姉に溺愛されているお嬢様を助けただけなのに… 5話
彩ちゃんの家のSPさんたちに誤解されて連行され、彩ちゃんのお姉さんと顔を合わせて漸く解放され、そして今、美空の家まで美空を送るために一緒に帰り道を歩いていた…
〇〇:おし、着いたぞ〜
美空:え、まだだよ?
〇〇:は?まだって、ここ美空のアパートだろ?
美空:それはそうだけど、今日は家帰らないよ。
〇〇:へ?どゆことです?
美空:だって、今日は〇〇の家に泊まるから。
〇〇:はぁああ⁉️
美空を家まで送ってから自分の家に戻るつもりでいたのに、まさかこうなるとは…
〇〇:なんでそうなる⁉️
美空:なんでって、久しぶりに〇〇の家泊まりたいからさ〜
美空:ダメ?
〇〇:えぇ…
〇〇:こ、このあとバイトあるから俺家に居ないぞ。
美空:そうなの?
〇〇:ああ。
美空:じゃあ、美空がご飯作って家で待っててあげる!
〇〇:いやいや、んなことしてもらわなくていいから!!
美空:ダメだよ、これからバイトなら帰ってくるの夜遅いでしょ?
〇〇:お、おう。
美空:だから、美空が〇〇のために愛情込めた料理作っておくね!
〇〇:え、いやぁ…
〇〇:とにかく平気だからぁあーー!
そのまま美空を置いてダッシュしていった。
美空:あ、待てこのヤローーー!!!
美空:って、速い…
彩:♪〜〜
部屋着に着替えた彩は、鼻歌をしながら廊下を歩き自分の部屋に向かっていた。
部屋に着いた彩は椅子に座り、今度の休みに〇〇とサイクリングしに行くのが楽しみでスマホを起動してLINEを開き、スマホの画面に表示されている〇〇のアイコンを見ていた。
彩:ふふ、また〇〇さん電話かけちゃおっかな〜
コンコンッ
部屋のドアがノックされた。
美波:彩〜、入るよ。
彩:は〜い。
ドアが開き、姉の美波が部屋に入ってきた。
美波:思ったより元気そうね。
彩:うん。元気だよ?
美波:さっき、お父様に叱られていたから落ち込んでいたかと思って。
彩:まぁ〜、さっきはちょっと落ち込んじゃったかな…
彩:でも大丈夫だよ、お姉様。
美波:そっか、良かった。
彩が立ち上がり、美波の背中に回ると肩を揉み出した。
美波:あぅ!
彩:ふふ、肩凝ってるよお姉様。
美波:そうみたい。
彩:彩がマッサージしてあげるね♪
そう言って、姉をベッドに座らせた。
美波:(はぁ〜、良い子過ぎるよ彩!)
彩の頭を撫でようとしたが、マッサージの邪魔になってしまいそうなので遠慮した。
彩:ねぇ〜お姉様?
美波:何?
彩:ずっと聞きたかったんだけど、なんで私と〇〇さんが一緒に出かけたりするの許してくれるの?
美波:知りたい?
彩:うん。
美波:う〜ん…、秘密!
彩:えぇ〜、何でよ〜!教えてよ〜お姉様!
美波:秘密ったら、秘密よ。
彩:むぅ〜、いじわる〜
ムスっとした顔をして頬を突っつついてくる彩を見て、美波は笑みが溢れていた。
美波:(くぅ〜、彩は何しても可愛いんだから!)
姉妹は仲睦まじく一緒にいた。
〇〇:ふ〜
美空をアパート前に置いてダッシュして、家に帰ってきた。
〇〇:ったく、疲れたわ。
ピンポーンッ
ガチャッ
美空:も〜う、脚速すぎ〜
〇〇:なんでここまできた!?
美空:だって、泊まりたいんだもん。
美空:あ、今からバイト?
〇〇:無いよ、今日は。
〇〇:美空の頼み断る為に嘘ついただけ。
美空:え〜、酷ッ。
〇〇:悪かったよ…
美空:とにかく、今日は泊まるからね〜
〇〇:わーったよ、もう遅いし泊まってけ。
美空:わーい!
