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可愛いうえに対応力の高すぎる彼女 和編
放課後のチャイムが鳴り、教材をカバンにしまって席を立つと、和が横に立っていた。
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和:〇〇、一緒に帰ろ〜
〇〇:おう。
クラスの皆んなには言ってないが、俺と和は幼馴染から恋人同士になった。ついこの前、和に告白した。
(ここから回想)
〇〇:ずっと前から、俺…和のこと好きだった!
頭を下げて、手を和に差し出した。
〇〇:和のこと大切にする。だから、付き合ってくれ。
少しの間、沈黙が続いた。
やっぱり早過ぎたのかな…
そりゃそうだよな、こんな急に言われても戸惑うよな…
幼馴染という関係から大きく変わろうとするんだから、考える時間くらい欲しいよな…
!
そっと、手のまわりが温もりに包まれた。
見上げると、和が微笑みながら言った。
和:ありがとう。
〇〇:え?
和:いつか〇〇にちゃんと気持ち伝えなきゃって、思ってた。でも、ずっと言い出せなくて…
〇〇:和…
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和:〇〇に好きって言う勇気が出せなかったの。だから、ありがとう。
和もずっと前から同じ気持ちだったのか。
和:これからもよろしくね、〇〇。
(ここまで回想)
その日から2週間が経った。
和:ねぇ、今日の英語でさ先生が…
〇〇:ああ、あれ細か過ぎて伝わらないギャグだったよね。
和:そうそう、皆んなキョトンとした顔してたけど、私とか笑っちゃった。
〇〇:分かる、俺も顔隠して笑ってた笑
和:だよね笑
?:おい、姉さん。俺たちと遊ぼうぜ。
目の前に背の高い男が2人立って、和にナンパをしてきた。
〇〇:(うわ、こんなとこで不良⁉️でも…)
おれは和を庇おうと前に出て一言言ってやろうとした。が、
和:興味ないです。
?:なんだよ、つれないこと言うなよ。そんな、弱っちそうな男なんかほっといてさ。
和:鼻毛伸びてますよ、2人とも。
?:はは、嘘だろ?
和:本当です。
カバンから手鏡を取り出した和が、男の人たちの顔面を鏡に写して見せつける。
?:はっ⁉️
和:抜いてあげましょうか?
と言うと、和はカバンから今度はペンチを取り出して男の鼻にぶっ刺して、鼻毛を無理矢理抜き取る。
?:痛ぇええ❗️❗️❗️
ペンチで毛を抜き取られた鼻から血が飛び出していた。
〇〇:(おいおい、なんでそんなの持っているの⁉️)
?:あわわ…
和:貴方も抜いてあげましょうか?
和はペンチの刃の音を鳴らして、不気味に笑いながら言う。
?:すいませんでしたぁあああ❗️❗️
一目散に不良たちが逃げていく。
〇〇:あ、あのさ。俺の鼻毛…
和:無いから、安心して。
〇〇:ほっ…。ってか、なんでペンチなんか持っているの⁉️
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和:いや〜、たまたまお美術の先生に借りてたのを持ってたみたい笑
〇〇:なんじゃ、それ…
駅近くまでやってくると、スーツ姿の男の人が和に話しかけてきた。
?:すいません、お姉さん。芸能界に興味とかありませんか?良かったら、うちの事務所に来ませんか。
ああ、所謂スカウトとか言うヤツだ。
和:興味ないです。
?:そんな、夢を棒にふっちゃうよ?
〇〇:あの、嫌がっているのでやめてくれませんか?
?:君はなんなんだい?
〇〇:この子の彼氏です。
流石にこう言えば、向こうも手を引くと思った。
?:そうかい、ちょっと退いててくれないかい?
と言って腕で、俺を和から引き離してきた。
〇〇:ちょっ、何するんですか?
