彼女の歌声

「こんなに仲良し僕達はー、お日様浴びて笑うのさー」

 現在地はシノの部屋の自然区域。畑に実った青いプチトマトへジョウロで水をやりながら、ウナテは小さな声で歌っている。それを聞いていたイサが普段通りの淡々とした口調で問いかけた。

「その歌、覚えたのか」

 ウナテは頷く。

「何十回も聞かされたので、耳に染み付きました」

「……ヨモはしつこかったな」

 イサは数時間前の奇妙な実験を振り返った。
 事の起こりは、どこからともなくヨモが人間の歌を入手してきたことから始まる。ウナテを調査する一環として彼女へ人間の歌を聞かせたいとヨモが主張し、それをウナテの主治医であるシノが受け入れ、その実験を行ったのが数時間前、という流れだ。
 ヘッドホンを装着させられ繰り返し人間の歌を聞かされたウナテだったが、結局何も起こらなかった。ヨモはせっかく入手した遺物が成果を上げなかったのに不満をもらしていたが、長時間の実験はウナテの負担になるとシノに止められ調査は中断している。

 イサとしては、今回の結果は当然に思えた。歌を聞かせたからなんだというのか。彼も興味本位で人間の歌とやらを聞かせてもらったが、特に違和感もない普通の音楽のように感じられた。歌は二分ほどの長さで、男性の歌手が歌っており、歌詞の内容は「皆で仲良くしよう」というありがちなもの。それを一時間以上聞かされ続けたウナテには同情しかない。
 そして今、すっかり歌詞を覚えてしまったウナテが鼻歌交じりに農作業に興じているというわけだ。

 歌が好きでも嫌いでもないイサは、風に混じる彼女の歌声を何となしに聞いている。視界の中のウナテは足元をふらつかせつつもバランスを取って歩いており、柔らかな畑の上でも一人で移動出来ていた。すっかり歩行に慣れた彼女は、最近ではあまり杖を使わなくなっている。
 足の無いウナテの姿を知っているイサは内心感心していた。同時に時間の流れも感じ、それと連鎖していつかの光景も思い出してしまい小さく唸る。回想されたのはウナテの告白。彼女は、自分はもうすぐ死ぬと告げたのだ。
 相変わらず、イサはウナテの未来予知能力を信じられていない。それでいて、彼女の発言を無視する気分にもなれていない。自分で考えるのが苦手な彼は、想定外の告白に動揺し未だに行動を決めかねている。
 自分が何をすべきか迷った時、いつものイサなら真っ先に仲間達に頼る。しかし、このことは秘密にするとウナテに約束したため、誰かに助けを求めるわけにもいかなかった。

 イサは黙り込んだまま、こっそりと彼女の手を見る。彼が焼いてしまった青白い手は既に綺麗に治っており傷一つない。それを見ていると告白自体が白昼夢だったように思え、イサはまたもや混乱してしまう。
 畑の横で棒立ちになって思案に沈んでいた彼だったが、一方のウナテもいつの間にか歩くのを止め、ジョウロを持ったままじっとしていた。彼女は目隠しに覆われた顔で隣を見据える仕草をしている。

「……あの、イサ」

 ウナテはおずおずと口を開くと、持っていたジョウロで注目している地点を示した。

「そこに、何かいませんか……?」

 ジョウロの鼻先が指したのは、先ほどまで彼女自身が水やりをしていた箇所。
 不可解そうな台詞を聞いたイサは意識を現実へ引き戻した。

「何か……」

 イサは呟き、畑を眺める。プチトマトの苗が規則正しく植えられている見慣れた光景が、彼のヘルメット越しの視界に飛び込んできた。
 特に目立った異変はない。小動物か、虫でもいるのだろうか。そう考え畑の中へ分け入ろうとしたイサだったが、途端にプチトマトの一部が大きく揺れたのを見て反射的にウナテへ駆け寄った。

