった啓太郎とさくらは混乱していた。

さくら:やめて❗️飛鳥さん、土生さん❗️❗️❗️

必死に飛鳥たちに向かってさくらが叫ぶも、二人に声が届いている様子は微塵も無かった。


瑞穂:とぅあああ!!


飛鳥の隙をついた瑞穂がカイザブレイガンの刀身でファイズのボディを斬りつけ、吹き飛ばされた飛鳥が地面に転がっていく。

飛鳥:うっ…

瑞穂:はっ!

瑞穂は後ろにジャンプしてサイドバッシャーに乗り込むと、サイドバッシャーをバトルモードに変形させる。


バトルモードに変形したサイドバッシャーの操縦席から瑞穂が操作をし、ミサイルが無数に放たれた。

飛鳥:!?

さくら・啓太郎:!?

が、そこにバトルモードに変形したオートバジンが現れて、飛鳥をミサイルから守る盾となった。

オートバジンが飛鳥を庇ったことでミサイルの直撃は免れたが、その勢いでファイズドライバーが外れ、飛鳥はファイズの変身が解けてしまう。

その様子を見た瑞穂は攻撃を止め、サイドバッシャーを元の形に戻して降り、カイザの変身を解除した。


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先ほどの戦闘の場所から、4人は移動していた。


さくら:なんで、あんなことしたんですか?飛鳥さん。

さくらが問い詰めるも、飛鳥は口を開かなかった。


啓太郎:ねぇ、教えてよ。飛鳥さん、さっきからずっと変だよ!

瑞穂:きっと、さっき一緒に店番していたとき、私が気にくわないことを言ったからでしょ?

さくら:そんな…子どもみたいな理由で。違いますよね、飛鳥さん?


飛鳥:…

黙っていた飛鳥の脳裏には、廃墟で自分を手当てする美月と、不良たちをオルフェノクに変身して襲う美月の姿が浮かんでいた。

啓太郎:飛鳥、さん?

飛鳥:ほっといて…

さくら:え?

小さな声でぼやくと、飛鳥はそのままバイクに乗り込みエンジンをかけると、どこかへ行ってしまった。


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あやめ:美月さん、帰り遅いな…

キッチンで茶を入れていたあやめは、美月のことを気にかけていた。が、前のようにあやめの頭の中に美月の助けを求める声がしないことから、きっと大丈夫だろうという気持ちもあり、このまま美月の帰りを待つことにした。


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?:くそ…あの女を消してファイズとカイザのベルトを俺がいただくつもりだったのに…

先ほど美月に襲いかかり、ファイズと戦闘して敗北しかけたサソリ型のオルフェノク・スコーピオンオルフェノクは、人間の姿に戻り息を切らしていた。

村上:勝手な行動は慎んでもらいましょうか。

?:!しゃ、社長…何故、貴方がここに…


村上:忠告しに来たんですよ。貴方の行いは、少々やり過ぎています。ファイズとカイザのベルトを手に入れ、ラッキークローバーに入りたい気持ちは分かります。しかし、そのために仲間割れはいけませんね。

?:くっ…あなたがそう仰るなら。

村上:まぁ、裏切り者としての証拠が、彼女にあるなら話は別ですが…

スマートブレインの社長・村上峡児はそう呟くと、車に乗り込みそのまま去って行く。

?:裏切り者…ふ、そうか。その手が…

スコーピオンオルフェノクの男は不敵な笑みを浮かべた。



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飛鳥がどこへ行ったか分からないまま、さくらと啓太郎、瑞穂は、菊池クリーニング屋に戻ってきていた。

啓太郎:飛鳥さん、どうしちゃったんだろう。


さくら:…やっぱり、探してくる。

瑞穂:待って!

