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「僕(私)は、君に惹かれた 後編」
前編見てない方はこちらから↓
ひょんなことから、日暮〇〇は空手部の主将の梅澤美波との稽古付き合いをすることになった。
それから二人は仲良くなり、稽古終わりにご飯を一緒に食べに行ったり、時々美波が部活がない時に、一緒に〇〇と帰り道を共にしたりした。
そうすると、必然と美波は〇〇の習慣に巻き込まれていった。
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ある時、杖をついたおじさんが重い荷物を抱えて歩いていた。
〇〇:荷物、持ちますね。
?:ああ、悪いね…お兄さん。
〇〇がおじさんの荷物を持ち、手を繋いで一緒に歩いているのを見ていた美波は二人のもとに寄った。
美波:あ、あの…おんぶしますよ。
?:え、良いのかい?
〇〇:(美波…)
美波:もちろんです。
?:すまないね…ちょっと今日は疲れていて。じゃあ、お言葉に甘えて…
そして、美波はおじさんを背負い歩きだした。
おじさんを彼の家まで送ったあと、
〇〇:なんかごめん、巻き込んで。
美波:良いって、私の勝手だし。それに、普段〇〇がしてるのを見て…あっ。
〇〇:え、知ってたの?
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美波:えぇ、いやぁ…その…(やばい、普段から〇〇をストーカーしてたみたいじゃない、それだと!!)
〇〇:まぁ、とにかくありがとう。
美波:う、うん…
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またある時、〇〇と美波のもとに迷子の犬が走り寄ってきた。
ワンッ
すると、犬は美波のもとに寄って顔をあげてきた。
〇〇:へ〜、ぬーくん、美波のこと好きなんだね。
美波:え、そうなの??(っていうか、このワンコの名前知っているの??)
ワンッ ワンッ
返事をしているかのようにぬーくんが吠え、美波の手のひらに顔を擦りつけてくる。
美波:そうなのか〜よしよし(何、この子…可愛すぎる!!!)
美波がぬーくんを撫でていると、ぬーくんの飼い主の森さんがやってきた。
森:ダメじゃないか、ぬーくん!
〇〇:あ、森さん。こんにちは。
森:ああ、〇〇くん。いつも、ぬーくんが世話かけるね。
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美波:ほら、心配させちゃダメだぞ?ぬーくん(いや、もうこのままで良いよぬーくん!)
森:あはは、お姉さんもありがとうね。
美波:いえいえ。
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そして、ある時は子どもたちの遊びに〇〇だけでなく美波もつきあった。
子:お兄さん、今日も遊んでくれる?
〇〇:ああ、良いよ。
子:ん?お姉さんは?
美波:ああ、この人の友だちだよ。
子:そっか。ねぇ、良かったら、一緒に遊んでくれる?
美波:良いよ、もちろん。
子どもたちとドッジボールを遊び終えて、そろそろ帰る時間になった。
子:お兄さん、お姉さんありがとう。
〇〇:うん。
子:お姉さん、ドッジボールうまいね。
美波:そう?
子:うん、だからすごく楽しかったよ。
美波:そっか、良かった。
子:二人は、友だち…なんだよね?
〇〇:そうだけど?
子:カップルかと思ってた。
〇〇・美波:か、カップル!?
子:あれ、二人とも赤いよ?顔。
〇〇・美波:え、いやぁ…
子:ほら、帰るよ。
子どもたちの中で一番年上の子が、他の子たちを連れて帰るよう促す。
子どもたちが帰ったあと、
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美波:みんな、良い子たちだね。
〇〇:うん。
美波:なんか、〇〇があの子たちの本当のお兄さんみたいに見えた。
〇〇:美波も、あの子たちの本当のお姉さんみたいだったよ。
美波:そ、そんなことないよ…笑(いや、でもあんな弟たち、欲しい!)
