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13話「開かれる道」

(ナレーション)
愛萌:ボンヌ・レクチュール♪

つ、ついに!!美玖ちゃんが聖剣に選ばれ、音の剣士・仮面ライダースラッシュに変身したのです!

これで、4人の剣士が揃いました。う〜、これからの〇〇たちがどんな活躍を見せるのか楽しみですね!

あ、でもソフィアさん曰く聖剣が6つあるとのことでしたね。となると、後の2人の剣士は誰になるのやら…それも楽しみですね!




本の世界「ヘンゼルとグレーテル」での戦い後、〇〇たちはアヴァロンへの手がかりを探し続けていた。


ー1週間前 守護者の砦ー


優佳:誰にも扱えない程の強力な力が封じ込められている場所。それが、アヴァロンなの?

〇〇:はい、聖剣のことを調べている最中に偶然そのアヴァロンのことを指す一節を見つけたんです。

好花:〇〇はアヴァロンに行ってその力を手に入れれば、先代セイバーの生み出したメギドを倒せる技をより安全に使いこなせると。

美玖:それでアヴァロンのことを調べるために、ここの本を2人で全部読もうとしてたのね。

ソフィア:2人でとはいえ、この量から見つけるのは時間がかかるかと…

ソフィアが視線を移した先に4人も視線を移すと、幾つも山積みになっていた大量の本が置かれていた。ざっと数えても100冊は下らないと思われた。



〇〇:まだ全然進めてなくて…笑

優佳:いや…2人でもこれはキツいよ…

好花:それで、先輩たちにも手伝って欲しいんですが…

美玖:良いよ、4人で手分けしてやれば早いしね。

〇〇:すいません…

優佳:良いって。後輩の頼みなんだから!

こうして4人で、山積みの本からアヴァロンの手がかりを探すことになった。








ー昨日 守護者の砦ー

〇〇:無い!アヴァロンのアの字も見当たらない!!

優佳:う…一応全部皆んなで目を通したよね?

好花:しかも、この膨大な量を…なのに…

美玖:ここまで何も見つからないなんて…

4人とも本を分割して、それぞれ家に持ち帰り全ての本を読んできた。相当な苦労をしてきた結果、収穫0の4人は死んだ魚の目をしていた。


〇〇:はぁ〜…、、、ん?

「アヴァロンには、剣士でもたどり着いた者は未だいません…」

ソフィアの言葉を思い出した〇〇はソフィアの方を向くと、ソフィアが妙にソワソワしているのが見えた。

〇〇:あの〜、もしかしてここに閲覧禁止の本とかって…

ソフィア:あ、ありません…ここには、あ、ありませんよ?

〇〇:ですよね〜??

ニヤケながら〇〇は本棚の方に視線を向ける。




〇〇・ソフィア:!

〇〇とソフィアは同時に階段を駆け上り、本棚に向かう。

〇〇:これと、これと、これ!

ソフィア:いえ、これと、これと、これです!はっ…

慌てて口を押さえたソフィアだが、教えられた通りに〇〇は本棚からはみ出ている本を順番に触れていく。すると、一冊の本が本棚から飛び出し、テーブルの方に落ちていく。


ソフィア:それは禁書です。読んではいけないものです。

〇〇:でも、ここに手掛かりがあるかもしれないんです、アヴァロンへ辿り着く手掛かりが。

テーブルに置かれた本を手にとった〇〇は、ページをめくりだす。しばらくして、とあるページで〇〇は手を止めた。

〇〇:13の物語を剣で繋いだ時、世界の狭間へと至る。

美玖:世界の狭間…………!

好花:!

何かを思い出したのか、美玖と好花はそれぞれ別の本を探し出し持ってきてページを開く。

美玖:ここ見て!

美玖が指した所には次の一節が書かれていた。

「世界が解ける時、眩い光と二匹の竜が重なり、世界の谷間に道を示す。」

好花:こっちはここ!

