普段はドジっぽいのに、スキー場ではイケイケな女友だちに想いを伝えられ?た。
ー大学 敷地内ー
講義が終わり、食堂へ向かっていると、
美玖:〇〇くーん。
背中から、サークルの女友だちの美玖ちゃんが走ってきた。
〇〇:お〜、美玖ちゃん。
美玖:わっ⁉️
目の前で盛大に転んでいた。
〇〇:だ、大丈夫⁉️
美玖:うぐぐ…へ、平気…
肩を貸して立たせてあげた。
〇〇:本当に?怪我は…
美玖:うん、擦ったところもないよ。
〇〇:ほっ、そっか。
美玖:はぁ〜、なんでこんなドジなんだろう…
〇〇:まぁ〜まぁ〜、大した怪我してなくて良かったよ。
美玖:そうだけど…
美玖:こんなだと、免許取れないな…
美玖:絶対教習所で誰か轢いちゃうよ…
〇〇:いやいや、そこまではならないでしょ⁉️
とはいえ、確かに美玖ちゃんはおっちょこちょいな所が多い。
ー食堂ー
美玖:〜〜
スルッ
美玖:へ?
美玖:うわ!?
ガシャンッ
鼻歌混ぜてテーブルに向かっていた美玖ちゃんは、床が濡れていることに気づかずそこで足を滑らせてしまい、持っていたラーメンを溢してしまった。
〇〇:美玖ちゃん!?
美玖:うう…ごめん、〇〇くん。
〇〇:火傷してない?
美玖:うん、大丈夫…
それから二人で溢したラーメンの後片付けをし、美玖ちゃんの食べようとしていたラーメンを僕は奢った。
美玖:はぁ〜、本当にごめん…
〇〇:良いって、良いって。
〇〇:たまたま床が濡れてたからだし、仕方ないよ。
美玖:うん…でも、この不注意っぷりはなんとかしなきゃ…
けど、そんな美玖ちゃんも俺が頼もしいと思う時がある。
ースキー場ー
美玖:ひゃほーー!
美玖:気持ち良い!
1人先にリフトから降りて、美玖ちゃんはボードに乗って滑っていく。
〇〇:あ、ちょっ待って!
ボードには何回か挑戦したが、未だ上手く滑れないでいた。
美玖:あ、ごめん!
そう言うと、美玖はターンしてスッと止まってこっちを見上げる。
美玖:ここで待ってるね〜
〇〇:ありがとう!
美玖:良いって〜
美玖:〇〇が転んでも平気なように構えてるから〜
〇〇:え、え、えぇ…
〇〇:ちょっ、速い!!!
ゴゴゴッ ズボッ
美玖:〇〇くん!?
バランス感覚を失ってスピードが制御できなくなり、僕はそのまま雪の中に突っ込んでいった。
〇〇:ゲホ…ゲホ…
雪に突っ込んでいた僕を美玖ちゃんが引っ張り出して救出してくれた。
美玖:ふ〜、大丈夫〇〇くん?
〇〇:まぁ〜、なんとか…
〇〇:はぁ〜、なんか情けないよ自分が…
美玖:そんなことないって。
美玖:スノボ始めたては、みんなそうだし。
〇〇:そうなのかな…
美玖:うん、怖いって思うからね。
美玖:まぁ、ちゃんと正しい姿勢を取るのとあとは慣れだよ、スノボは。
ああ、やっぱりだ。
この時の美玖ちゃんって、まるで別人だ。
普段のおっちょこちょいで可愛いのとは違くて、凄くカッコよくて爽やか。
そんなギャップある美玖ちゃんに、去年惚れたんだよな…
〇〇:そっか。
美玖:どうかした?
〇〇:え?
美玖:なんか嬉しそうな顔していたから。
〇〇:いや〜、カッコいいなって。スキー場にいる時の美玖ちゃんが。
美玖:そ、そうかな…笑
〇〇:うん、頼もしいもん。
美玖:ま、まぁ…ほら、いつも〇〇くんに迷惑かけてばかりだし…
美玖::こういうのくらいしか…
謙虚な美玖ちゃんはそう言ったが、冗談抜きに僕はそう思っていた。
夕方になり皆んながスキー場から戻っていく中、僕と美玖ちゃんで最後の滑りをしにリフトに乗っていた。
〇〇:美玖ちゃん?
美玖:ん、何?
〇〇:なんか見えるの?ずっとそっちの方見てたから。
美玖:え、ああ…そう!
美玖:鹿が歩いてたんだ。
〇〇:え、本当!?どこどこ?
美玖:あ、もう遠くに行っちゃったかも。
〇〇:そっか。残念だな…
美玖:あ、写真撮るよ。
〇〇:あ、ありがとう。
リフトから降りると、滑るコースから脇のところに来て欲しいと言われ、ついていった。
美玖:あ、あのね…
美玖:ずっと、言いたかったことがあるの。〇〇くんに。
〇〇:あ、うん。
〇〇:(急に改まって、どうしたんだろう…)
美玖:去年もこうして皆んなでスキー場来たじゃん。
〇〇:うん。
美玖:あの時から決めてたんだ。
美玖:〇〇くんに伝えるって。
それから、少し静寂が続いた。
美玖:あの…
〇〇:うん。
美玖:付き合ってください!
〇〇:え?
美玖:その、す、す…
美玖:すしなんだ❗️
〇〇・美玖:え?
多分事故って言ってしまったんだろう。
2人して目を丸くしていた。
〇〇・美玖:ぶふっ❗️
〇〇・美玖:あはは❗️
誤魔化しのつもりかはさておき、二人して雪の床に仰向けに寝ぞべり天使の形を作った。
美玖:ふふ、可愛いねこの天使二人。
〇〇:そうだね。
美玖:はぁ〜
ため息をついている理由は分かっていた。
だから、僕から話しかけた。
〇〇:あ、美玖ちゃん。
美玖:ああ、ごめん。何?
〇〇:僕も伝えたいことがあるんだ。
〇〇:そ、その…
〇〇:好きなんだ、美玖ちゃんのことが。
そう伝えると、美玖ちゃんが口に手を当てて涙を浮かべていた。
〇〇:(うわ、やっちゃっt…)
ぎゅっ
気がつくと、美玖ちゃんに抱きしめられていた。
美玖:ありがとう!
美玖:私も好きなんだ、〇〇くんが!
今度はちゃんと言えたね。
と心の中で思いながら美玖ちゃんの頭を撫でて微笑むと、美玖ちゃんも白い歯を見せながら微笑んでいた。
それから二人で肩を寄せ合って座り、雪国の夕陽を眺めていた。
美玖:綺麗…
〇〇:ね。
その夕陽に照らされながら、二人で唇を交わした。
fin.
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