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14話「髑髏の旗」


(ナレーション:愛萌)

皆さ〜ん、ボンヌ・レクチュール♪

遂にアヴァロンへの手がかりを見つけた〇〇は、
好花ちゃんとともにアヴァロンへの扉を抜け、アヴァロンを目指すことに…

う〜、どうなる?

となるところ申し訳ないですが、今回は別の話を。時を同じくして、本の世界に異変がまた発生し、優佳ちゃんと美玖ちゃんがその異変の元凶であるメギドを倒しに本の世界へ入っていきました。

ヨ〜ホ〜、ヨ〜ホ〜ってね♪


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ー本の世界ー

優佳と美玖が本の世界に入り辿り着いた場所は、夜の港町だった。

美玖:セント、ロイヤル?

近くに立っていた看板の文字を読み上げるとそう書かれており、丁度その看板は矢印の形に作られていてその矢印が港の方を指していることから、港町の名前を記していると見えた。そのセント・ロイヤルで今、大砲が打たれる音や悲鳴があちこちで響いていた。

2人が港町の中心まで行くと、やはり町の人々が下級メギド・シミーたちに襲われていた。

そのシミーたちに対抗しようと、海軍と思しき兵士たちがメギド相手に奮戦する様子が見えた。

美玖:あの人たちじゃ敵わないよ。

「流水抜刀!」

「ヘンゼルナッツとグレーテル!銃剣撃弾!」

優佳・美玖:変身!


 

水の剣士ブレイズ、音の剣士スラッシュに変身した優佳と美玖が、メギドと海軍の兵たちの戦闘に割り込む。



海兵:うわぁああ…

シミーの一体が、銃を手放し腰を抜かしていた海兵に飛び掛かろうとした瞬間、水勢剣流水から繰り出された斬撃がシミーの腹部を直撃し、シミーはそのまま建物の壁に激突した。

海兵:!?

優佳:この怪物たちは私たちに任せて、街の人たちを避難させてください。

海兵:き、君たちは…??

美玖:ただの旅人ですよ。さ、早く!

海兵:わ、分かった!



港町の人を襲うシミーを見つける度に、優佳と美玖はそれぞれの聖剣でシミーに攻撃を仕掛け、町の人を救出した。




?:うわぁーーん、ママぁあああ!

逃げ惑う群衆の中、1人取り残された小さな少年の背後の家屋に大砲の弾が被弾し、壁が破壊され瓦礫が少年の頭上から落下してくる。

優佳:危ない⁉️

咄嗟に優佳はダッシュして少年を抱えて前転し、
少年が瓦礫の下敷きになるのを防いだ。

(瓦礫の落下音)

優佳:ふぅ〜、やれやれ…

?:ティム❗️

見ると、少年の母親と思しき女性が涙を流しながら、息子の名前を叫び両手を広げて駆け寄ってきた。

?:あぁ、ありがとうございます。

優佳:えぇ、とにかく早く逃げてください。

母親は優佳に礼を述べ、息子を抱えて去って行った。



シミー:ゥウヴァァ❗️

海兵:くそ、この化け物め❗️

石で出来た港の砦で、シミーたちに苦戦を強いられていた海兵たち。

(剣の斬撃音)

美玖:それっ❗️

そこへ飛び込んできたスラッシュに変身した美玖が、音銃剣錫音でシミーたちを吹き飛ばす。

美玖:ちょっと、失礼しますよ。

海兵:へ?

美玖は銃の形に変形させた音銃剣錫音を空中に投げ、両手を地面につけて逆さになると、周囲のシミーたちに回し蹴りを喰らわす。

シミー:グガァァ⁉️

海兵:!?

この場を美玖に任せた方が良いと判断した海兵たちは、急いで移動していく。


美玖の回し蹴りと同時に、空中に浮かせた音銃剣錫音から音のエネルギー弾がシミーたちに向けて乱射される。両方の攻撃によって、美玖を囲っていたシミーたちは一瞬で爆発し消滅した。

美玖:へへ〜、〇〇くんたちにも見せたかったなぁ〜この新技。





優佳と美玖が合流し、2人の周囲をシミーたちが囲っていた。背中合わせになった2人は、それぞれの聖剣にワンダーライドブックを読み込ませる。

「必殺読破!流水抜刀!ライオン一冊斬り!ウォーター!」

優佳:ハイドロ・ストリーム!

「ヘンゼルナッツとグレーテル!イェイ!錫音音読撃!イェイ!」

美玖:スナック・音・ザ・チョッパー!

刀身に水の力を纏った水勢剣流水と、音のエネルギーを纏った音銃剣錫音の斬撃が周囲のシミーたちを一掃した。



?:ちょっと、何するのよ!?離して!

