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悪夢で出会った彼女は、俺のために…
※(この話は、実際に体験した方の話を基にフィクションを混ぜて作成しています。)
ことの発端は、中学生の時のことでした。
夜、自分の部屋のベッドで寝ていると夢を見ていました。
?:…〇〜
〇〇:ん…?
?:〇〇!
バスで眠っていたところを隣から肩を軽く叩かれて起こされると、幼馴染の遥香がいました。
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遥香:寝てたの?
〇〇:ああ、うん。
遥香:そっか。ふふ。
〇〇:なんで笑ってるの?
遥香:いや、幼馴染の寝顔って可愛いな〜って笑
ツンツン
〇〇:な、やめろって。
遥香:く〜、ムスッとしちゃうのもたまらないね〜笑
自分の頬を突っついてくる遥香の手を軽く振り払って、それから二人でお喋りしていたんだと思います。
しかし、少しすると奇妙なことが起きました。
隣の遥香が疲れたのか眠っていて一人で起きていた自分の視線に、バス停で立ち止まっている女の人が見えたのですが、
何故かバスはその女の人をスルーして、そのままバス停を通過してしまったのです。
〇〇:(え?なんで?)
不思議に思いながらも、たまたまその女の人が運転手には見えなかったのだろうということにして、隣の遥香のように自分もそのまま目を瞑って眠りました。
けれど…
ドンッ!
〇〇:!
何かがぶつかる音が聞こえて目を覚ますと、窓から強烈な視線を感じたのです。
恐る恐るその窓の方を見ると…
「ノセロォオオオオオオ‼️」
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〇〇:⁉️
バスの窓には、あのバス停で立っていた女の人が白目を向けて恐ろしい形相で張り付いていたのです…
〇〇:がはぁ⁉️
〇〇:はぁ…はぁ…
その恐ろしい夢から目を覚ました時、朝を迎えていました。
学校に行くと、
遥香:おっはよー、〇〇!
〇〇:よぉ…
遥香:どした?そんな暗そうな顔して。
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いつもより声が小さくて目にクマが出来ていたからか遥香に心配され、
〇〇:いやぁ…夜にな、変な夢見てさ…
遥香にその夢のことを話したのです。
遥香:うッ…なんか結構リアルだね…
〇〇:うん、やばかった…
遥香:そりゃ、そんなクマができるわけだ。
〇〇:ああ…
遥香:まぁ、でも夢だしあんま気にしすぎない方が良いよ?
〇〇:そう、だよな。
遥香:うん。
遥香:あ、そうだ。頼みがあるんだけど…
と悪びれながら、蓮加が鞄からノートを出して自分の机に置いてきました。
〇〇:ん?おい、まさか…
遥香:ごめん!宿題今日までなの忘れてた!
遥香:見せてください、数学のノートを!
〇〇:ったく、またかよ。
〇〇:仕方ないな、ほらよ。
遥香:おほ〜、助かるー!
遥香:これで、居残りさせられずに済むわ〜
〇〇:呑気なこと言ってないで早くやれって。
いつものように遥香に数学のノートを貸して宿題が終わるのを手伝った。
遥香:はぁ…間に合った。
遥香:ありがとう〇〇。
〇〇:うん、次から気をつけなよ?
〇〇:って言っても意味無いんだろうけど。
遥香:へへ〜、よくわかってるじゃん!
〇〇:何がよく分かってるじゃん!だよ…
遥香:あ、あとで売店で菓子パン奢るからさ。
〇〇:まじ?
遥香:うん、まじまじ!
〇〇:あざーす。
そんな幼馴染とのやり取りのお陰か、その日のうちに夢のことは頭からすっかり離れていました。
しかし、それで終わりではなかったのです…
年月が経ち、高校生になった時のことでした。
その日の夜、自身が寝床にしている部屋のロフトで目を覚ますとロフトの下から物音が聞こえてきたのです。
ギィ…
ギィ…
まるで部屋の壁をを何者かが手で押すような、あるいは床を足で踏み付けるような。
〇〇:(誰か、下にいる…)
恐怖のあまり目を瞑り、音が止むのをただひたすら願っていました。
しばらくすると、
シーン…
音が止み、恐る恐るロフトから顔を覗かせて下を見てみました。
〇〇:誰も、いない。
安心して、仰向けになって眠ろうとしたその時…
〇〇:!?
