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「鈍感な俺が君の気持ちに気付いた時に始まる時間」


ー休日の昼ー

バサッ

俺は、自室のベッドから飛び起きた。

〇〇:やばい!

時計を見ると14時を過ぎていた。

〇〇:遅刻だ…

今日、幼馴染のさくらの家で一緒に期末テストの勉強する約束をしていた。

ところが、約束の時間に俺は昼寝をしていた…

〇〇:うわ…なんでタイマーセットしなかったんだよ…俺。


急いで支度して、チャリをかっ飛ばしてさくらの家に向かうつもりだった。

支度が終わり玄関のドアを開けると、



さくら:もう、約束したじゃん!ラインもしたのに出てくれないし!

〇〇:ごめん、寝ちゃってて…

さくら:〇〇は勉強しなくても普段から良い点取れるから良いかもしれないけど、私はしないと赤点になりそうなの!

〇〇:いや、全くしてないわけではないぞ??

さくら:寝坊した罰として、わたしを乗せろ!

俺が自転車を家の駐車スペースから持ってきたのを見て、さくらが言う。

〇〇:ダメです。違反ですから。



仕方ないので、2人で歩いてさくらの家に歩いて向かうことにした。

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歩いている途中、さくらの顔を時々伺っていた。

外方を向いているので、結構怒っているのではないかと思い、

〇〇:さくら、もしかして寝坊したこと怒っている?

と聞くと、ちらっとこっちに顔を向けて、

さくら:ううん、そうじゃなくて…

とだけ言って、また顔を外方に向けてしまった。

〇〇:(どうしたんだ?さくら…)

と、さくらが何を考えているのか、その時は分からなかった。


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さくらの家につき、リビングで二人ともそれぞれ勉強する為のものをテーブルに出した。

さくら:よし、期末テスト勉強頑張るぞ!!

さくらがいつもより意気込んでいた。

〇〇:赤点になったら、学校が休みの期間に入っても補習受けなきゃいけなくなるからな。

さくら:それもそうだけど、休みの日にディ○ニー行くの!!!

〇〇:え、さくらの家族で行くの?

何気なくそう聞くと、

〇〇:違うよ!!!

と大声で怒鳴られた。


〇〇:ちょ、どうしたんだよ急に。そんな怒って…

さくら:だって、私は……

最後の方が何故かさくらの声が小さくなっていて、よく聞こえなかった。

〇〇:え?

さくら:なんでも、ない。

少し間を置いてさくらが言う。

さくら:やろ、テスト勉強。

〇〇:あ、うん…


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そして、今日やる予定だったところまでテスト勉強は無事終えることができた。

一緒に勉強していて思ったよりさくらが呑み込みが早くて、苦手分野とかの問題も自力で解けるようになってきたので、これなら期末テストも無事乗り切れそうだなと思った。

〇〇:結構出来てたよ、さくら。

さくら:〇〇の教え方が上手いからだよ。

〇〇:そうか。なら良かった。

さくら:ありがと…

さくらの顔が少し疲れている様子だった。

〇〇:大丈夫、さくら?

さくら:うん、ちょっと疲れちゃって…

〇〇:今日、さくらめっちゃ頑張ったからな。


玄関までさくらが見送りに来てくれた。

さくら:じゃあ、また明日きてね。

〇〇:うん、明日は寝坊しないようにするから。

さくら:うん。


そして、玄関のドアを閉めて俺は家に帰っていった。

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家に帰って、今日のさくらのことを考えていた。


〇〇:なんかいつもと、様子が変だったな…

さくらの家まで一緒に歩いていたとき、妙に距離を置いてる感じを出したり、休みの日にディズニー行くという話を出したとき、凄く怒っていたし…
それに、誰と行こうって言ってたんだ??

なんて一人で悩んでいたら、スマホの着信が鳴り始めた。


英二:よう〇〇。テスト勉強どうよ?

親友の英二からの電話だった。

〇〇:どうって、今日さくらと一緒に勉強していたよ。

英二:へ〜、そうなんだ〜

その時、何故か不意に英二にさくらの様子がおかしかったことを相談したくなり、今日のことを話した。


英二:お前、鈍感過ぎないか???

○○:鈍感って、どういうことだよ?

英二:んなの決まっているじゃん。さくらちゃん、お前のこと好きなんだよ!

○○:え、俺のことを?

英二:そりゃそうだろうがよ〜お前が遅刻したのにわざわざ家まで来てくれたのも、好きな人に教えてもらうからだし、一緒に歩いて外方向いているのもお前のこと意識しているからだろうし、お前の前でディ○ニー行く相手のことはっきり言わなかったのも、お前と行きたいからだよ!!!

○○:え、でも最後のはもしかしたら違う人じゃ…

英二:馬鹿野郎!!だったら話題になんかするか!!

珍しく、俺は英二に説教された。

英二:いいか〇〇、明日さくらちゃんに会ったらちゃんと聞けよ?ディ○ニーのことと、お前に対する気持ちとか。

〇〇:ええ、そんな急に言われても…

英二:んで、どうなったか教えろよ?笑

そこで通話が終わった。


〇〇:(何が教えろよだよ、全く…)


でも、英二と話して初めて、さくらのことを意識し始めていた。


○○:もしかして、俺もさくらのこと…

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次の日、俺は約束より5分早くさくらの家に到着した。

〇〇:ちょっと早かったかな。

ガチャッ


さくら:あ、〇〇!!今日は早く来てくれたんだ!

