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暗がりで黄昏の絵を描く

わたしは寝るしばらく前から部屋の電気を消す。
大切な人の声や息遣いを聞きながら黄昏れる。

暗がりに目が慣れてくると、ふよふよと何かが目の前を泳ぐ。
シーラカンスだろうか。深海。
呼吸の一つ一つが泡ぶくになって見える。

月の白がかった黄色。黄昏。
シャッターが閉まっていて見えないけれど、海原を淡く照らしている。
深海には届かない光でも、不思議なことに感じてしまう。

そんな絵を描いてみたい。ふと思う。
今日も私は黄昏れるだろう。頭の中で描くだろう。
そんな幸せの一枚を大切に心に残しておきたい。

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