好花が指した所には次の一節が。

「時の狭間に王が眠る。」


〇〇:世界の谷間、時の狭間、そして世界の狭間…

優佳:そうか!それぞれ表現も書かれている本も違うけど、どれも同じ場所を指しているんじゃ…

優佳が片方の手のひらをもう片方の拳で叩く。

〇〇:世界の谷間、時の狭間、世界の狭間…多分、異次元の世界を表しているのかと思います。

好花:なるほど…

禁書から見つけた一節により、アヴァロンへの手がかりが紐解かれようとしていた。

〇〇:時の狭間、王が眠る…王、アヴァロン…!

〇〇が引っ張り出してきたのは「アーサー王の伝説」という本だった。

優佳:!そういうことね!

美玖:ん?どういうこと?

〇〇:時の狭間に王が眠るっていう一節、この本に出てくるアーサー王が死を悟り向かった島の名前も、アヴァロン。そして、時の狭間に王が眠る…つまり、異次元の世界にアヴァロンがあるってことです。


ソフィア:アヴァロンへの手掛かりを本当に見つけましたね。

好花:やったじゃん、〇〇!

優佳:あれ?場所は分かったけど、どうやって行くかはまだ…

確かに…という顔を、〇〇以外が全員していた。

〇〇:それは、この「13の物語を剣で繋いだ時、世界の狭間へと至る。」と書かれた場所に描かれている、この魔法陣状に並んだ13個の絵が示すそれぞれのワンダーライドブックを使えば…?

そこへ、一つの茶色い箱を持ったソフィアが現れた。

ソフィア:おそらくそのうちの11個のは、ここに全てあります。これらは先代の剣士たちが集めたものです。

ソフィアが箱を開けると、中に11個のワンダーライドブックが入っており、それぞれの絵柄が丁度禁書に描かれていた絵と一致していた。

美玖:後の二つは…

美玖がそう言った直後に、〇〇と好花がワンダーライドブック「ストームイーグル」と「ニードルヘッジホッグ」を取り出して皆に見せた。その二つが、残りの禁書に描かれた絵としっかり一致していた。


好花:後は、その13の物語を剣で繋ぐ…剣で繋ぐって??

優佳:それはこの剣の型の本を使ってやればできると思うよ。

〇〇:はい…後気になるのは「世界が解ける時、眩い光と二匹の竜が重なり、世界の谷間に道を示す。」だけ。二匹の竜…まさか…

ソフィア:何かまだあるみたいですね?

〇〇:確かめたいことがあって。明日まで、みんなには待ってて欲しいです。







ー昨夜 〇〇の家ー

ガチャッ

玄関の戸が開かれると、そこにいたのは出版社から帰ってきた愛萌だった。

愛萌:ただいま〜

〇〇:おかえり、愛萌さん。ご飯できているよ。

愛萌:ん、この匂いは…

2人が食卓に向かうと、愛萌の好物のグラタンが大きめの器に盛られていた。

愛萌:やったぁ〜!!ちょうど食べたかったの。

〇〇:良かった、久しぶりに作ったから不安だったけど。






〜数時間後〜

深夜、部屋から抜け出した〇〇は家を出てとある場所に向かっていた。

目的の場所に到着した〇〇は、聖剣・火炎剣烈火とワンダーライドブック「ブレイブドラゴン」を取り出した。

「ブレイブドラゴン!」

〇〇はブレイブドラゴンをソードライバーにセットし、火炎剣烈火を引き抜く。

「烈火抜刀!」

〇〇が剣を振りXの形をした炎が生成され〇〇の身体を覆い、〇〇はセイバーへと変身した。


「ジャアクドラゴン!」

カリバー:まさか、お前の方から出向くとはな…

〇〇が振り返ると、紫色の剣・闇黒剣月闇で変身したカリバーが立っていた。

〇〇:ここなら、アンタに会えると思ってさ。

そう、この場所は〇〇と好花が初めてカリバーと遭遇した場所でもあった。

カリバー:ほう。さては、火炎剣烈火とブレイブドラゴンを渡す気になったか?