メギド:ふん、おとなしくしてろ。死の島まで、お前には案内してもらう。

声が聞こえた方向を向くと、派手な帽子を被ったその風貌はまるで海賊のようなメギドの肩に女性が担がれていた。

すぐさま女性を救出しようとした優佳と美玖だったが…

美玖:!

デザスト:悪いなぁ〜、あの船長の出航を邪魔する奴は止めろって言われてんだよ。



優佳と美玖の前に立ち塞がったその者は、髑髏と昆虫を組み合わせた様な顔、両肩に配置された狼の顎の様な意匠や漆黒のボディなど不気味な容姿をしていた。

優佳:誰なの、あなたは!?

デザスト:ふ、ここに炎の剣士が来るって言うから協力してやったが…お前ら、水の剣士と音の剣士か。

美玖:答えなさい。何者なの!?

デザスト:は、そうだったなぁ。今の剣士たちは俺のこと知らないよなぁ。

美玖:今の剣士たち?

優佳:そうか、こいつも昔の剣士たちに封印されてたんだ。

デザスト:デザスト、それが俺の名前だ。


名前を名乗ると、デザストは懐からワンダーライドブックを二冊取り出す。

デザスト:けど相変わらず、こういうので遊んでるんだろ?

美玖:それは、ワンダーライドブック!なんでアンタが…

優佳:多分…、かつての剣士たちから奪ったものだよ。

2人が話をしていると、デザストの右手にいつの間にか剣が握られていた。

デザスト:お前らがどれくらいの強さか、見せてもらう。


先手を打ってデザストが空中をバク転し、愛剣・グラッジデントで斬りかかってくるのを優佳が水勢剣流水で受け止める。

優佳:ぐ…!

すぐさま薙ぎ払いデザストを退けると、優佳と美玖が交互にデザストに聖剣で斬りかかる。が、デザストはそれらを軽くあしらうと回転斬りを繰り出し、優佳と美玖を後退させる。

美玖:こいつ、今までのメギドより強いかも…

デザスト:こんなもんじゃないぜ?

デザストの肩についていたマフラーが急速に伸び、反応が遅れた優佳と美玖の身体を拘束すると、身動きが取れない2人にデザストは2発の斬撃を叩き込んだ。


優佳:がはぁ…

美玖:げほぉ…

デザスト:カラミティ・ストライク。

デザストの身体が高速回転し始め、地面に打ち伏しがれている2人を狙ってデザストが突撃する。

デザスト:?

目で追えない速さのデザストによる連続した紫色の斬撃を、優佳と美玖はそれぞれの聖剣で受け止めていた。



優佳:ぐっ…!

美玖:うっ…!

なんとか攻撃を受け止め続ける優佳と美玖だったが、デザストの回転が激しくなり水勢剣流水と音銃剣錫音、そしてグラッジデントがぶつかって発生して飛び散る火花の勢いが増す。

デザスト:ふっ、はぁああ!

優佳と美玖の防御をそのまま押し切ったデザストは、2人に斬撃を浴びせて吹き飛ばした。


デザスト:ふ〜、…ん?

吹き飛ばされた優佳と美玖だったが上手いこと着地し、地面に打ちつけられることなくそれぞれ体勢を保っていた。

デザスト:2人がかりとはいえ、初見で俺のカラミティ・ストライクを食らって立っていられるのか…へへヘ、やるな。

その背後で、船から大砲の音が1発聞こえてきた。

デザスト:ちっ、出航の時間か…また会おうぜ、水の剣士と音の剣士。

そう言葉を残して、デザストの身体がマフラーで包まれデザストの姿は消えた。


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変身を解除した優佳と美玖だったが、デザストの必殺技を受け身体にダメージを多めにもらっていたためか、地面に膝をつく。

美玖:優佳…大丈夫?

優佳:うん、ちょっとフラつくくらい…そっちは?

美玖:まぁ…おんなじ感じ…リベラシオンでの特訓のおかげかな?笑

優佳:だね笑。けど、メギドに攫われたあの女の人を助けないと…


2人が会話をしていると、海軍の兵士たちがこの港町・セントロイヤルを襲撃した怪物たちの行方を確認しにやって来た。

咄嗟に優佳はワンダーライドブックを開き、ガオルをブックの中に戻す。

海兵:君、あの怪物たちを知らないか?

優佳:さっき出航した船に乗っていたかと。その怪物たち、女の人を攫っていました。

海兵:きっとお嬢様だ。怪物の親玉みたいな奴がお嬢様を連れ去るのを見たし…ん?

海兵たちの視線が、優佳から美玖に移っていく。


海兵:お、お嬢様ではありませんか!?

美玖:へ?わ、私???

海兵:ご無事で何よりです、エリザベス様。

海兵たちが美玖を囲み、そのまま連れ去ってしまう。

優佳:え?あ、その子違いますよー!

