「ぶっ飛んだ美空さんに振り回される俺たち」
(終礼のチャイム)
〇〇:は〜、やっと授業終わった…
康二:お疲れさん、じゃまたな。
〇〇:おう。ってか、先週貸した漫画、早く返してくれよな。
康二:あ〜、悪い悪い!明日返すから。じゃ!
〇〇:(おいおい、昨日も同じ台詞聞いたぞ〜)
そんな親友との他愛もない会話をして、俺は教室から出ようとした。
今日は午前授業で、部活も顧問が体調不良ということで休みになった。
〇〇:(っしゃーー!帰って、溜まっていたアニメ観よっと。)
そう思っていた矢先だった…
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彩:助けてください、先輩❗️
部活の後輩の彩ちゃんが、廊下の向こうから必死な形相で走ってきた。
〇〇:彩ちゃん?
その後ろから、彩ちゃんを追いかけるように美空がやってくる。
美空:彩ぁああーー!わたしの愛しい彩ぁあー!!
彩:きっと、ここ数日間私が風邪で倒れていて、それで会えなかったせいで一ノ瀬先輩は禁断症状が出ているんです💦
〇〇:な、なるほど…とりあえず、そこの教室に隠れて。
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俺が壁となって、彩ちゃんが教室に入るところを美空から隠した。
美空:はぁ…はぁ…彩〜
〇〇:美空!
美空:あ、〇〇。彩はどこ?
〇〇:(おぉ、コイツ急に冷静になるな…怖っ)いや…知らないなあ〜
美空:嘘ぉ〜、さっき近くにいたでしょ?彩の匂いで分かるんだからね。
お前は犬か??
ドスンッ
見た目に似つかない腕力で美空は俺にタックルして押し退いてきた。
〇〇:うぉ⁉️(な、なんて怪力だ…)
美空:あ〜やー!私の彩ぁーー❗️
そして愛しの彩ちゃんを見つけた美空は、彩ちゃんに飛び付くと両腕で抱き締めた。
彩:く、苦しいです…
美空:あ、ごめん!私ったら、彩を潰しちゃうところだった💦
〇〇:お前はゴリラか?
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大好きな彩ちゃんと再会できたからか、ようやく美空は落ち着きを取り戻した。
美空:彩、大丈夫?具合悪くない?無理してない?
彩:もう大丈夫ですよ。
美空:彩が倒れていたのに、私何も出来なくて…だからね、今日彩のためにお弁当作ったの。
美空が手作りしたという弁当のふたを開けて見せた。
〇〇:(凄ッ、てか普通に美味しそうだ。)
彩:え?良いんですか?
美空:うん。
彩:ありがとうございます。
〇〇:なんか、良かったね。
美空:あ、あとね!これに二人のサインが欲しいの。
〇〇・彩:サイン??
美空はカバンから紙を2枚取り出すと、彩ちゃんと俺にそれぞれ渡す。
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渡された紙を見ると…
「婚姻届」
〇〇:・・・これ、なんですか?美空さんよ?
美空:いやね、色々考えたの。可愛い可愛い彩のことをもっと支えてあげられるにはどうしたら良いかってね。それで、まず〇〇がわたしの旦那さ…
〇〇:なれるかぁああああ!!!!!んな、急に!!!!
美空:まぁまぁ、落ち着いてくださいよ〇〇さん〜それで、私と〇〇が夫婦になって…
〇〇:どうしてそうなった!!??んで?
なぜか続きが気になり聞いてしまった…
彩:私をお二人の養子に…だそうです。
横にいた彩ちゃんが苦笑いで言うと、美空に渡された紙を見せた。
美空:ね?良いアイデアでしょ?
〇〇:アホかぁあああああああ!!!!!
彩:一ノ瀬先輩、流石に無理があると思います。
美空:もう、そんなこと言って〜二人とも、ほんとは満更でもないでしょ?
〇〇・彩:色々飛ばし過ぎなんだよ(です)!!!
美空:え、じゃあサイン出来ない?
〇〇:当たり前だ!
美空:彩は?
彩:む、無理…ですね。
美空:そ、そんなぁ〜〜〜〜
バタン!
〇〇:やばい、気絶した…
彩:ど、どうします??
仕方なく、魂が抜けたような目をして倒れた美空を食堂まで運んだ。
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美空:はっ!あれ??
食堂のテーブルで目を覚ました美空の前に、熱々の醤油ラーメンが置かれていた。
〇〇:ほら、美空の大好きなラーメン奢るから元気出せよ。
美空:うぉおおお、神ーーーー〇〇!!!
〇〇:(ほっ、良かった…さっきガチで泡吹いてたからな。)
美空:美味しい〜
ご機嫌になった美空の前に座っていた彩が、美空が作った弁当の卵焼きを口にした。
彩:ん〜すっごく美味しいです。先輩も食べてみてください。
彩ちゃんが俺が頼んだ定食に一口サイズの卵焼きをお裾分けしてくれた。
〇〇:う、うまい。
美空:え?本当に!?
美空が食い入るように聞いてきたので、俺と彩ちゃんは頷いた。
美空:嬉しいな〜!だったら〜
箸を置いた美空が、カバンからまたなにかを取り出してきた。無論、それは…
美空:私たち家族になれば、毎日作ってあげられるよ?
〇〇・彩:なりません!!!!!!
fin.
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