そうして、二人でいる時間が増えて、二人の間には何かが芽生えていた。
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放課後になり、今日もまた約束の時間に道場に来た。
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美波:お、もう着替えてるのか。
〇〇:うん、早く稽古したいからさ。
美波:そっか、ちょっと待ってて。
美波が水分補給しに行った。
よく分からない感じに始まったこの稽古。
なんとなく美波が困っている感じだったから始めたことだが、初めて最初の1週間は相当しんどかった。
練習試合中、当然だがどの動きも主将の美波より圧倒的に遅く、動きが読まれまくり、全く手が出せない状態が続いていた。
そして、今日も練習試合が始まった。
〇〇:(特訓の成果、今度こそ出す)
いつの間にか、こんなことを思うようになっていた。
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初めての稽古付き合いをした次の日に道場で、
美波:家で正拳突き3000回を、毎日やってみて。
と言われたのだ。
〇〇:3000回、か。
美波:え、驚かないの??
〇〇:まぁ…凄い回数やるな〜とは思ったけど。でも面白そうだね。
美波:そ、そうか…(いや、普通そんな反応じゃないかと…)あとね、これやる時に肩と腕だけに頼らないで下半身の力を使うの。
もちろん、どういうことか分からなかったので、美波が練習のやり方とコツを丁寧に教えてくれた。
そして、実際に家で毎日この訓練をしてきた。
〇〇の父:お前、特訓しているのか?
〇〇:そうだよ、友だちとの約束でさ。
〇〇の父:へ〜、面白そうだな。俺もやってみるか。
と家で初めての訓練をしている時に、ノリノリで父さんが入ってきた。けど訓練が終わると、
〇〇の父:はぁ〜、はぁ〜。もう○ぬって…
と悲鳴をあげていた。それに対して、平気そうな僕の顔を見ると、
〇〇の父:なんでお前はそう、余裕そうなんだ??
〇〇:コツを教えてもらったからね。
〇〇の父:なんだよ…それ俺にも教えてくれって…
〇〇:ごめんごめん笑
〇〇の父:わりい、今ので疲れて晩飯作れそうに無い…笑
〇〇:作っておくよ、父さん。
そうして、ひたすら訓練を欠かさずやってきた。
そして美波と対面し、試合が始まった。
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試合が始まった。
私はいつも通り、〇〇に全力で向かった。しかし、予想外なことが起きた。
牽制のつもりで放った回し蹴りを〇〇が防いだかと思いきや、それから急に突きのラッシュが飛んできたのだ。
美波:(!は、速い…)
私はそれを全て防いで、カウンターを決めようとした。しかし、思った以上に〇〇は突きを続けてきた。
美波:(や、やばい…)
一瞬だけ、そう思った。
その瞬間、私のガードが緩んだ。
〇〇はそれを逃さなかった。
私の腹部にしっかり突きを決めたのだ。
美波:!?
〇〇:やったぁ…
バタンッ
美波:〇〇、〇〇!!
私は倒れた〇〇に近づき、必死に叫んだ。
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〇〇:…?
目が覚めると、道場のベンチに横たわっていた。
美波:〇〇!良かった…
美波が抱きついてきた。
〇〇:え…
その瞬間、物凄く心臓の鼓動が高まっていた。
美波:あっ。
美波が僕から急に離れる。
美波:ごめん、急に抱きついて…
〇〇:う、ううん…
〇〇:心配かけて、ごめん。美波に初めて技を決めることが出来てすごく嬉しくてさ、それで…
美波:だからって、気絶するまで無茶しないでよね…
〇〇:本当にごめん。
美波:でも…
〇〇:?
美波:嬉しい。そこまで本気になってくれて。
そう言う美波の顔が本当に嬉しそうだった。
〇〇:うん。すごく楽しかった。
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美波:でも、もう今日はここまでにしよ?また倒れたら困るし笑
〇〇:そう、だね…笑
そして、僕は美波と校門から出ていった。
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美波:あのさぁ、〇〇。
〇〇:ん、どうした?