海兵:ありがとう、君が助けてくれたんだね。

優佳:あ、いえ…だから…

海兵:これは、ほんのお礼だ。

海兵の1人が優佳に銀貨10枚を渡し去って行く。



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優佳:あわわ…どうしよう💦美玖が誰かと間違われるし、メギドは行方不明だし…

ガオル:落ち着くんだ、優佳。

ワンダーライドブックから出てきたガオルが、優佳を宥めた。

ガオル:この世界のことは、優佳が1番よく知っているはずだ。

ガオルがそう言うと、口に本を咥えて優佳に渡す。その本はここ最近優佳がずっと夢中で読んでいたもので、自由を愛する海賊の船長と呪われた船の話が書かれている。

優佳:そうね。そして、これからどうすれば良いのかも分かる。この本の世界の主人公、キャプテン・アン・ドーラを探す。


ーセントロイヤル 総督の館ー

総督:あぁ…無事で良かったよ、エリザベス。

この町の総督が、娘と勘違いしている美玖に向かって話しかけていた。

美玖:いや、私エリザベスじゃないです…

その美玖はというと、侍女たちによってドレスを着せられていた。

総督:海賊に攫われ、今度は見たこともない怪物に攫われかけるとは…

美玖:違うんです。あなたの本当の娘さんは、まだアイツらに捕まってます!(ってか、ドレスキツい…💦)

総督:あぁ、可哀想に…色々ありすぎて、自分を見失って…

美玖:(いや、その…お父様?話聞いてますか??)


ーセントロイヤル 砦ー

この砦では、海兵たちが交代しながら海の方から
敵襲があった時に備えて見張りをしていた。そこに優佳が到着し、海兵たちの行動に注視しながら潜入した。

優佳:…!

砦の内部に進むと、壁に海兵の制服がかけられているのを見つけた。周りに誰もいないのを確認し、優佳はその制服を奪うと制服に着替えた。


海兵に変装した優佳が向かったのは、囚人たちが捕まっている監獄だった。その監獄の通路にいた
見張りの海兵が優佳の方に向かってきた。

海兵:おい、交代はまだな筈だぞ?

優佳:あぁ、でもさっき隊長から命令があったんだ。代われってさ。

優佳は声をいつもより低くして、男のように喋る。

海兵:ほんとか?一応、念の為…

優佳:あ、いやいや、確認しなくて大丈夫!

何故かピースして誤魔化そうとする優佳。

海兵:いや、確認してくる。

優佳:(マズイ、それじゃバレる…仕方ない…)

出来ればしたくはなかったと心の中で思いながら、優佳は海兵のみぞおちにパンチを入れ気絶させた。


気絶させた海兵を木箱の裏に隠し、優佳は監獄の通路を進み、一つ一つの牢屋の中にいる囚人に次の質問をぶつけた。

優佳:キャプテン・アン・ドーラはどこにいる?

しかし、その質問を囚人にぶつける度に、「知らない」と返答されるか、怒鳴られるかだった。


優佳:誰も知らないのかな…?

半ば諦めかけていた優佳は、監獄の1番奥の牢屋に着き、同じ質問を囚人にしようとした。が、そこには、服と帽子が床に突き刺してある木の棒にかけられていただけで、人の姿が見当たらなかった。

優佳:?誰もいない…?

この監獄には目当ての海賊がいないとふみ、優佳が牢屋の柵に背を向けた。



ガシッ!


優佳:!?

不意を突かれた優佳は、首に腕を巻かれ身動きが取れなくなった。

?:悪いね、海兵さん。剣を寄越してくれない?

優佳の首を拘束した囚人の声は女のものだった。

優佳:ぐっ…そ、その前に聞きたいことがあるの。

首を絞められていた優佳は、掠れる声で話を続けた。

?:あんたと話すことは無いよ。

優佳:キャプテン・アン・ドーラを探しているの…し、知らない?

?:!



優佳の首を絞めていた囚人がその質問を聞いた瞬間、腕を緩め優佳の首から離した。

?:あんたツイてるね。っていうのも…

首を解放された優佳が振り向く。


?:アタシがその、キャプテン・アン・ドーラさ。

優佳:黒い帆の世界最速の船、ダーク・サファイア号の船長。

アン:よくご存じで。

優佳:あなたの助けがいるの。

アン:随分と単刀直入ね?

優佳は懐から銀貨を10枚取り出し、アンに手渡す。

優佳:前金にこれを。

アン:なるほど、良いわ。この牢屋から出るのを手伝ってくれる?そしたら、そっちの願いを聞くよ。

優佳:分かった。


15話に続く。

※お詫びとおまけ(主人公、全く出てこなくてすいません…キャプテン・アン・ドーラの船の名前は、最初は○ラック・パー○にしたかったのですが…色々あるので変えました)

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