玄関のドアノブに手をかけようとしたさくらを、瑞穂がさくらの手を掴み止めた。

さくら:土生さん。


瑞穂:今はそっとしておこう。

さくら:でも、飛鳥さん一人にできないです。

瑞穂:きっと、私たちに言えないくらいの悩みがあるのよ。それに、一人で行くのは危険だと思う。またオルフェノクにでも遭遇したら…

さくら:じゃあ、土生さんも一緒に探してくださいよ!

さくらが声を荒げると、

瑞穂:私も齋藤さんに直接あって聞きたいよ!でも、さっきの感じだと、多分、齋藤さんに今会っても、何も話してくれないと思う。だから、待っててあげよう?それに、齋藤さんなら、ファイズに変身できるし。そう簡単にやられないよ。

瑞穂に説得されたさくらはドアノブから手を離し、リビングに戻った。

瑞穂:(悪いけど、このまま貴女には居なくなってもらうわ、齋藤さん)


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美月:はぁ…はぁ…

スコーピオンオルフェノクに狙われ、カイザからトドメの一撃をもらいそうになったが飛鳥に庇われ生き延びた美月は、森林の木に寄りかかっていた。

そこに、一つの近づいてくる足音が聞こえた。

美月:!

美月が音のする方へ向くと、飛鳥が立っていた。

飛鳥を見た美月は、思わず立ち去ろうとした。

飛鳥:待って。



飛鳥に呼び止められ、飛鳥に背を向けたまま美月は立ち止まった。

美月:来ちゃダメです…もし、私がまた…

飛鳥:オルフェノクに変身したら、私を襲う?

飛鳥に先取りされるかのように言われ、美月は言葉が詰まる。

飛鳥:そんなこと、貴女がするとは思えないよ。私を助けてくれた貴女が。

美月:でも、見たじゃないですか。私がオルフェノクに変身して…

飛鳥:人を襲った。私を助けるために…

美月:!

先回りするかのように飛鳥が放ったその言葉に、美月は正しい返答が見出せなかった。



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美月がオルフェノクになる前。

バスケ部員全員から虐めを受け、親からも見放された美月に居場所は無かった。だから自ら命を絶ち、あの世にいる大好きな姉に会おうとした。

しかし、オルフェノクとして蘇ってしまった。

そして、自身がバスケ部から消えたことでバスケ部員たちが次の虐めの標的を探していたことを知り、美月は彼女たちの横暴を止めようとオルフェノクに変身し、全員を灰にした。


その後、美月は死んだバスケ部員たちが活動拠点にしていた体育館の横を通ったとき、頭の中に声が聞こえた。

「正直あの人たちがいなくなって、ホッとしているんだ。」
「うん。これで、もうあのバスケ部の人たちに怯えなくて済むね。」


それは、苛めっ子たちが居なくなったことを喜ぶ声だった。

美月はそれから、オルフェノクとして蘇ったことに意味を見出していた。

オルフェノクの力で、人助けすることを。


そして、飛鳥が川で溺れていたのを発見した時。

美月は、すぐ助けた。

そして廃墟で飛鳥を保護したとき、突然現れた不良たちが美月と飛鳥に手を掛けようとした。美月はすぐ、飛鳥を不良の魔の手から救おうとオルフェノクに変身した。

そして、不良たちを全員惨殺した。


その時、美月には初めて見えたのがあった。


あの世にいる姉が悲しげに美月を見つめる姿が。


その時、美月は実感した。

自分が人の命を奪っていることを。


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美月の境遇を、飛鳥は終始黙って聞いていた。


美月:貴女を守るためとはいえ、人の命を奪った…これからどうしたら良いのか、分からないんです…でも、もうこれ以上誰かの命を奪いたくないです。人として生きていきたい…


この時、オルフェノクに対する印象が飛鳥の中で変わった。

少なくとも美月と出会うまでは、オルフェノクはみんな人を襲うことを躊躇わず、むしろ楽しんでいると思っていた。

だが、美月は違った。

想像を絶する人生を経験していて、仕方ない理由があっても美月は人を襲ったことを後悔していた。

飛鳥:…

美月にかける言葉が見つからず、飛鳥は無言でその場から去って行く。


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それから、3日後…

ー菊池クリーニング屋(啓太郎の家)ー

食卓を囲んでいる人数はいつもどおり3人だったが、いつも飛鳥が座っている場所に瑞穂が座っていた。

啓太郎:あのさ、えんちゃん。

さくら:ん?どうしたの、啓太郎?