美波:やっぱり、〇〇は凄いと思う。
〇〇:そ、そう??
美波:うん、だって髑森たちに嫌がらせされても平気そうな顔しているし、そうかと思えばさ、放課後はあんな感じだし。それに、私の変な誘いにも乗ってくれるし。聖人すぎるよ、〇〇は。
○○:聖人ってそんな…笑。でも今の僕でいられるのは、多分母さんのおかげなんだと思う…
美波:〇〇の、お母さん?
〇〇:もう随分前に亡くなったけど、生きていたとき今の僕みたいな感じだったんんだ、母さんも。
美波:え、そうなの?
〇〇:うん、足腰が弱い年配の方を背負って家まで送ったり、迷子の犬を飼い主まで届けたり、そんなことして買い物から帰りが遅くなることがよくあったよ。その時は、笑って母さんの帰りを迎えていたよ。
美波:そう、なんだ…
〇〇:ある時、聞いたんだ。なんでそんなことするの?って。そしたら、こう言ったんだ。
美波:なんて?
〇〇:よく分かんないって。
美波:ずごっ…よ、よく分かんないって…
〇〇:僕も今の美波みたいになったよ、そう答えられたときに。でも、そのあとにこうも言ってたんだ。
美波:?
〇〇:わかんないけど、みんな笑ってくれると、自分も幸せになるんだよねって。
美波:みんなが笑ってくれると、自分も幸せに…
〇〇:その後母さんが亡くなって、母さんが言った言葉の意味を確かめたくて、僕も同じことをするようになったんだ。
美波:そう、だったんだ…
〇〇:でも、学校だとそうは出来なくてさ…そしたら、美波が僕に頼んできたでしょ?その時、断っちゃいけない気がしたんだよね。
美波:え?
〇〇:あの時、美波の頼みを断ったら、なんか美波から笑顔が消えちゃいそうな気がして…
そう〇〇が言うと、美波の目から水滴が垂れていた。
〇〇:み、美波?だ、大丈夫!?
美波:あ、うん…ごめん。
そう応えると、美波は手で頰についた水滴を拭う。
美波:また、明日ね。
そう言って手を振り、美波は〇〇のもとから去っていく。
〇〇:う、うん。またね…
〇〇も手を美波に向かって振った。
〇〇:(やばい…なんか変なこと言ったんじゃ…)
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次の日
朝のHR前に美波と廊下ですれ違い「おはよう」っと声をかけたが、美波からは手を軽く振られただけだった。
〇〇:(やっぱり、昨日のことじゃ…)
そんな不安を抱えたまま、〇〇はHRをむかえた。
そして今日の授業が全て終わると、〇〇のもとに美波がやってきた。
美波:今日、ちょっと話したいけど良い?
もちろん、〇〇は首を縦に振り頷いた。
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いつもの公園に着くと、美波が〇〇の方を向いた。
美波:昨日のことなんだけどね…
と美波から話を切り出すと、
〇〇:ごめん!僕が変なこと言ったせいだよね。だから今日もあんな感じで…
〇〇は美波に謝罪をした。
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美波:違うの。〇〇は何も悪くないの!私ね…
〇〇:え?
その時、美波の後方で4人の影が近づいてきた。
子分1:おい、なんでお前如きが梅澤さんと一緒にいるんだよ?
子分2:そうだ、身の程をわきまえろ。
子分3:あっ…俺、なんて言えば…
髑森:うっせー!どうでも良いわお前の台詞なんか!
子分3:あ、はい〜〜笑
髑森:日暮、お前まさか梅澤さんと仲良くなれるなんて、思ってねーよな?
髑森が〇〇に向かって顔を傾けながら君の悪い笑みで問いかける。
美波:ちょっと髑森、良い加減にしてよ!
髑森:ごめん梅澤さん、君に話かけてないんだよ。そんで、どうよ日暮?
