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「可愛いうえに対応力の高過ぎる彼女 奈央編」


土曜の部活に行き汗をかいてきた。

〇〇:ふ〜、疲れた疲れたー!

奈央:〇〇先輩、お疲れ様です。

〇〇:おお、奈央ちゃん!


この子は、冨里奈央。

一つ年下の後輩で、ついこの前から付き合い始めた。

きっかけは、去年の文化祭でフィーリングカップルで他の男子と女子が全くマッチしない中、俺と奈央ちゃんだけマッチしたこと。

折角ならと、その後一緒に文化祭まわろと誘って一緒にお化け屋敷に入ったり、手作りのワッフル屋さんでワッフル食べたりしたが、奈央ちゃんがとにかく可愛すぎた。


まずお化け屋敷では、

「う〜、やっぱり怖いです!」

と中に入ってすぐ悲鳴をあげていた。

お化け屋敷入ろうと言い出したのは奈央ちゃんだが、そう言って肩に抱きつかれたら守ってあげたくなるのは無理ないだろ?

「大丈夫だって、側離れないから」

こんな臭い台詞、二度と言わないだろう。
そして、お化け屋敷を出ると、

「ふ〜、怖かったです!」

と出られて安堵の表情をしていた。

「でも先輩と一緒なら、また入ってみたいです笑」

「え、いやいや止めた方が良いんじゃ?さっきだってあんな叫んでいたし。」

「大丈夫ですって、次は叫ばないですから笑」

「本当に?夜トイレ行けなくなっても知らないよ?笑」



「ならないです!」

頬をマシュマロみたいに膨らませて言うのも、なんか負けず嫌いな感じで可愛かった。


それから、ワッフル屋さんでクリームが載ったワッフルを2人で注文した時に、

「あ。」

奈央ちゃんの鼻にクリームが付き、それを取ってあげた。

「もう、大丈夫だよ」

「ありがとう、ございます…」

その時の真っ赤な顔の彼女を見た瞬間、召されるかと思った。


文化祭での交流を経て、俺はいつか彼女に告白しようと決めた。

そしたら、まさか向こうから先に告白された。

「あの、この前の文化祭の時から、ずっとずっと好きでした!付き合ってください!」


勿論、OKした。




部活終わりで奈央ちゃんと一緒になったことで、折角だしファミレスにでも2人で行こうかと思い話を切り出す。

〇〇:お昼、どこか食べに行こうかと思ってるんだけど…

奈央:あの〇〇先輩、お弁当作ってきたんです!

〇〇:えっ?


奈央:2人分作ったんで、一緒に食べましょ?

〇〇:う、うん!一緒に食べよう!

危ない、危ない…
折角の奈央ちゃんの手作り弁当を食べ損なうところだった。

可愛らしげなランチョンマットに包まれた弁当箱を渡す時の奈央ちゃんは、天使みたいな顔をしていた。

〇〇:(この笑顔を守るためなら、〇ねる…)




公園にあるベンチに2人で座って、ランチョンマットをとった弁当箱の蓋を開ける。

中にはニコニコの顔がケチャップで描かれたオムライスが入っていた。

〇〇:うお、めっちゃ美味しそう!

奈央:良かったです!朝頑張って作ったんです。ケチャップでもっと可愛いの描きたかったんですけど、上手く出来なくて…

〇〇:そんなことないって、めっちゃ可愛いく描けてるよ!


奈央:本当ですか?そう言ってもらえて嬉しいです。


いやいや、こちらこそです。

なんですか、この幸せな時間は?

こんな笑顔が癒しになる子に、こんな美味しそうなお弁当を作ってもらえて、しかも一緒に食べられるとか…


〇〇・奈央:いただきまーす。

パクッ

奈央:どう、ですか?

〇〇:めちゃめちゃ美味しいー❗️ありがとう❗️

奈央:良かったです!なんか遠足みたいで楽しいですね♪

〇〇:そうだね。

例えが、更に可愛いのよ…

〇〇:遠足か〜

奈央:どうかしました?

〇〇:いや〜、小学生の時によく母さんが作った弁当の中にブロッコリーを残して怒られたな〜って。

奈央:はっ、ごめんなさい!

〇〇:ん?どうしたの?

奈央:いや、その…ほら…

奈央ちゃんが指差す先に、弁当の中に入っているブロッコリーが。


〇〇:ああ…で、でも今は食べられるよ💦

奈央:本当ですか?大丈夫ですか?

