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4話「使命」

ー横須賀フェリーターミナルー

さくら:着いた〜!うわぁー、久しぶりの東京!

飛鳥:いや、ここまだ横須賀!

さくらに飛鳥がツッコミを入れ、2人はバイクに乗りフェリーから港へ下船していく。


さくら:そうだ、横須賀の海軍カレーでも食べに行きません?

飛鳥:あのね、また言うけど遊びに来たんじゃないんでしょ??

さくら:でも、お腹空いてません?

飛鳥:いや、別に…

そう否定した瞬間、


(お腹のなる音)


盛大に飛鳥の腹から鳴り、顔を真っ赤にしていた。

さくら:ほら、空いているじゃないですか!もう、飛鳥さん痩せ我慢しちゃって〜笑

飛鳥:う、うるさい!!仕方ないでしょ!?

怒鳴ったものの、このまま何も食べないでいたら空腹で倒れそうだったので、仕方なく飛鳥はさくらの提案に乗っかった。


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長年自分を虐めてきた者たちへ復讐を果たした美月は、突然現れた戸田という男によってスマートブレイン社の本社があるビルに車で連れて行かれた。戸田は美月の教育係という任務があるそうだが…


ースマートブレインビルー

ビルの中の受付嬢によってラウンジに案内された二人は、ソファに腰をかけた。

戸田:どうだ、初めて人を襲った感触は…?

戸田にそう聞かれ、美月は初めて自分が人の命を奪ったことを実感し、口を閉ざしてしまう。

美月:…

スマ:もう〜そんな急かさないでください、戸田さ〜ん。美月ちゃんは、まだまだ出来たてホヤホヤのオルフェノクちゃんなんですから〜

戸田の隣に音沙汰もなく現れたスマート・レディが割り込み、美月の横に移動すると、美月の肩に手を添えた。

スマ:私は、美月ちゃんを応援してますからね〜あ、戸田さん。実習お願いしますね。

そう言い残して、スマート・レディはラウンジから退出して行く。



美月:実習って…?

戸田:俺たちオルフェノクの使命って何かは聞いているな?

戸田に聞かれ少し考えたのち、美月はスマート・レディに言われたことを思い出す。

美月:仲間を、増やす…

戸田:そうだ、俺たちオルフェノクは人間に比べて数が圧倒的に少ない。
今、人間とオルフェノクの生存をかけた戦いが密かに始まっているんだ。

美月:生存をかけた戦い…

戸田:俺たちオルフェノクは人間を襲い、人間をオルフェノクに変えることが出来る。だが、全ての人間がオルフェノクになれるわけじゃないんだ。

(ドアを叩く音)

戸田と美月が音のした方向を向くと、スーツ姿の若い男がカバンを持って立っていた。


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ーカレー屋さんー

飛鳥:(うわぁ、しまった…)

目の前に出された海軍カレーから上がる湯気を見た瞬間、飛鳥は肩を落とした。

さくら:あ、そう言えば…猫舌…

飛鳥:さく…恨むぞ…

さくら:少し待ってから、食べれば…

すっかり飛鳥が猫舌なのを忘れてたさくらは、申し訳程度に言う。



?:あっ!?

飛鳥・さくら:!?

慌てる声が聞こえた次の瞬間、飛鳥の目の前に水が入ったコップが落ちてき、コップから溢れた水が飛鳥が注文した海軍カレーの中に混ざっていく。

?:ご、ごめんなさい!!服とか汚れてないですか!?あ、あとカレー、新しいの僕が頼みます!

コップを落とした青年が飛鳥に謝罪し、カレーのルウなどが飛鳥の服の服についていないか確認し、財布からお金を出そうとした。

飛鳥:あ、だ、大丈夫です…あと、カレーはこのままで良いです(てか、ナイス)

?:え、あ…本当ですか?でも…

さくら:あれ、啓太郎?



さくらが青年の名前と思われる名を口にすると、青年がさくらの方を見て目を大きく見開く。

啓太郎:え、えんちゃんじゃない!久しぶり〜!帰ってきてたの??