天井から黒い長い髪の毛と白い肌の手が突然伸びてきて、手首を抑えられました。
必死に抜け出そうと抵抗しましたが、手首を押さえつける力が強く敵いませんでした。
髪の毛から不気味な笑みの顔が現れこちらに近づいてきた瞬間、
〇〇:はぁっ!?
目を覚ましました。
またも、恐ろしい夢を見たのかと思い何気無く天井を見上げた瞬間、
「ナンデムシシタァアアア❗️❗️」
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〇〇:うわぁあああ⁉️
夢で見たのと全く同じの、黒い長い髪の毛と白い肌の女に手首を掴まれ拘束されてしまったのです。
そして、首元を噛まれ…
〇〇:んは!?
しばらく気を失っていたのか、気がつくと朝になっていました。
〇〇:なんて夜だったんだ…
悪夢を重ねてみるという災難に遭い、それでも夢だったと思いながら洗面所に向かいました。
しかし…
〇〇:嘘だろ…
鏡を見た瞬間、首にアザができていたのを見つけてしまいました…
それも、夢で噛まれた場所と同じところに。
それと同時に、あることに気づいてしまいました…
自分の手首を押さえ付けて首に噛みついてきたあの女、
それは中学生の時に見た夢の中の、
バスの窓に張り付いていたあの女性と全く同じ顔をしていたことを…
朝からとんでもない目に遭ったものの、急いで学校に行かなければという思いが強く、半ば強引に恐怖を押し殺して登校しました。
遥香:〇〇、また目にすごいクマ出来てるよ?
〇〇:え、まじ?
遥香:うん、まじ。
遥香:また変な夢でも見たの?
〇〇:んまぁ…そんなところ。
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遥香:大丈夫?ストレス溜まってんじゃないの?
〇〇:いや、大丈夫。
遥香:本当?なら良いけど…
〇〇:うん、心配してくれてありがとう。
その時は遥香に余計な心配をかけたくないとでも思っていたのか、女のことは一切話しませんでした。
こういう時、大抵しばらくの間は怪奇現象なんかに見舞われ続けるものでしょうが、不思議とそれからはまた特に何も起きず平凡な日々が過ぎていったのでした。
ところが…
それから年月が経ち、社会人になった時のことです…
とある会社に入社して3ヶ月の研修を終え、本格的な仕事に向けて研修棟の近くのホテルに泊まって居ました。
夜中の3時頃ベッドの上で横向きに寝ていると、
鍵を閉めているのに人の気配が自分の部屋にしたのです。
それも自分の真後ろにあり、その直後金縛りにも遭いました。
〇〇:(嘘だろ、こんな時に…)
既に自分の身に起きていた怪奇は終わったものとばかり思っていたので、その時はすごく焦りました。
〇〇:(頼む、頼む…早く終わってくれ…)
目を瞑り背中に人の気配をずっと感じながら汗をたらし、ひたすら事態が収まるのを願っていました。
30分後…
気配が失せ、金縛りも解けていました。
〇〇:仕事が落ち着いたら、誰か霊媒師の人に見てもらおう…
長い間、この霊現象に見舞われ続け流石に一人ではどうしようもないと思いそう決意したものの、その後仕事が忙し過ぎてそれどころではなくなりました。
それからまた月日が過ぎた時のことでした。
母方の祖父の容態が悪化してもう先は長くないとの知らせを受け、一人で実家に帰ってきた時のこと。
一人で家に居たはずでしたが、
ミシッ
畳を踏む音がして、
〇〇:?母さん?
母が帰ってきたんだろうと思い振り返ると、
?:あっ。
〇〇:えっ?
見知らぬ美しい女性が立っていたのです。が、下の方を見ると…
〇〇:!?
足が透けていて、床に本来ついてる筈の足が無かったのです。
〇〇:うわぁ!!?
?:お、落ち着いて!!
?:ごめん、驚かして…
〇〇:あ、あの…貴女は??
?:え?分からない?
?:ずっと、君の近くにいたんだけどな〜
ずっと…
その言葉を聞いて、思い出しました。
〇〇:もしかして…
〇〇:中学生の時から…夢で。
?:うんうん!