〇〇:えっ、仲良いけど?
その瞬間、子分たち3人が笑い出す。
子分1:あはは、コイツイカれてやがる。
子分2:ついに妄想癖が悪化したな。
子分3:やば過ぎだろ、オメー。
美波:お前ら、ふざけるなら…
と怒りを顕にした美波が拳を振り翳す。
髑森:おっと〜そんなことして良いのかな?梅澤さん。
髑森が得意げに美波を煽る。
〇〇:え?どういう事??
子分1:知らねーのか、お前。
子分2:もし梅澤さんが他の生徒に手を出したら、部活から強制的に退部させられるんだよ。
子分3:だから、俺たちを梅澤さんは殴れないのさ。
美波:くっ…くっそぉ…
〇〇:だったら…僕なら良いよね?
髑森:は?
〇〇は右腕で美波を後ろに下がらせ、前に出る。
美波:ちょっと、何考えてんの⁉️
〇〇では勝ち目はないと思った美波は、〇〇を止めようと〇〇の背中を引っ張る。すると、〇〇は歩みを止めた。
〇〇:大丈夫だから。
〇〇は自分の服の背中部分を引っ張る美波の手を優しく退かすと、美波の方を振り向いて笑みを見せた。
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美波:〇〇…
再び髑森たちの方を〇〇が向くと、すぐ真顔になっていた。
〇〇:僕は空手部員じゃない。だから、問題ない。
髑森:は、ついにヒーロー気取りか。
まだ余裕を見せようとしていた髑森は、〇〇を嘲笑う。しかし、それに構わず〇〇は空手の構えを取った。
髑森:❗️ど、どっからそんな阿保みたいな自信が湧くんだよ…?
〇〇:……すぐに分かるさ。
髑森:っ、ふざけんなよ…
静かな声で髑森は怒りを顕にした。
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髑森たちと対峙した〇〇の目つきは、いつもの穏やかなままだった。
髑森:おらぁあああ❗️❗️❗️
先制のつもりで髑森は〇〇に右ストレートを繰り出すが、〇〇の顔は軽やかな流れで横にずれストレートは空振りになった。
髑森:(か、かわしただと⁉️)
隙だらけとなった髑森の胸部と腹部に、〇〇が左右の拳で突きを連発した。
髑森:ぶほぉ❗️
正面に衝撃を受けた髑森は、掌で胸を抑えて動きが止まった。
〇〇:…
髑森:…ちっ、調子に乗るなぁあああ‼️
無理矢理痛みを我慢して、髑森は左脚を軸にして右脚で回し蹴りを繰り出す。
が、〇〇は素早く屈んで髑森の回し蹴りをかわすと、右脚を軸にして左脚での回し蹴りを髑森の背中に食らわした。
ドサッ
子分たち:ど、髑森‼️
〇〇からのカウンターをもらい、完全にダウンした髑森のもとに駆け寄る子分たち。
子分1:っざけんな、テメー❗️❗️
仇を取らんとばかしに、3人の髑森の子分は〇〇に突っ込んできた。
〇〇:❗️
それぞれの投げやりな攻撃を対処しつつ、子分1には顔面に突きを、子分2には脇腹に蹴りを、そして子分3には頬に蹴りを食らわした〇〇。
子分1:や、やべえ…よ…
子分2:つ、強すぎ…
髑森:っ、ずらがるぞ…
髑森は子分たちを引き連れて撤退した。髑森たちを追い払った〇〇は足がフラつき膝が崩れそうになったが、〇〇たちを見守っていた美波が駆け寄り肩を貸した。
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〇〇:ふっ、ごめん…また無茶しちゃった。
美波:良いって、謝らなくて…
〇〇:やっぱ、美波みたいに体力ないし、まだまだだな…僕は。
美波:そんなこと…無いよ。
美波が〇〇に抱きつく。
美波:だって、私の為に〇〇は…
〇〇:み、美波…
美波:だから…
〇〇の肩に涙を溢しながら、美波が再び口を開く。
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美波:ありがとう。〇〇が私に笑顔を取り戻してくれたんだよ。
〇〇:えっ…?