啓太郎:どうしたのって、心配じゃないの?飛鳥さんのこと…

瑞穂:啓太郎くん、齋藤さんなら大丈夫よ。そのうち帰ってくるよ。


さくら:うん、私もそう思う。

さくらと瑞穂が笑って、啓太郎を安心させようとした。

啓太郎:変だよ…二人とも…

が、啓太郎は暗い表情のまま食べ物が残った食器を食卓から下げ、ラップに包んで冷蔵庫にしまった。

さくら:え?もう食べないの?

啓太郎:うん。これから、店の準備するよ…


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ー高台ー


飛鳥が菊池クリーニング屋を離れて三日が経った。

飛鳥はバイクに寄りかかって、景色を眺めていた。

?:こんにちは。

知らない声に呼びかけられ、飛鳥はビクッとして振り返る。

飛鳥:誰、ですか?

友香:土生瑞穂の知り合いの、菅井友香よ。瑞穂から聞いたよ、オルフェノクを庇ったんだってね。そのことが気になってね、貴女に会って話したいと思ってたの。でもクリーニング屋の方に訪ねても居なかったから…

飛鳥:それで、ここまで来たと?

友香:うん。

話を聞く限り、瑞穂の知り合いということに嘘は無さそうと思った飛鳥は、友香に自身の心情を明かす。


飛鳥:前に、そのオルフェノクの人に命を救われたんです。それで…

友香:そのオルフェノクを庇った、ってことね。

友香に聞かれた飛鳥が軽く頷く。

飛鳥:その人、言ってたんです。もうこれ以上人を襲いたくないって。人間として生きていきたいって…

言い終えた飛鳥は、深呼吸してそれから俯いた。

友香:瑞穂が言ってたの、齋藤さんは甘いって。オルフェノクに同情する人は、ファイズの装着者にふさわしくないって。瑞穂の気持ちは分かるの、あの子も私もオルフェノクに大切な人を沢山奪われたから…

飛鳥:大切な人を…

友香:でもね、私の友だちでねオルフェノクになった子がいるの。その子は人間の心を無くさず、きっと今苦しみながら戦っている…だからね、私思ったの。

飛鳥:何を、ですか?


友香:オルフェノクから人間を守ることと同じくらい、人間として生きようとするオルフェノクを助けることも大事だって。

飛鳥:菅井…さん…

友香:だからね、齋藤さんの力に私なりたいと思っているよ。


そう言うと、友香は飛鳥に腕時計の形をしたモノを渡した。

飛鳥:これは…?

友香:きっと齋藤さんの力になってくれるよ。

そう言い残して、友香は立ち去って行く。


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ー菊池クリーニング屋ー

クリーニングが済んだ客のシャツをアイロンがけしていたさくらが、ふと朝の啓太郎の言葉を思い出す。

「心配じゃないの?飛鳥さんのこと…」

さくら:(私って、なんて馬鹿なんだろう…そんな訳、無いじゃない❗️)

さくらはアイロンのスイッチを切り上着とヘルメットを取ると、クリーニングの依頼のリストをチェックしていた啓太郎のところに向かう。

啓太郎:どうしたの?

さくら:ごめん、啓太郎。やっぱり、飛鳥さんを探してくる!

さくらが頭を深く下げて、それから玄関のドアノブを回して外へ出て行く。

その様子を見守っていた啓太郎は漸く笑顔を取り戻す。

啓太郎:(良かった。やっぱりえんちゃん、飛鳥さんのこと心配してたんだね。)


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さくら:って、探し始めたは良いけど…どこ〜?飛鳥さ〜〜ん!!