〇〇:う、うん…

折角作ってくれたんだから、残すわけにはいかない。

〇〇:う、う…

奈央:やっぱり、苦手なんじゃ…

〇〇:で、でもほら…バランスよく食べないとだもんね…食事は。

そういいながら、フォークに刺さったブロッコリーを中々口に運べないでいると、

奈央:じ、じゃあ私が…


え?


奈央:お口、開けてください。

〇〇:え、良いよそこまでしなくて…💦
(いやいや、こんな外で… )


奈央:ダメです、ちゃんと食べないと〇〇先輩が元気でいられないですから。

〇〇:は、はい…

奈央:はい、あーん。

〇〇:(よ、喜んで❗️)


パクッ


奈央:どうですか?


〇〇:お、美味しいです。


この天使のおかげで、その日からブロッコリーが大好きになりました。





奈央:えへへ、楽しかったですね。

〇〇:うん、奈央ちゃんありがとう。

奈央:今度は、〇〇先輩が作ったお弁当食べたいな〜

喜んで作りますよ??

〇〇:もちろんだよ。

奈央:えへへ、楽しみです♪


(吠える音)


珍しく野良犬がいて、こっちに向かってきた。しかも、どうやら俺に対して威嚇しているようだった。

〇〇:うおぉ…ちょっ、やめてく…

奈央:こら、ダメだよ僕。

〇〇:(え、怖くないの?)

黒い犬が吠えるのに構わず、奈央ちゃんは腰を下ろして犬の頭を撫でた。

奈央:良い子だから、よしよし。

クーン…

吠えるのを止めた黒い犬が、奈央ちゃんにもっと撫でて欲しいと言わんばかりに顔をあげてきた。


奈央:あはは、もう可愛い子ね。

奈央ちゃんに懐いたであろう犬は、彼女の膝に飛び乗り身体を包めていた。

やはり、奈央ちゃんは動物をも癒してしまうのか。

〇〇:(おい、ワンコ。お前さん、ずるいぞ…)




〇〇:さっきは、ありがとうね。

奈央:いえいえ、〇〇先輩を攻撃しようとしていたから守ったまでで。

どちらかと言うと、守られるより貴女を守りたかったです。


少し歩いていると、

?:うぅ…うぅ…

小さな男の子が、蹲って泣いていた。

〇〇:だ、大丈夫?

駆け寄って聞いてみると、

男の子:お母さんがああ❗️❗️

どうやら、母親と逸れて迷子になったようだ。

〇〇:よしよし、もう大丈夫。お兄さんたちと…

男の子:うわぁああああ‼️

〇〇:(やばい、余計に泣かせてしまった…)

奈央:怖かったね、僕。

奈央ちゃんが男の子の背中を摩って、自分が首に巻いていたマフラーを男の子の首に巻いてあげた。

奈央:これで、寒くない?

男の子:う、うん…

奈央:じゃあ、お母さんを一緒に探そうか。

男の子:うん。

泣き止んだ男の子の手を奈央ちゃんが引いて、俺たちは男の子の母親を探すことに。



男の子の母親:拓実!

拓実:お母さん!

探し始めてそう時間が経たない内に、男の子の母親を見つけることが出来た。

奈央:良かった〜、もうお母さんと逸れちゃダメだよ?

拓実:うん、ありがとうお姉さんたち。

男の子の母親:ありがとうございます!なんて感謝したら良いのか…

奈央:いえいえ、それほどでも。ね?

〇〇:あ、うん。(いや、ほぼ奈央ちゃんのおかげだよね??)

本当に年下か?と思うくらい、男の子の面倒を見ていた奈央ちゃんは母性に溢れていた。



迷子の母親探しを終えた俺たちは、駅までの道のりを歩いていた。

奈央:くしゅんっ!

〇〇:大丈夫?って、あれ?マフラーは?

奈央:あ!男の子に渡したままだ…?

唖然とする奈央ちゃんに、マフラーを巻いてあげた。

〇〇:これで寒くない?

奈央:は、はい…とってもあったかいです…

〇〇:良かった。

奈央:ありがとう、ございます。

そう言って、あの時のように腕に抱きつかれた。

〇〇:ふぐ…

奈央:先輩、顔赤いですね?

〇〇:そ、そんなことないよ…

奈央:ふふ、照れてますね笑


結局、この天使に癒されまくりましたとさ。


fin.


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