〇〇:高校生の時に、部屋で首に噛み付いて…
?:あ、うん…
〇〇:それから、この前ホテルで金縛りに…
?:うん…
あの恐ろしい形相をしていて首に噛み付いてきたあの女は黒髪だったのに対して、今目の前にいる美しい女性は茶髪だったのもあり、最初は2人が同一だというのが信じられませんでしたが、確認したところどうやら本当に同一だということが分かりました。
〇〇:あの、名前聞いても…
?:ああそうだった!教えてなかったね。
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?:美波。
〇〇:その、美波はなんで今までこんなことを…
美波:本当にごめんね…怖かったよね。
美波:あの時、〇〇に怖い思いをさせてる自覚はあったんだけど、その時まだ怨念が強過ぎて自分じゃどうしようもなくて…
美波:でも、どうしても〇〇に私の存在を知ってもらいたくて…
〇〇:お、俺に?
〇〇:でもどうして…
目の前の美波にそう聞くと、彼女は横を向いて悲しそうな目をしていた。
美波:私ね、昔彼氏に振られたの…
美波:ずっと大好きだったのに、向こうは別の女と浮気していて。
美波:悲し過ぎて、耐えられなくて…それで、私川に飛び込んだんだ…
〇〇:!
美波:死んで楽になろうと思ったけど、成仏できずにこの世を彷徨いていたら〇〇を見つけたの…〇〇があの子と楽しそうに歩いているのを。
美波:そうしたら、凄く嫉妬して…
〇〇:それで、あんなことを…
美波が小さく頷いた。
美波:でも、それから〇〇があの子と会わなくなって、私初めて〇〇が可哀想だって思ったの…
〇〇:え?
美波:だってあんなに仲良かったのに、あの子には好きな人が出来て…それで、〇〇は一人ぼっちになっちゃって…まるで、私みたいに…
美波の言う通り、俺は高校生の時に遥香に彼氏ができたことを知った。
遥香に告白しようと思ったその日、彼女からそう告げられたのだ。
それっきり、遥香とは連絡さえ取らなくなっていた…
美波:だからね、私決めたの。〇〇が幸せになれるように助けようって。この前のホテルの時は、〇〇に悪い霊が取り憑こうとしていたから私が追い払って…
〇〇:美波…
美波のもとにそっと歩み寄りました。
〇〇:ありがとう。
〇〇:優しいんだね、美波は。
美波:え?
彼女に微笑みかけて言いました。
〇〇:だって美波は自分が物凄く辛い思いをしたのに、それでも俺に幸せになって欲しいって思ってくれてるんだから。
〇〇:俺は、それがすごく嬉しいよ。
美波:うぅ…
涙を浮かべた美波が、俺に抱きついてきました。
抱きついたと言っても向こうは幽霊だから当然感触があるわけではないけれど、それでも美波がそうしているのを確かに感じたんです。
美波:ねぇ聞いて、〇〇。
〇〇:何?
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美波:遥香ちゃん、今でも〇〇のこと好きだよ。
〇〇:え?
美波:あのホテルでの後、〇〇が部屋で遥香ちゃんと一緒に写ってる写真を眺めていたのを見たの。やっぱり〇〇は遥香ちゃんのこと好きなんだなって、そう思ったらなんとか出来ないかなって思って…
美波:それでね。遥香ちゃんを探しに行ったの。
〇〇:え、美波が?
美波:うん。そしたら、一人暮らししてる遥香ちゃんを見つけたよ。
美波:泣いてたよ、付き合ってた彼氏と別れたらしくて…
美波:それで、遥香ちゃんも見てたの。〇〇と写ってる写真を…
〇〇:!?
美波:だから、遥香ちゃんに連絡してあげて。
美波にそう言われ、俺はすぐ遥香にメッセージを送りました。
「久しぶり〜、元気にしてる?」
そんな感じの内容だったと思います、送ったのは。
すると、
「久しぶり!!」
「びっくりしたよ、〇〇から連絡きたから。」
「ねぇ、今度の休みさ。久しぶりに会わない?」
遥香からすぐ返信が来たのです。
俺は、急いで入院している祖父のもとに向かいました。
遥香に会いたいということを、祖父に伝えるために。
祖父:そうか、そうか。
祖父:うん、行ってくると良い。
〇〇:ほ、本当に良いの?
祖父:当然じゃよ、折角思い人に会えるんじゃからな。
祖父:わしになんか遠慮するな。
〇〇:あ、ありがとうじいちゃん!!