さくら:う、うん…今日、丁度帰ってきたばかりで…

啓太郎と話すさくらの顔が少し、赤くなっていた。


啓太郎がさくらの隣の席に座ると、さくらが飛鳥のことを紹介した後に啓太郎が飛鳥に自己紹介をした。

啓太郎:僕、菊池啓太郎って言います。今は、親から引き継いだクリーニング屋をしています。

飛鳥:ってことは、啓太郎君が店長さん?凄いね。

啓太郎:いや〜それほどでも…笑。でも洗濯物が真っ白になって、お客さんに喜んでもらえるのがやりがいになっています。全ての人の洗濯物を綺麗にするのが僕の使命っというか…あ、そういえばえんちゃん、この後2人はどうするの?

さくら:え、ああ…お父さんに会いに東京に行くつもりだよ。

啓太郎:そっか。良かったら、東京まで送って行くよ。

さくら:え、いや良いよ…なんか、悪いし。

啓太郎:良いよ、こっちだって今日は休みでここにドライブしに来ただけだし。

さくら:それなら、尚更…

啓太郎の提案にさくらが否定気味でいると、


飛鳥:送ってもらいなよ、さく。折角、啓太郎君が言ってくれてるんだしさ。

飛鳥は、さくらに啓太郎の提案に乗っかるよう促した。

啓太郎:ほら、飛鳥さんもそう言っているし。それに、友だちなんだから遠慮しないでよ。

啓太郎がそうさくらに向かって言っている間に、飛鳥はこっそりその場から去ろうとした。

啓太郎:あれ、飛鳥さん?どこに?

飛鳥:あ、いや…ちょっと用を思い出したんで。じゃ、また…

飛鳥は笑って誤魔化して、そのままダッシュしていく。

さくら:あ、待ってください!!

飛鳥の後を追っかけようと、さくらも走り出す。

啓太郎:あ、ちょっと二人とも…カレー、食べないの??

テーブルに置かれた二皿のカレーを見つめながら、啓太郎がぼやく。


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ースマートブレインビル ラウンジー


?:あの、アルバイトの者でここに来るように言われました。

戸田:待っていたぞ。

?:あの、それで僕は何をすれば…

スーツ姿のアルバイトの男がこちらに近づいた直後、部屋の照明が一気に暗くなる。

美月:?

アルバイト:?

そして、立ち上がった戸田の顔に模様が浮かび姿がオルフェノクへと変貌する。

アルバイト:うわぁぁ!?

突然目の前の人間が異形の化け物に変身し恐怖で声をあげたアルバイトに向かって、戸田は杖のようなものを召喚しその杖先から黒い液状の塊を飛ばすと、塊はアルバイトの顔に付着した。



液状の塊はアルバイトから呼吸の自由を奪い、そのままアルバイトの口から気道を通って流れ込んだ先にある心臓を燃やす。

美月:!?

そして、そのままアルバイトは前方に倒れこむ。

戸田:これが、俺たちの使命だ。

オルフェノクから人間の姿に戻った戸田が、再びソファーに座る。



その直後、アルバイトは目を覚まし虚ろな表情で立ち上がるも、すぐ全身が灰となって崩れてしまう。

戸田:くじ引きで言えば、コイツはハズレだ。

美月:ハズレ…

戸田:オルフェノクに襲われた奴は、大抵一時的に目覚めるが直ぐにくたばる。君があのいじめっ子たちにしたのは、こういうことだ。不幸なのか幸いなのかはさておき、彼女たちは全員灰になって消滅したがな。

美月:…



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ー横須賀 駐輪場ー

さくら:待ってください、飛鳥さん。

バイクに乗って今にも走りだそうとした飛鳥を、追いついたさくらが呼び止める。

飛鳥:なんでここに来たのよ…

飛鳥はヘルメットのカバーをとり、顔を出した。

さくら:どうしていなくなろうとしているんですか?

飛鳥:もう、一緒にいるのが嫌になったの!

さくら:そんな…

そう言いながら、飛鳥はエンジンをかけようとした。



さくら:嘘つき…

飛鳥:え?

さくら:飛鳥さんの嘘つき…

目が少し赤くなりながら、さくらは飛鳥を非難する。

さくら:約束したじゃないですか、一緒に東京まで行ってくれるって…

飛鳥:あのね、それはあの時は私しかいなかったから。今は啓太郎君がいるでしょ、さくには。ファイズのベルトは啓太郎君にでも…

さくら:飛鳥さんじゃなきゃ、嫌なんです‼️



さくらが声を荒げて、飛鳥に怒鳴る。

飛鳥:そ、そんなこと言われても困るの!私だって、ずっとさくと一緒にはいられない!!

