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OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 ―その描写について一端を垣間見る―


はじめに

 最初に記事にするものは何にしようかと迷っていましたが、丁度このレンズを購入してから2年程経つ為、このレンズの描写についてその一部を取り上げて紹介や感想を書き連ねようと思います。本稿で挙げる写真は全てOLYMPUS OM-D E-M5 Mark ⅡとOLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8で撮影したものです。

本レンズの概要

 このレンズはOLYMPUS(現OMデジタルソリューションズ)から2014年2月28日に発売されました。交換レンズのラインアップの中ではM.ZUIKO PREMIUMに属しています。公式サイトへのリンクは下記のとおりです。

 本レンズのキャッチコピーはOMデジタルソリューションズのウェブサイトでこのように記されています。

美しい背景ボケを、手軽に楽しめる。高画質標準レンズ

https://jp.omsystem.com/product/lens/single/premi/25_18/index.html

 謳い文句としては、35mm判換算で50mmという標準レンズの画角を、綺麗な後ボケを発揮しつつ、価格や重量や体積といった観点からの手軽さが売りの高画質レンズ、といったところでしょうか……?

紹介と感想

 ここからは本レンズで撮った写真を挙げながら、主にキャッチコピーで触れられているポイントについて具体的に紹介しつつ感想を述べていきます。

後ボケ

 近距離では現代的で癖のない滑らかで素直なボケをしています。下の2枚の写真はそれぞれ開放で撮ったもので、ボケの様子がよく分かると思われます。

絞り優先 f/1.8 1/320秒 ISO-400 -2/3段
絞り優先 f/1.8 1/320秒 ISO-200 -1段

 少し距離を置くとボケは小さくなりますが柔らかくも硬くもない素直なボケ方を維持しています。

絞り優先 f/1.8 1/200秒 ISO-200 ±0段
絞り優先 f/1.8 1/100秒 ISO-200 +1/3段

 下の2枚の写真の様に、少し意地悪をした撮り方をすると、少々騒がしいボケになります。綺麗なボケを謳った高級レンズのボケのような角の取れた滑らかなそれではありませんが、一般に忌避される硬く荒々しいボケではないと思われます。

絞り優先 f/1.8 1/200秒 ISO-200 ±0段
絞り優先 f/1.8 1/5000秒 ISO-200 +2/3段

 蛇足になりますが、本レンズの前ボケと後ボケのバランスの良さは長所だと考えます。下の3枚の写真は本レンズの素直な前ボケが見て取れると思われます。

絞り優先 f/1.8 1/800秒 ISO-200 +2/3段
絞り優先 f/1.8 1/5000秒 ISO-200 ±0段
絞り優先 f/1.8 1/125秒 ISO-400 ±0段

 前後ボケのバランスも中立に近く、癖がなく、特に近距離では滑らかで綺麗な後ボケを本レンズは描写することが出来ます。このような、単焦点レンズに先ず求められがちなボケに関して大きな欠点を抱えていないのはとても好感が持てます。

接写能力

 本レンズは最短撮影距離が0.25mで最大撮影倍率が0.12倍という性能を持っています。35mm判では大したことのない性能ですが、マイクロフォーサーズでは被写体をかなり大きく撮影することが出来ます。具体例を挙げれば、この性能は草木の一部を大きく撮るのに丁度良く、筆者は散歩の最中に見た季節の草花等を撮る際に助かっています。

絞り優先 f/2.5 1/125秒 ISO-200 +1/3段
絞り優先 f/4 1/160秒 ISO-200 ±0段
絞り優先 f/5.6 1/60秒 ISO-2000 +2/3段

周辺減光

 筆者の主観では、本レンズの周辺光量落ちは極端に大きいわけでも全くないわけではないといった、写真にこれを取り入れるにあたって丁度良いと感じられる具合です。例えば、下の写真の様に青空を入れると分かり易く現れます。

絞り優先 f/1.8 1/8000秒 ISO-200 +2/3段

下の写真のような日の丸構図でよくこの周辺光量落ちを活用しています。諄すぎない減光が気に入っています。

絞り優先 f/1.8 1/400秒 ISO-200 +1/3段

 尚、この周辺光量落ちはf/4まで絞ればほぼ解消します。下に挙げる写真はf/1.8とf/5.6での周辺光量の比較になります(f/5.6の方の露出が1/3段アンダーなのはマニュアルで撮っていなかったためで、ご容赦を……)。

絞り優先 f/1.8 1/500秒 ISO-200 ±0段
絞り優先 f/5.6 1/60秒 ISO-200 ±0段

軸上色収差

 本レンズは輝度差の大きなところでは明確に軸上色収差が発生します。特に開放付近では著しく、これをほぼ解消するにはf/4までは絞る必要があります。下の3枚の写真は絞りの変化に伴って軸上色収差が消えていく様子です(露出が若干ずれているのはご容赦ください……)。

絞り優先 f/1.8 1/1000秒 ISO-200 +2/3段
絞り優先 f/2.8 1/500秒 ISO-200 +2/3段
絞り優先 f/5.6 1/160秒 ISO-200 +2/3段

 手持ちの写真に分かり易いものがないため例示出来ませんが、ボケの縁の部分に軸上色収差による色付きが発生します。こちらにも注意が必要です。下の写真はその一例で、後ろの送電線が若干緑色っぽく見えます。画面上ではあまり目立たないかもしれませんが、プリントするとこれが目に付くようになります。

絞り優先 f/1.8 1/1250秒 ISO-200 +2/3段

 

まとめ

 本レンズで発生する軸上色収差は、本レンズの明確な欠点であると考えます。輝度差の大きな場面に於いて、絞りを開けて写真を撮るうえで、ボケを表現として取り入れる代わりに、軸上色収差の発生を受け入れなければならないからです。このような時、筆者は仕方なくボケによる表現をある程度諦め、軸上色収差が発生しないところまで絞りを絞って撮っています。色収差は一度気付いてしまうと、その後、その写真を見る度にずっと目に付くようになってしまうためです。
 しかし、このレンズは掌より小さく150gにも満たない3万円台のレンズです。完全無欠を求めるには酷なことでしょう。寧ろこの体積と質量でこの描写、特に近接撮影時のなめらかなボケを得られることは大きな長所と言えるでしょう。

おわりに

 本レンズは発売から来年で10周年を迎えようとしています。OMデジタルソリューションズが掲げるレンズのロードマップには、後継となるようなレンズは見当たりません。近い将来に後継のレンズがロードマップ上に登場するのか、それとも長期間に亘って販売され続けるのか筆者には分かりません。しかし、最初に紹介したキャッチコピーのとおりのレンズとしてユーザーに長く愛されるように思われます。


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