あてもなくバイクを走らせ、さくらは必死にあちこち見回しながら飛鳥を探していた。

その時、どこからか液状の塊が飛んできて、その塊が地面に触れた瞬間爆発した。

(爆発音)

さくら:うわぁ!?

爆発の勢いでさくらが乗っていたバイクが横転し、地面に転がされたさくらは肩を強く打ってしまう。

オ:へへへ…お嬢さん。

さくら:んぐ…こんな時に…

肩を抑えながら立ち上がったさくらは、目の前のナマコ型のオルフェノク・シーキュカンバーオルフェノクから全力で逃げるために走り出した。


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美月:?

美月の耳に誰かが追いかけられているような足音が聞こえ、音の方へ向かうと、さくらがシーキュカンバーオルフェノクに追われていたのが美月の目に入った。


美月:オルフェノク!?

シーキュカンバーオルフェノクから逃げていたさくらが足を躓いてしまい、尻もちを着く。

シオ:もう逃げられないぞ…

さくら:嫌…来ないで…


美月:うおおおお!!!

コンクリートの柱の影から飛び出してきた美月は、拾ってきた鉄パイプでオルフェノクの頭部を殴りつける。

オ:んゴォ!?

不意打ちを喰らったオルフェノクが頭を抑えているうちに、美月はさくらの手をとる。


美月:今のうちに逃げよう。


さくら:あ、ありがとうございます💦


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オルフェノクから距離を取ることに成功した美月とさくらは、建物の角を曲がり身を隠した。

美月:ここまで来れば、大丈夫なはず…

(衝撃音)

?:見つけたぞ、山下美月。

さくらと美月に奇襲をかけたのは、ラッキークローバーの座を狙うスコーピオンオルフェノクだった。


スコーピオンオルフェノクの放った攻撃で、さくらと美月は離れ離れになり、スコーピオンオルフェノクは倒れた美月のもとへ近づくと、美月の首を掴み体を持ち上げた。


スオ:これで、お前は終わりだ。人間を庇う、裏切り行為が明確になったからな。

美月:がはぁ…私は、どうなっても良い…けど、あの子は見逃してあげて。

スオ:断る。裏切り者の貴様を始末したら、次はあの娘だ。

スコーピオンオルフェノクは、美月の首を締める力を強めた。

美月:うぅ…ぁ…

呼吸の自由を奪われた美月は、段々と抵抗する力が弱まり意識が消えかかっていた。

さくら:(う…飛鳥さん。た、助けて…)

目の前で美月がオルフェノクに首を絞められていくのを見たさくらは、背後からさくらの命を狙っていたオルフェノクに近づかれながら、藁にもすがる思いで願った。


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(バイクの音)


さくらの願いに応えるようにバイクに乗った飛鳥が現れ、スコーピオンオルフェノクとシキューバンカーオルフェノクにバイクで追突して吹き飛ばし、スコーピオンオルフェノクの首絞めから美月を解放した。

ヘルメット外した飛鳥はバイクから降りると、美月に肩を貸してさくらの元に運ぶ。

飛鳥:さくのこと、守ってくれてありがとう。

美月を運びながら、美月の耳元で飛鳥は礼を言った。

さくら:飛鳥さん。

美月をさくらのもとまで運び、飛鳥はさくらに美月の身柄を託した。

飛鳥:さく、この人を宜しくね。

さくら:はい。


?:己…ファイズ…!

「5 5 5  Standing by」


変身コードをファイズフォンに入力した飛鳥は、ファイズドライバーにファイズフォンをセットする。

飛鳥:変身!

