「世を守る裏の仕事」
ー廃虚と化した工場ー
黒いスーツを纏ったマフィアの幹部が煙草を吸いながら、周りに部下と人質を置いて取引相手を待っていた。
暫くすると、一つの足音が廃虚に響いた。
フードを被った男が月の光に照らされながら、アタッシュケースを片手に現れた。男は全身が黒のカラーに包まれていた。
幹部:約束の金は持ってきたか?
〇〇:あぁ、案ずることはねぇ。ここにある。
現金3億円が入ったアタッシュケースを〇〇は渡すと、幹部がケースを開け中身を確認する。
幹部:ふ、確かに貰った。
すると幹部の男が不敵な笑みを浮かべ、右手を懐に忍び込ませる。
(引き金を引く音)
(銃声)
幹部:!?
〇〇:どーした?早く取り出せよ、そいつに込めた弾丸で仕留めたいんだろ?俺を。
男の右手から血が流れており、その傷を呻き声をあげて左手で抑えていた。
幹部:馬鹿が、周りには部下たちがいるんだぞ。こんなことして…
〇〇:ほ〜。お前の部下ってのは、こんな時でも間抜けな面をして寝るのか?
幹部:!?
〇〇に注視していたマフィアの男が周囲を見渡すと、部下たちが泡を吹いて気絶させられていた。
菜緒:それ以上、動くな。
マフィアの幹部は、人質に取っていた女性、小坂菜緒に背後から首にサバイバルナイフ突きつけられた。
幹部:貴様…いつの間に…
幹部の男は漸く、部下たちが全員菜緒によって倒されたことに気づいた。
(発砲音)
(床に倒れる音)
菜緒:!?
一瞬菜緒は、〇〇が倒れたマフィアの幹部の息の根を止めてしまったのかと思った。
〇〇:安心しろ、麻酔銃だ。
フードを脱いだ〇〇の左手にはリボルバーが握られていたが、右手にもう一つの銃が握られておりその銃で撃たれた男は、いびきをかいて眠っていた。
〇〇:相変わらず、忍みたいに静かに大勢を一気に潰すのが得意だな。
菜緒:お褒めの言葉、ありがとう。そっちこそ、流石ね。最初から麻酔銃を使うんじゃなくて、先にアイツの利き手を潰してから麻酔銃で眠らせて安全に拘束する。そういう算段、でしょ?
〇〇:そういうことだ。ま、それに菜緒が奴の後ろにいるんじゃ、リボルバーの引き金は引けねぇーよ。万が一、お前に当たったりしたら…
菜緒:へ〜、優しいのね?
〇〇:余計なこと言うな、さっさとコイツらのリーダーを捕まえるぞ。
菜緒:はいはい。
この男、黒崎〇〇と私、小坂菜緒は、普通の捜査官には手に負えない仕事を任される。全ては、
この国の人々の安全を守る為…
仕事の時、〇〇は私に対して素っ気ない態度でいることが多い。けど、本心は違うのは知っている。
「菜緒の全てを、俺が守る」
この言葉を、私は忘れない。
fin
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