離していたバイクのバーハンドルを再び握り、飛鳥は今度こそエンジンをかけようとした。

その時、遠くで啓太郎の悲鳴が聞こえた。

飛鳥・さくら:!?



啓太郎:ば、化け物…

突然現れたオルフェノクに恐怖し、啓太郎は尻もちをつき動けずにいた。

オ:お前、ベルトを持っていた奴と話していたな?どこだ、そいつは?

啓太郎:し、知らないです…

オ:嘘をつけ。

オルフェノクが啓太郎に手をかけようとしたその時、ギリギリで駆けつけた飛鳥が突進してオルフェノクを吹き飛ばし、啓太郎から引き離す。




飛鳥:ここにいるわよ、オルフェノクさん?

オ:く…貴様ぁ…

啓太郎:あ、飛鳥さん??

状況が飲み込めない啓太郎をよそに、飛鳥とオルフェノクが肉弾戦を始めた。少しして飛鳥とオルフェノクから距離が開いた啓太郎は、さくらを探そうとあたりを見回す。

啓太郎:(えんちゃん、どこに…このままだと、飛鳥さんが…)

さくら:啓太郎ぉ〜!!これを飛鳥さんに!

ファイズのベルトとファイズフォンを持ちながら走ってきたさくらが、ベルトと携帯を啓太郎に向かって投げる。

啓太郎:え、な…何だかよくわかんないけど…飛鳥さん、これ!!



飛鳥:!ありがとー!

啓太郎からファイズのベルトとファイズフォンを受け取った飛鳥が礼を言うと、オルフェノクの腹に蹴りを入れてオルフェノクとの距離を取ると、ファイズフォンに番号を入力しベルトにセットした。

「5 5 5  Standing By」

飛鳥:変身!

「Complete」


ファイズに変身した飛鳥は、複数発のジャブをオルフェノクに入れた後、右ストレートをオルフェノクに食らわせて地面に転がさせる。

苛立つオルフェノクは、飛鳥に向かって触手を飛ばし飛鳥の体を拘束した。

飛鳥:う…!?

身動きが取れなくなった飛鳥に、今度はオルフェノクが蹴りを入れ飛鳥を地面に転がす。

オ:うおぉぉぉ!!

オルフェノクが走り出して追撃を飛鳥に入れようとする直前、飛鳥は素早くベルトからファイズフォンを取り出し、番号を入力して触手に向かって銃撃する。

「1 0 6  Burst Mode」



ファイズフォンから放たれた光弾により触手を破壊され狼狽えるオルフェノクに、飛鳥は左足で回し蹴りを放つ。

オ:がっぁぁ!?

オルフェノクに隙が生じたのを確認した飛鳥は、メモリを装填したファイズポインターを右足にセットし、ファイズフォンの「ENTERキー」を押す。

「Exceed Charge」

空高くジャンプした飛鳥は、オルフェノクに必殺技「クリムゾンスマッシュ」を繰り出す。

飛鳥:たぁぁぁぁ!!



ファイズの必殺技を食らったオルフェノクは、青い炎を上げて爆発し消滅した。

啓太郎:あ、飛鳥さん…凄い…

目の前で怪物を倒した飛鳥に啓太郎は見とれていたが、それとは反対にさくらの表情からは不満げな様子が垣間見えた。

その3人を遠くから見つめる者が…



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スマートブレインから徒歩で帰宅しようとした美月は、あと少しで自分の部屋がある、スマートブレインが所有するマンションに着くくらいのところまで来ていた。

美月:オルフェノクの使命…

そう美月が呟いた直後、すすり泣く声が近くで聞こえた。

美月:?

気になった美月は声がした方へ足を進めた。その先には、木に寄りかかって顔をうずくめている女性がいた。

?:ぅ…な、なんで…

女性が涙を浮かべながら顔をあげた瞬間、顔に模様が浮かんでいるのが美月には見えた。


そっと美月はその女性に近づきしゃがむと、女性の肩に手を添えた。

?:だ、誰…あなたは…?

美月:あなたの、仲間よ…

?:仲間?

美月:うん。

そう言うと、美月も顔に模様を浮かべた。


4話 完


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