玄関のドアを開けて現れたさくらの顔が、なんだか凄く嬉しそうだった。

〇〇:うん、まぁね。

さくら:早く、テスト勉強やろ?

といって俺の手を引いていく。


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リビングにきて、テーブルにそれぞれ勉強する為のものを出した。


〇〇:なぁ、さくら?

さくら:ん?どうしたの?

○○:昨日、その…ディ○ニー行くって言ってたじゃん?

さくら:うん…

頑張れー、俺!!

と心の中で思い、一呼吸ついてから再び口を開く。

〇〇:その…俺も行きたいな〜って、さくらと…

さくら:え?

やばい、もしかして勘違いなのでは…

心臓が張り裂けそうになった…







さくら:〇〇もそう思ってくれてたの?

○○:え?

さくら:私も、〇〇と行きたいって思ってたんだよ!

○○:ほ、ほんとに!?


さくら:うん。だから、テスト勉強頑張ってたの!それに、〇〇と勉強できるなら、もっと頑張れるなって思ってて。

〇〇:そうだったのか。気づいてあげられなくてごめん、さくら!

さくら:ううん、私の方こそ怒鳴ったりしてごめん。

誤解が解けて、お互いに頰が緩んでいた。


〇〇:じゃあ、勉強今日はもっと頑張るか!

さくら:うん!

○○:んで、二人でディ○ニー行こう!

さくら:うん、絶対にね!


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そして、テスト期間が始まり他の生徒たちが面倒臭そうな表情をする中、俺とさくらは二人で、

さくら:頑張ろうね。

〇〇:うん、きっと大丈夫だよ。

さくら:そうだよね、あれだけ頑張ったし。

と密かにテストが始まるのを楽しみにしていた。


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そして、テスト期間が終わり全ての採点が終わったテストが返却されてきた。


クラスの平均点がどの教科も5割台だったのだが、俺とさくらのテストの点数は全教科ともそれぞれ8割以上の成績だった。


さくら:やったぁ!!!今までで一番成績良かった!

○○:これで、行けるね!

さくら:うん!

さくらとハイタッチを交わした。


英二:あぶね〜、赤点ギリギリだった…

と英二が冷や汗をかきながら、さくらがトイレに行って一人になった俺のところにやって来た。

○○:お前、一人で余裕って言ってたじゃん。

英二:ば、良いんだよ!赤点回避できたんだからよ。それより…

と言いながら、俺の肩に腕を乗せてきた。

英二:その感じ、うまくいったみてーだな!

とニヤニヤしながら俺に言ってきた。

〇〇:揶揄ってんのか笑。けど、ありがとな。お前のアドバイスのおかげだ。

英二:そうだぞ〜なんか奢れ、いつか笑。

と言って英二は先に帰っていった。


さくら:お待たせ〜帰ろ。

戻ってきたさくらが俺の側にきた。

○○:うん。


帰り道、二人でディ○ニーでなんのアトラクションに乗るかとかで盛り上がっていた。

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そして、さくらとディ○ニーにやって来て、開園前の待機列に並ぶ。

さくら:なんかドキドキしてきた。

〇〇:ね、なんか俺もドキドキしてきた。

さくら:早く開園しないかな〜

そして、開園の時刻になった。



さくら:あ、20分待ちだ。〇〇〜、スプ○ッシュ・○ウンテン乗ろうよ!

とさくらに誘われてパークの奥の方まで進むと、最初に丸太の形をした乗り物に乗って水流のコースを巡っていくアトラクションに乗った。


アトラクションの終盤、一番高いところから滝壺に向かって乗り物が落下すると、

〇〇:うぉおおおおお!!!!

さくら:ひゃあああああ!!!!

と叫び声を二人であげ、そして盛大に水しぶきが顔面に掛かった。


〇〇:やばっ、めっちゃ濡れたんだけど!笑

さくら:あはは、〇〇髪型変になってる〜!笑

などと笑い合いながら、二人で顔をタオルで拭いた。

乗り物に降りてから、滝壺に落ちる時に撮影された写真を購入した。

さくら:ちょっと二人とも目瞑っているじゃん!笑

○○:いや無理でしょ、あんな高いとこから落ちるんだよ?笑


それから他のアトラクションに乗ったり、昼になりキャラクターをイメージしたデザインのフードを食べたり、パレードなんか見たりした。



一日中さくらと笑って遊んでいて、それはもう夢のような時間だった。


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夜になり、

さくら:あ、今人いないからあそこ行こ?

とさくらに手を引かれ連れてこられたところは、パークの中心に建つライトアップされた城にかかる橋だった。

○○:どうしたの、さくら?

さくら:ずっと言いたかったことがあるんだ。

そう言うと、さくらは深呼吸をした。


さくら:あのね、私…

下を向きながら恥ずかしそうにしていた。そして、顔をあげると、

さくら:〇〇のこと、ずっと好きだったんだ。

さくらに目を合わされながら告白された。


〇〇:さくら、俺も…

俺も恥ずかしさからか、一瞬目を逸らした。でもすぐさくらの目を見つめて、

〇〇:さくらのこと、ずっと好きだったよ。

さくら:嬉しい…

俺の背中まで腕で囲い、抱きしめてきた。

〇〇:これからも、よろしくね。さくら。

さくら:うん、よろしくね。〇〇。


今日のディ○ニーでの楽しい時間はあと少しで終わるけど、

俺とさくらの二人での時間は、俺がさくらの気持ちに気づいた時から始まっていて、それはパークが閉園した後も続くんだ。


fin.







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