?:黙っててくれるかな?俺は彼女に話があるんだ。
スーツの男は和の方を向き、和にまた話しかける。
?:どうだい、変なことにはならないからさ。
和:なら、彼氏と同伴で事務所に行くなら良いですよ。
?:それは無理だな。
和:そうですか。それじゃ、あなたの事務所の名刺見せてくれませんか。
?:え?名刺かい?悪いね、今日はなくてね…
和:あり得ないですね。普通営業かけるなら、名刺ぐらい持ってて当然じゃないですか?
和は喋る勢いを止めることなく、次々と男を追い詰めるよう質問攻めしていく。
和:第一、事務所の名前なんですか?
?:あ、それは…
和:可笑しいですね、自分の事務所でしょ?
名前忘れるなんて普通無いと思いますが。
?:うぅ…
警官:どうかされましたか?
そこに、偶々パトロールしていたお巡りさんが駆けつけた。
?:な、なんでもありません!
男は逃走していった。
警官:あ、待って!
警官が男のあとを追っていく。
和:ふ〜。
〇〇:和、大丈夫?
和:うん、平気だよ。
だろうね、というかあの人をビビらせた上にお巡りさんを引き寄せて、君は何者だい??
それから駅のホームで電車が来るのを待っていた。
電車が来て和と乗り、席が丁度2つ空いているところがあったのでそこに2人で座った。
?:おい若造、席譲ってくれ。
リュックを背負ったおじさんが苛つきながら、俺に向かって席を譲ってくれと言ってきて、渋々譲った。
隣に座られた和が気まずくなるだろうと思って、俺は和の手を取りおじさんの席から少し離れたところに移動して、和に背中がよっかかれる場所を譲った。
〇〇:なんか感じ悪いね、あの人。
和:うん…ちょっとないな…
ヒソヒソと和と話していると、杖ついたおばさんが電車に乗ってきて、おじさんの隣のカバンが置いてある席を、座りたそうに見つめていた。
〇〇:(あの人が可哀想だ、これは流石に言わないと…)
と思っていたら、和が先におじさんの所に向かっていく。
和:すいません、そこの席をあの人に譲ってくれませんか?
?:あ?知り合いか?
和:いえ、そうじゃないですが。
?:だったら別にそこまで、あんたがすることないだろ?あのばあさんが何か言っているわけじゃないし。
〇〇:(うわ何この人、相当ヤバい…)
流石に和の助太刀に入ろうと思った。
〇〇:俺からもお願いします。
?:なんだ、お前さんまで言ってくるのか?
おじさんの苛つきが増してしまった。
〇〇:(うわ、ごめん和…)
和:あの、一つ話を聞いてくれませんか?
?:なんだ?
和:昔、大好きだったおじいちゃんがいたんです。今は亡くなってしまったけど、昔おじいちゃんとよく一緒に電車に乗って色んなところに連れてってもらいました。その時、よく赤ちゃんを抱っこした人や、杖をついたおじさんやおばさんに席を私が譲ったら、おじいちゃん毎回褒めてくれたんです、「和は優しい子だね」って。おじいちゃんが天国に行く前、最後にこう言ってました。「和はずっと優しい子だから、おじいちゃん安心してお天道さまのとこに行けるよ」って。
?:うぅ…
すると、さっきまで眉間にシワを寄せていたおじさんの表情が緩くなっていた。
?:良い、良い話じゃねーかぁああ❗️❗️❗️
おじさんは号泣していた。
和:だから、あの人に譲ってくれると嬉しいです。
?:うぅ、勿論だ❗️さっきはすまねぇー❗️❗️
そう言って、おじさんは席を立ち上がり停車して開いたドアを通って駅に降りていく。
すると、杖をついたおばさんが空いた席に座って和に礼を言った。
?:お姉さん、ありがとね。
和:いえいえ。
駅に降りて、俺は和に言った。
〇〇:和、お前すごいな…
和:え?何が?
〇〇:色々だよ。あんな堂々としてて…
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和:そんなことないって、〇〇がいるからあんなに言えただけたよ。私1人だったら、無理だったよ。
和が微笑みながら手を繋いできた。
その瞬間、思った。
俺の彼女は、対応力が凄過ぎると…
多分、この世に和に勝てる人なんていないだろう。
fin.
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