気持ちが入りすぎて口が悪くなる、不器用だけど愛しい彼女。
ー通学路ー
〇〇:ふ〜、良い天気だな。
ドッ ドッ
バンッ
〇〇:ぐほぉ!?
帆夏:テメー、何一人で先に行ってんだよ!!
〇〇:なんだお前か、きしほ。
帆夏:この薄情者がよ!!
〇〇:悪かったって。
〇〇:寂しいから一緒に行こ、ってことだろ?
帆夏:っ…
帆夏:そ、そうだよ…もう。
〇〇:よしよし。
帆夏:!
きしほの頭にそっと手を乗せた。
帆夏:〇〇。
〇〇:何?
帆夏:怒って、ない?
〇〇:ああ。
帆夏:手繋いで、良い?
〇〇:うん。
やっと、きしほが笑ってくれた。
きしほは感情的になりやすくて、すぐ口が悪くなる。でもこれでもだいぶ素直になった方で、最初に出会った時は、もっと酷かった。
きしほと知り合ったのは、半年前のことだった。
〜半年前〜
〇〇:どうかした?みんな。
女1:何よ、あんた。
女2:そうよ、どっか行きなさいよ。
〇〇:あれ、もしかして具合悪いこいない?
女3:え?
〇〇:ほら、そこに。
女4:ああ…
〇〇:だから、みんな困っているのかな〜って。
女1:あ、う、うん。そうなんだ…笑
〇〇:良かったら、俺が保健室に連れてくよ。
女2:え、良いの?悪いね〜
〇〇:全然!君、立てる?
帆夏:…
〇〇:よいしょっと。
1軍女子たちに囲まれていたきしほに肩を貸して、保健室まで運んだ。
帆夏:何してんの?
〇〇:ん?
帆夏:余計なことしないでよ!!
バサッ
帆夏:!?
〇〇:いじめ、だろ?
帆夏:…
〇〇:悪いけど、見過ごすわけにはいかないんだ。
帆夏:はっ?なんでよ?
〇〇:それは…
帆夏:もう良いから、ほっといて!!
声を荒げてきしほは保健室から飛び出していなくなった。
けどそれから、毎日きしほがいじめられているのを見つけては庇っていた。
帆夏:なんでこんなことすんだよ…?
〇〇:なんで、って…
帆夏:しつこいんだよ!
〇〇:…
帆夏:もうかかわるな!
荒い声をあげて去ろうとするきしほの手を掴んだ。
帆夏:!?
〇〇:しつこくて、悪かった…
〇〇:でも、同じ目に遭わせたくないんだ…
帆夏:え?
〇〇:親友と同じ目に…
ー2年前ー
直人:〇〇…
〇〇:直人、お前⁉️
直人:ごめんな…俺、もう…
〇〇:やめろぉおお❗️
スッ
屋上から飛び降りた直人は、そのまま頭から落ちて帰らぬ人となってしまった。
帆夏:…
〇〇:痛そうだった、凄く。
〇〇:でも、それよりずっとアイツは苦しんでた…
帆夏:どうするの?
〇〇:え?
帆夏:これからどうするって聞いてるの⁉️
〇〇:転校しよう。
帆夏:転校?
〇〇:そう、それでやり直すんだ。あんな奴らが居ないところで。
帆夏:で、出来るかな…
〇〇:出来る!いや…
〇〇:必ずそうさせる!
〇〇:俺を信じて。
俺ときしほ、それぞれの両親にことを話しした。
最初は無理かと思っていた。
けど、どちらの両親も納得してくれた。
そして願いが叶って、俺はきしほと一緒に転校した。
そして、今に至る…
帆夏:〇〇。
〇〇:何?
帆夏:ありがとう、いままで。
〇〇:なんだよ、今更良いって。
帆夏:んだと?
〇〇:あ、まずい…
きしほに誤解を招く発言をしてしまった。
帆夏:今更遅いってかぁ⁉️あぁ⁉️
〇〇:違う、違うって❗️
〇〇:嬉しいから、ありがとうって言ってくれるのは!
帆夏:!
帆夏:う、嬉しい?
〇〇:うん、凄くね。
帆夏:な、なんだ。そういうことね。
帆夏:も〜う、〇〇ったら〜♪
ベシッ
〇〇:(相変わらず、強いのよ…叩くの)
〇〇:(でも良かった、きしほが笑ってくれるようになって)
帆夏:何ニヤニヤしてるの?
〇〇:え、ニヤニヤしてた?俺?
帆夏:うん、キモかった。
〇〇:おいおい…言い方…
帆夏:で、何考えてたの?
〇〇:え、そりゃ…
〇〇:きしほの笑顔、可愛いな〜って。
帆夏:〇〇…
帆夏:好き、結婚しよ!
〇〇:は?急過ぎるんだよ❗️
帆夏:あ、浮気するってのか⁉️
〇〇:どっから、浮気の話になった⁉️
〇〇:てか、俺はきしほが好きだ!
帆夏:え?
〇〇:え?
帆夏:も、もう!
バシッ
〇〇:痛ッ❗️
帆夏:急に言わないでよ〜
帆夏:照れるでしょ?
〇〇:(はぁ〜、やっぱりスタミナ凄い使う…)
〇〇:(けど、まっ良いか。)
こんなで、きしほとの会話は殆どぶっ壊れているけど、俺はきしほといる時間が楽しいし、やっぱりきしほが好きなんだ。
fin.
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