〇〇:残念だけど違うね。



カリバーの方から接近し、闇黒剣月闇を振り翳す。

(剣と剣の擦れる音)

火炎剣烈火で攻撃を防いだ〇〇は横に聖剣を振り払い、カリバーに連続で攻撃を仕掛けるも、カリバーは素早い反応で次々と攻撃を受け流す。

(剣と剣が連続して擦れ合う音)

〇〇:聞きたいことがある。アンタ、メギドたちの仲間か?

カリバー:もし、仲間という答えを期待していたなら、違うな。だが、お前の味方でもない。

〇〇:なるほどね。

意外にも〇〇から驚いた表情は無かった。



カリバーが闇黒剣月闇で火炎剣烈火を跳ね返し、一瞬〇〇の動きが止まったのを確認したカリバーは〇〇の左脇腹を狙い闇黒剣月闇を薙ぎ払う。

〇〇:!

カリバー:!?

攻撃が決まったと確信していたカリバーだったが、〇〇がギリギリのタイミングで上半身を後ろに曲げ闇黒剣月闇を避け両手を地面についてバックステップをし、その最中で両足でカリバーの顎を蹴飛ばした。



カリバー:ふっ、少しは強くなったか。

闇黒剣月闇と火炎剣烈火がぶつかり合い、火花を散らす。


〇〇:まぁね、頼もしい先輩2人と親友に色々訓練させられたんで。

カリバー:だが、それでも私は倒せない。

〇〇:その必要はないよ。

カリバー:何?

真夜中の十字路で、剣と剣の擦れ合う音が周囲に響く。




ー異空間ー

水晶玉が置かれていたテーブル付近に、ストリウスとレジエルが傷だらけになって倒れていた。

レジエル:ったく、なんなのアイツ…

ストリウス:予想外のことが起きてしまいました…

2人は起き上がり、ストリウスは懐から一冊の黒い小さな本・アルターライドブックを取り出す。

ストリウス:次の世界には、彼も同行させましょう。

「デザスト!」

ストリウスが開いたブックから黒い本が複数出現し、それらが集結すると人型の塊に変化し、黒いオーラから髑髏の頭をした者が出現した。

?:匂うなぁ……。世界と本と剣が擦れ合う、最低で最高に楽しそうな匂いだ……!



(剣と剣の擦れる音)

〇〇がカリバーとの戦闘を続けて少し時間がたったとき、

カリバー:!?

〇〇:!?

〇〇の持つブレイブドラゴンから赤い閃光が、カリバーの持つワンダーライドブック「ジャアクドラゴン」から紫色の閃光が放出され、二つの閃光同士がぶつかり合う。


そして、それぞれのブックからブレイブドラゴンとジャアクドラゴンが出現し空中で交差していた。

〇〇:二匹の竜が重なり、世界の谷間に道を示す。

カリバー:それは、古来の伝書の…

〇〇:その反応、アンタも探しているんだね?アヴァロンへの行き方を。

カリバー:!



カリバーの持つ闇黒剣月闇から紫色の電撃が走り、カリバーの動きが止まる。

〇〇:時間切れ、でしょ?前にアンタ、言ってたもん。


カリバー:ふん、次はアヴァロンで会うとしよう。だが、一つ警告しておく。見えてるものだけが真実ではないとな。

〇〇:見えるものだけが真実ではない…?

カリバー:いずれ分かる。

闇黒剣月闇で闇の回廊を生成したカリバーは、回廊へと姿を消す。


ーそして今日 日向坂高校ー

好花:カリバーに会った!?

〇〇:うん、昨日の夜にね。やっぱり、カリバーも狙っていたみたいだ、アヴァロンに眠る力を。アイツの竜が描かれたワンダーライドブックとブレイブドラゴンが反応したんだ。

好花:それって、二匹の竜と…

〇〇:うん。アヴァロンに行くには、カリバーの持つワンダーライドブックも必要なんだ。そして、ブレイブドラゴンも。




ーグラウンドー

?:みんな、前に出て!!