〇〇から離れた美波が涙を拭う。
美波:私にもね、小さい時からお母さんみたいに私のことを面倒見てくれた師匠がいたの。
〇〇:師匠…空手の?
美波:そう、普段試合の時は誰よりも強くて、稽古の時は誰よりも真剣に指導してくれてた。
でも、稽古が終わると笑顔が絶えない人だった。だから、皆んなも師匠の近くにいると自然と笑ってたな〜
〇〇:美波の師匠さんが…(まるで、僕の母さんみたいだ…)
美波:師匠が言ってたの、「私はね、空手家として弟子たちに成長もしてほしいけど、それ以上に皆んなが笑っていて欲しい」ってね。
そう語る美波は笑っていた。
美波:だから、いつかそんな師匠みたいになりたいなと思って空手やってきたの。でも、師匠は癌で亡くなってね…それから、どうしたら師匠の言ってたことができるか分からなくなったの…中学に入ると、そんな笑ってやるなんて出来なくなって…
美波の表情が曇り始めた。
美波:今年やっと主将になって、空手部をもっと楽しいと思ってもらえる部にしたかったの。でも、皆んな私が厳し過ぎるって避けるようになったの…やっぱり、私には師匠みたいになんかなれないのかなって、ずっと不安だった。私なんか主将にふさわしくないんじゃって…
〇〇:そんなことないよ、美波は立派な空手部の主将だよ。
美波:え…
〇〇:だって、凄く夢中にさせてくれたんだよ。空手って面白いなって、美波のおかげで思えた。
美波:〇〇…
〇〇:きっと、師匠さんも美波の今の姿を見て喜んでくれてるよ、自分に近づこうとしてる美波を見て。
美波:そう…か。だと良いなぁ。
〇〇:うん、絶対だよ。
美波:なら、〇〇のお母さんもきっと笑ってくれてるよ。自分を目指してくれる〇〇を見て。
美波が励ましのつもりで言った直後、〇〇の目が潤んでいた。
美波:〇〇?
〇〇:…あ、ちょっと目にゴミが…
美波:良いんだよ、泣きたかったら。
〇〇:ち、違うって別に!
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美波:もう、意地張らないの!
〇〇の額に、美波が拳をそっと当ててきた。
その瞬間、〇〇の目から涙が止まらなくなった。けど、そうしながら美波と向き合って一緒に笑っていた。
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暫くすると、夕暮れ時になっていた。
ベンチに座っていた〇〇と美波は、互いの服の首元部分が濡れているのを見合ってまた笑っていた。
〇〇:美波、あのさ…どうしても伝えたいことがあるんだ。
〇〇は姿勢を正して、美波の方を向く。
美波:何?
〇〇:美波と出会えて良かった。初めて美波と会った時、こんな気持ちになるなんて思ってもなかったけど、一緒に美波と過ごすうちに、僕の中で美波が凄く大切な人になったんだ。
〇〇:だから言うね、僕は美波のことが好きなんだ!
〇〇がそう伝えた直後、美波は優しく微笑み、そして…
〇〇:❗️
美波と〇〇の唇が重なり合っていた。
一瞬だったけど、それは2人にとっては永遠に忘れられないものになった。
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美波:私も大好きだよ、〇〇のこと。
そう応える美波の頬が赤くなっていた。
〇〇:美波。
美波:これから宜しくね、〇〇。
美波が差し出した手を〇〇がそっと握る。
〇〇:うん、宜しく。美波。
2人を照らす夕陽は、いつにも増して輝いていた。
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それから〇〇と美波は付き合い始め、やがて大人になった2人は結婚し、2人の子どもが出来た。
〇〇と美波に似て、
強くて思いやりに溢れた男の子と女の子が…
fin.
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