「Complete」

ファイズに変身した飛鳥は、友香から受け取った腕時計型のアイテム「ファイズアクセル」を左手首に装着し、ファイズアクセルに装備されていたメモリを外し、ファイズフォンにセットする。

「Reformation」

すると、ファイズの姿が変わり、ボディの胸部分が展開され、全身の赤いラインが白に変わりファイズの黄色いマスクが赤色に変わった、ファイズアクセルフォームへと変化した。


「Start Up」

飛鳥がファイズアクセルのスイッチを押すと、ファイズが10秒間だけ通常の1000倍の速度で行動が可能になる「アクセルモード」が発動された。

一瞬にしてファイズの姿が見えなくなり、オルフェノクたちは混乱した。

スオ:何!?

その間に、飛鳥は両方のオルフェノクに無数のパンチとキックを高速で繰り出し、オルフェノクたちを圧倒した。

飛鳥:はぁぁぁ!!!!!

飛鳥の高速での猛攻をくらい、シキューバンカーオルフェノクはコンクリートの壁に激突し衝撃で破片が飛び散り、スコーピオンオルフェノクはスロー状態で空中に打ち上げられた。


「Exceed Charge」

飛鳥がファイズポインターを右下腿部にセットしてファイズフォンの「ENTERボタン」を押すと、アクセルモードでのファイズの必殺技「クリムゾンスマッシュ」をシキューバンカーオルフェノクとスコーピオンオルフェノクに高速で繰り出した。

飛鳥:たぁああ!やぁぁぁ!

「3 2 1 TIME OUT」

アクセルモードが解除され、飛鳥は元のファイズの姿へと戻った。


アクセルモードでのファイズの必殺技「クリムゾンスマッシュ」を食らったオルフェノクたちは爆発し、青い炎を上げて灰化し消滅した。


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さくら:もう、私すごい怒ってます!!!

飛鳥:あ、その…ごめん…

さくら:ずっと帰ってこなくて、心配だったんですよ?

飛鳥:さく…

さくら:やっぱり、あの家には私と啓太郎と、飛鳥さんがいないと!

さっきまでプク顔で怒っていたさくらは、表情を変え満面の笑みになる。

さくら:あ、さっきは助けてくれてありがとうございます!

美月の方に向き直したさくらが、頭を深く下げた。

美月:ううん、気にしないで。


そんな3人の様子を遠くから、瑞穂が見ていた。

瑞穂:どうして…どうして私じゃなくて、
最近知り合ったばかりの齋藤さんなの…さくらちゃん…


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ー菊池クリーニング屋ー

さくら:あれ?土生さんは?

帰ってくるや、瑞穂が居ないかことにさくらが気がついた。

啓太郎:ああ、なんかもう帰るって言って、さっき出て行ったよ。

さくら:そっか…


菊池クリーニングでさくらと別れた飛鳥は、さくらに美月を家まで送ってから帰ると伝えると、美月を後ろに乗せて美月の家までバイクを走らせた。

飛鳥:へぇ〜、こんなとこに住んでんだ。凄いね〜

美月の住んでいる高層マンションに到着すると、飛鳥は高層マンションを見上げた。

美月:まぁ…

バイクから降りた美月に、飛鳥が声をかけた。

飛鳥:貴女のこと、信じているよ。

美月:え?

飛鳥:人間として生きたいって言うの、信じているよ。

そう言うと飛鳥が微笑みかけ、美月も頷く。


飛鳥:そうだ、名前。なんて呼べばいい?

美月:えっ…まぁ、好きなように呼んで貰えば…

飛鳥:じゃあ、山ね。貴女のこと、今日から山って呼ぶ。

美月:わ、かりました…

飛鳥:じゃあ、おやすみ。山!

飛鳥はヘルメットを被り、エンジンをかけた。


美月:おやすみなさい、飛鳥さん!!

バイクのペダルを踏み走らせかけた飛鳥に美月が声を大きくして呼びかけると、飛鳥が指でピースのサインを作った。

飛鳥の姿が見えなくなると、美月はマンションの方へ歩き出した。

美月:(ありがとう、飛鳥さん…)


11話 完













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