祖父:おう、それまではワシも元気でいないとじゃな笑笑
祖父の許しを得て、俺はその週の土曜日に遥香に会いに行きました。
駅に着き改札を出ると、
遥香:〇〇ー!!
こちらに向かって大きく手を振る遥香の姿がありました。
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〇〇:遥香ー!!
こっちも手を大きく振って、遥香のもとに向かいました。
遥香:ありがとね、来てくれて。
〇〇:うん、俺も遥香に会いたかったからさ。
遥香:へへ、そっか。嬉しいな〜
遥香:てか、〇〇カッコ良くなったね!
〇〇:そ、そうか??俺は別に何も変わった気しないけど…
遥香:ま、自分のことなんてそんなもんだよ。
遥香:ね、カフェでも行く?
〇〇:あ、うん。そうだな。
年月が経ち、遥香の方はすっかり魅力的な大人な女性になっていて、そんな遥香を見ていたら、思わずドキっとしてしまいました。
それからカフェに行き、それぞれが注文した物をテーブル席で座って飲みながら、昔ばなしやここ最近の互いの仕事のことを談笑していたんでしょう。
久しぶりだから、話に詰まることがあるのではと思っていたんですが、そんな心配なんか必要ないくらい、二人で盛り上がっていました。
それから、二人でアパレルのお店に行ったりして洋服を試着して気に入ったのがあれば買ったり、ゲーセンに行って阿呆みたいにはしゃいだり…
気づいたら、夕方になっていました。
街中を二人で歩いていると、遥香が立ち止まって俺の方を向いたのです。
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遥香:〇〇、今日本当にありがとうね。
遥香:〇〇と会って、いろんなところ行けて凄く楽しかった。
〇〇:こちらこそだよ、遥香。
〇〇:俺も久しぶりに遥香と会えて、はしゃいで凄く楽しかった。
遥香:うん。
遥香:あのね、〇〇に伝えたいことがあるんだ。
〇〇:うん、聞くよ。
遥香:その、高校生の時に私彼氏できたって言ったじゃん。
遥香:この前、その彼氏と別れたんだ…
遥香:振られたんだ、向こうは別に好きな人が出来たって。
〇〇:え…
美波から聞いていたことではありましたが、改めて本人の口から聞くと胸が痛くなりました。
遥香:すっごく悲しくて、どうにかなっちゃいそうだったよ…
遥香:そしたら〇〇から連絡きて…
遥香:凄く嬉しかったの!
〇〇:遥香…
遥香:それでね私、〇〇に会って言おうと思ったことがあるの。
遥香:その、
私と付き合ってくれませんか?って…
そう向こうが言った瞬間、
遥香:え?
無意識に俺は彼女に抱きついていました。
〇〇:こんな俺でよければ、よろしくお願いします。
そう言って遥香の顔を見ると、
泣きながら笑っていました。
遥香:ありがとう、〇〇!
遥香に告白され俺たちが恋人同士になると、
美波:うぅ…良かったよぉおおおおお!!!!
真っ先に美波が泣いて喜んでくれました。
〇〇:お、おう…
美波:良かった、二人がちゃんと結ばれて。
感触こそなかったものの、美波が俺の肩の上でボロ泣きしていたんです。
〇〇:美波、ありがとな。
〇〇:美波のおかげで、俺遥香と一緒になれたよ。
美波:うんうん。
美波:じゃ、これからは二人が結婚して子どもができるまで見守っていようかな〜
〇〇:え?
〇〇:成仏は?
美波:まだしないよ〜
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美波:だってぇ、折角だしもうちょっと〇〇といたいな〜
美波:それとも、迷惑?
〇〇:いや…
〇〇:わかった、もうちょっと一緒にいて良いよ。
美波:やったぁあああ!!!!
幽霊だけど物凄く生き生きと喜んでいた美波でしたが、正直俺も美波なら一緒にいて欲しいっと思ってました。
だって、美波のおかげで今の俺たちがあるんですから。
それから、美波という守護霊のおかげで時々自分を悪霊から守ってもらったり、知り合いに悪い霊がついていたりすると教えてもらったり。
今でも、彼女にはお世話になっています。
fin.
※(この話は、実際に体験した方の話を基にフィクションを混ぜて作成しています。)
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