〇〇:わーい、じゃないわ。
仕方なく〇〇は美空を家に入れた。
美空:く〜、やっぱり〇〇の家って綺麗だよね〜
〇〇:そうか?
美空:うん。流石〇〇。
〇〇:そりゃあ、ありがと。
〇〇:夕飯作るから、待ってて。
美空:いぇーい、〇〇の手料理だー。
食材を冷蔵庫から出して〇〇は料理を開始した。
〜30分後〜
〇〇:出来たぞ〜
美空:うわぁ〜、チンジャオロースじゃん!
美空:美味しそう!
〇〇:何作ったら良いか分からなくて、適当に決めたけど、良いかこれで?
美空:うん、ありがと!
食卓に座って、〇〇と美空は食べ始めた。
美空:ねぇ、〇〇?
〇〇:何?
美空:なんでさっき、私が泊まるのを嫌がってたの?
〇〇:え、いやぁ…泊まるのを嫌がっていたっていうか…
美空:もしかして、あの子関係ある?
〇〇:ぶほぉ!?
〇〇:げほげほっ!
食卓から顔を逸らして、〇〇は咽せた。
美空:だ、大丈夫⁉️
〇〇:ああ、悪い悪い。
美空:いや良いけど…
美空:やっぱり、あの子のこと好きなんだね?
美空に真っ直ぐな眼差しで見つめられ、〇〇は
少し黙った。
〇〇:・・・
〇〇:う、うん…
美空:ふふ、そっか。
美空:分かるよその気持ち。
〇〇:え?
美空:私も…
美空:空ちゃん以外に浮気しそうになって、いけなぁあああい!ってなったことあるし。
美空:だから、私と一緒にいたら悪い気がしたんでしょ?
普段ヲタ活してるのとは打って変わって、いやヲタ活しているからか、そういうのには気遣い出来るのかと、〇〇は美空に対して感心していた。
〇〇:んまぁ…それに近いな。
美空:だとしたら、ごめんね。急に泊めてとかせがんで。
〇〇:いや、良いよ。ただ…
〇〇:俺、迷っているのかも…
美空:迷っているって?
そっぽに向けていた顔を、美空の方に向き直して言った。
〇〇:さっき美空と手繋いで歩いていた時、美空のこと…その…
言おうとすると顔が熱くなっているのが感じられて、口が止まってしまった。
美空:ふふ、無理して言わなくて良いよ。
〇〇:え、いやぁ…
美空:早く食べちゃお?
〇〇:ああ、そう…だな。
夕飯を食べ終えて、お互い風呂に入り着替えて寝る準備が出来ていた。
〇〇:美空は俺のベッド使って良いよ。
〇〇:俺はソファーで寝るから。
美空:え、良いよ。私がソファーで。
〇〇:良いって、遠慮するなって。
美空:じゃあ、〇〇も一緒にベッドで寝ようよ。
〇〇:いや、狭くて寝られないだろ?
美空:良いじゃん、ほら。
〇〇:わっ!
美空に腕を引っ張られて、結局は同じベッドに2人で寝ることに…
美空:こっちの方が寂しくないでしょ?
〇〇:ん、まぁ〜な。
美空:じゃ、おやすみ。
〇〇:ああ、おやすみ。
そうは言ったものの、2人は天井を見つめていた。
〇〇:美空。
美空:何?
〇〇:なんか、寝れないな…
美空:ふふ、そうだね。
少し間を置いて、〇〇は再び口を開いた。
〇〇:さっき飯食べていた時の話の続きだけどさ。
美空:うん。
〇〇:美空と手繋いで歩いていた時、美空が可愛いって思ってその…ドキッてした。
美空:そう、なんだ…
美空:ふふ、嬉しいな〜〇〇にそう思われて。
〇〇:え?
美空:てっきり、ただのヲタクにしか見られてないのかなって思ってたからさ。
美空:私もね手繋いで歩いていた時、〇〇がカッコ良く見えたよ。
〇〇:美空…
美空:じゃ、今度こそおやすみ。
〇〇:え、ああ…おやすみ。
今度は、2人とも目を閉じて眠りに就いた。
〇〇:(彩ちゃんと今度デートに行くっていうのに、こんなことして…)
〇〇:(俺って、ダメな男だな…)
眠りに就く直前、〇〇はそう1人思った…
6話に続く
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