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ギリギリを攻めてくる保健室の先生


この高校に入学して半年、特に何事もなく平凡な毎日が過ぎていった。

と、言い切りたいのだが、一つこの学校には
問題があった。


その問題のきっかけとなったのは、あの日だった。



その日、美術の授業で僕は誤って彫刻刀で指を切ってしまったのだ。

結構傷が深くてかなり出血していたので、急いで保健室に向かい、宮田先生に診てもらった。


愛萌:凄く痛そうね…

〇〇:はい…うっ!

消毒液が染みた。

愛萌:ごめんね、ちょっと我慢してね。

〇〇:はい。

優しい感じの先生だなとしか最初は思わなかった。


傷の手当てが済み、指は包帯が巻かれていた。

愛萌:これで大丈夫よ。

〇〇:先生、ありがとうございます。

愛萌:気をつけてね、今度彫刻刀を使う時は。

〇〇:すいません、気をつけます先生。

愛萌:あ、宮田愛萌よ。

〇〇:ああ、宮田先生ですね。

愛萌:ふふ、愛萌で良いわよ。

〇〇:いやそんな、先生を呼び捨てだなんて…

愛萌:そうかしら?

〇〇:へ?

愛萌:君、名前なんて言うの?

〇〇:あっ、鎌谷〇〇です。


愛萌:〇〇くん、いつでも保健室に来て良いからね。

そう言い残し、宮田先生は保健室から出ていった。


〇〇:(なんか、変わった先生だな…)

としかこの時は思わなかったが…




それから1週間後のこと。


今度は、体育の授業でバスケをしていた時にクラスメイトと頭がぶつかってしまい、額を切ってしまったのだ。

保健室に行くと、宮田先生が微笑んでいた。

愛萌:あら、愛萌に会いに来てくれたの?

〇〇:いや、違いますよ?怪我です。

愛萌:ふふ、冗談よ。凄い血ね、おでこのところが。

〇〇:ちょっとバスケでクラスの子とぶつかって…

愛萌:なるほど〜、戦士の証ね。

〇〇:へ?

愛萌:なんでもないわ。ちょっと待っててね。

先生が手当ての為の道具を用意し始めた。


そして、ピンセットで消毒液をつけた綿を僕の額の傷に先生が近づけた時、

〇〇:痛って

愛萌:染みる?

〇〇:はい…

愛萌:もう少し我慢しててね。

〇〇:はい…?

いつもより、宮田先生のブラウスの胸元が開いているのに気がついてしまった…

〇〇:⁉️

思わず目を閉じた。

その時だろうか?

微かに宮田先生が笑ったのが聞こえた気がした…

まさか、ワザと…

いやいや、そんなワケ…

けど、半ば先生に恐怖を感じた。




日に日に、宮田先生が何故か僕に絡んでこようとしているのを感じた。


帰り道にたまたま先生と目が合った際にはウインクされたりした。

あと、廊下ですれ違った時にたまたま先生の横を通り過ぎた瞬間、先生が書類を落としそれを僕が拾おうとした時、先生と手が触れてしまったのだ。

愛萌:ありがと、〇〇くん。

そう言って先生はいなくなったけど、やはり先生がワザとしたんじゃないかと疑ってしまった。




そして、その疑念が確信に変わる出来事が起きた。


ある日、原因不明の熱で授業がままならなくなり、僕は保健室に向かった。


僕が辛そうに入ってきたからなのか、宮田先生も凄く真剣そうな顔をして僕をベッドに寝かせた。

愛萌:大丈夫?凄く熱そうね…

〇〇:はい…

愛萌:ゆっくり休んでね。

〇〇:すいません、ありがとうございます…


まるで天使みたいな顔をされ、安心した僕はそのまま寝てしまった。


〇〇:…

しばらくして、体から熱さが引いたのが感じられ、だいぶ楽になっていた。

〇〇:(ふ〜、良かった…熱が下がって。)

僕は閉じていた瞼を開けた。



その瞬間、目の前に目を閉じながら口を間近まで迫っていた先生の顔があった。


〇〇:うわぁ⁉️

愛萌:ふふ、驚いた?

〇〇:な、何しようとしてるんですか⁉️

愛萌:何って、キスよ。

〇〇:いやいや、そんな笑顔で言わないでください!ダメですよ!

愛萌:えっ、なんで?

〇〇:いや、なんでじゃないですよ!当たり前じゃないですか!教師と生徒ですよ?

愛萌:大丈夫よ、誰も見てないから❤️

〇〇:そういう問題じゃないです!

愛萌:え〜、じゃあ先生辞める。

〇〇:いやそんな、簡単に職捨てちゃダメですよ。てか、どうしてそこまで…

愛萌:だって〜、〇〇くんが…

〇〇:え、なんですか?

愛萌:その…

顔を真っ赤にしていた。

〇〇:ウソですよね?

愛萌:好き。

〇〇:え?

愛萌:〇〇くんが、好きになっちゃったの。


いきなり告白。


頭が真っ白です。


愛萌:初めて〇〇くんを見た時、そのキュルンってした目が可愛くて、愛萌一目惚れしちゃったの。

〇〇:先生…

愛萌:ふざけてるって思うかもしれないけど…

〇〇:そんな、思いませんよ。

愛萌:え?

〇〇:だって、凄く先生にアピールされてきましたから。放課後でも、廊下ですれ違った時も。

愛萌:〇〇くん…

〇〇:先生が本気なのは、分かってます。でも、やっぱりダメですよ。

愛萌:そう、だね…

〇〇:でも、嬉しいです。

愛萌:え?

〇〇:いつも僕が怪我した時に優しく手当てしてくれる先生が、僕のこと好きって言ってくれて。

愛萌:ふふ、ありがとう。もう熱も下がったみたいね。

〇〇:はい、お陰様で。

愛萌:じゃあ…

〇〇:先生?

愛萌:嘘よ、冗談よ。笑

冗談でも、服を全部脱ごうとしないでください。



そう、学校での問題…


それは、宮田先生が僕を好き過ぎることだ。


fin.




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