グラウンドでは、優佳たちがサッカーの練習試合をしていた。優佳のチームがボールをキープし続け、チームメイトの1人がサイドチェンジし、飛んできたボールを優佳がトラップし、少しドリブルした後そのままパスを繋げる。

(ボールが蹴られる音)

ボールは楕円の軌道に沿って飛び、キーパーの手とフェンスの間をギリギリすり抜けた。

審判:ゴォーーール!!!


試合は2−0で、優佳のチームの勝利となった。


?:ナイスパスだったよ、優佳!

優佳のパスから得点をつないだチームメイトの子が、優佳の肩に腕を掛け優佳を讃えた。

優佳:そっちも、良いシュートだったよ!

?:やっぱ、優佳がいてこそウチらだよね。

優佳:でも、みんな私がいないうちに凄く上手くなっていたよ。

?:とーぜんでしょ?優佳に負けないくらいの実力つけたいんだから!

久々にサッカーを全力で楽しんでいる自分を、優佳は感じていた。チームメイトと別れた優佳は、図書室へと向かう。




ー音楽室ー

吹奏楽部に所属している美玖は、サックスを担当している。

演奏の最中、美玖の頭の中に時折ヘンゼルの顔が浮かんでいた。

?:お疲れ〜、美玖。

美玖:うん、お疲れ〜また明日。

部活仲間と別れ1人音楽室に残っていた美玖は、懐から取り出したヘンゼルからもらったハーモニカを見つめていた。


〜回想〜

ヘンゼル:ミクさんとはまたいつ会えるか分からないですし…

美玖:ヘンゼルくん…

ヘンゼル:だから、せめて僕たちのことを覚えてもらいたくて…

美玖:ありがとう。ずっと、大切にするね!


美玖はハーモニカを口に添え、ヘンゼルが妹に聞かせていたという曲を吹き始めた。その音は、夕暮れに照らされた部室の窓を通して外にまで響いていた。


演奏を終えた美玖は時計に目をやる。

美玖:!そろそろ行かないとか。




ー守護者の砦ー

〇〇:昨夜、カリバーに会ってきました。奴もアヴァロンに眠る力を狙っています。

優佳:昨日言った確かめたいことって、そういうことね。

〇〇:はい。

美玖:それじゃあ、4人でアヴァロンに…

美玖がそう言いかけたとき、一冊の本が光りだした。

一同:!?

ソフィア:どうやら、メギドたちがまた世界を襲っているようです。


優佳と美玖が、それぞれ水勢剣流水と音銃剣錫音を手に持つ。


優佳:本の世界は私たちに任せて、2人はアヴァロンを目指して!

〇〇:ありがとうございます。


美玖:じゃ、頑張って手に入れてきてね!

優佳と美玖が本の世界に入っていく。



好花:じゃ、私たちも。

〇〇:うん。

「烈火抜刀!」

「黄雷抜刀!」


〇〇と好花が、セイバーとエスパーダに変身した。

〇〇:古来より剣士に伝わる型…

セイバーに変身した〇〇が、持っていた伝書に記されていた剣の型通りに火炎剣烈火を振り始めた。それに反応するかのように、テーブルに置かれていた13冊のワンダーライドブックが浮遊し、〇〇の目の前に集結し図柄を構成し出す。

好花:13の物語を剣で繋いだ時、世界の狭間へと至る。

〇〇が振り終えた時、ブックたちは空中に魔法陣のような図柄を生成した。
そこに〇〇が聖剣を差し込むように突き出すと、その先にある扉の隙間から光が漏れ出し、扉が開かれる。


ソフィア:アヴァロンへの扉が、開かれました。気をつけて行ってきてください。

ソフィアがそう口ずさむと〇〇と好花は頷き、その扉の奥へと進んでいった2人の姿は光に包まれ見えなくなっていく。


14話へ続く。


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