「下がれ」

 言うなりイサは背中から触手を伸ばし、ウナテを素早く抱きかかえる。

「わぁっ!?」

 抱えられた側は驚いた声を上げたが、イサがそれへ気を配ることは無かった。
 彼は不自然に揺れるプチトマトの苗を凝視する。苗はガサガサと音を立て、まるで瀕死の生き物が痙攣しているようにも見えた。
 数秒、イサは苗を見つめていたが、やがて正体に確信を持つと腕を振り上げる。黒い手袋をした手は瞬く間に巨大な怪物の手へ変化し、灼熱をまとって振り下ろされた。ジュッという音を立て苗は潰れたが、彼は念入りに力を込め、グリグリと拳で苗をすり潰す。やがてイサが攻撃を止めた頃、そこには炭の欠片が僅かに残るのみとなっていた。
 周囲に漂う煙の臭いを気にしながらウナテが問いかける。

「……何がいたんですか? 生き物とは違う思念を感じました」

 盲目の彼女は先ほどの不気味な光景が見えていなかったのだろう。イサはウナテを畑の外まで運ぶと、周囲を警戒して答えを返した。

「……魔物だ」

 彼の言葉にウナテは息を飲む。

「魔物……あれが……?」

「おかしい。ここに魔物が出るとは」

 イサは落ち着きなく辺りを見回す。魔物は混沌の力で生物が変異するものなのだから、混沌の発生源のない場所で突然生まれるというのは不自然だ。
 無言のままイサはプチトマトの畑を睨む。幸いにも畑は静けさを取り戻しており、再びざわめきが生まれることはなかった。


 これ以上畑にいるのは危険だと判断したイサは、すぐさまウナテを連れてシノの元へ引き返した。シノは診察室に留まっており、短時間で戻ってきた二人を見て驚いていたが、イサからの報告を聞くと顔色を変えた。

「自然区に魔物が……?」

 呟いたシノの横では、同じく診察室に留まっていたヨモが不可解そうな顔つきで椅子に座っていた。

「しかも目の前で魔物化したってことは、どっからか迷い込んだってわけでもないだろうし?」

 首を傾げている二人を見つめ、イサは改めて疑問を口にする。

「何が起こったのだろうか」

 問われたシノは数秒宙を睨んでいたが、やがて冷静な口調のまま彼へ尋ねた。

「……異変が起こる前のことを、詳しく教えてもらってもいいですか?」

 うながされたイサは順々に状況を説明していく。実験後、ウナテと共に畑へ行ったこと。ジョウロでプチトマトへ水をやったこと。

「歌……?」

 シノが反応したのは、「ウナテは歌を歌って水をやっていた」というイサの台詞だった。シノはウナテへ向き直ると真剣な表情で声をかける。

「ウナテ、歌っていた歌を、もう一度ここで歌ってください」

「はい……」

 素直に応じたウナテは小さめの声で歌い出した。
 しばし歌声を聞いていたシノだったが、やがて懐から小さな機械を取り出すと彼女の口元へ向ける。マイクのように差し出されたそれは手のひらサイズの長方形の端末で、何やら数字が複数表示されたモニターが付いている。不思議なことにモニターの数字は歌が進むにつれ急激に増加していったが、やがてウナテが歌い終わると緩やかに減少していった。
 それを見つめていたシノは顔をしかめる。彼が何も言わないため診察室には静寂が訪れたが、短気なヨモがソワソワし出した頃になって彼はゆっくり口を開いた。

「……恐らく、ウナテの歌声が原因です」

「私の歌が?」

 ウナテが驚いた声を上げた。イサも当然のように疑問を挟む。

「どういうことだ」

「……説明は非常に難しいですね。まだ確信を持って言える段階ではありませんし」

 シノは困った顔になっていたが、そんな説明で納得するはずのない人物が診察室内に一人いる。

「いいから言ってよ! こっちはワクワクしっぱなしなんだっつーの!!」

 大声を上げて抗議したヨモを見てシノは焦った声を出した。

「わ、分かりましたっ。落ち着いてください!」

 興奮状態のヨモを押しとどめた彼は一つ息をつく。しばしシノは眉間にシワを作って悩んでいたが、やがて考えがまとまると自身の推理を話し始めた。

「えぇと……では、まずは……ウナテの思念の濃度が異常に強い、という話は以前にしましたよね?」

「聞いた気がする」

「混沌並みなんだっけか」

 イサとヨモがそれぞれ頷く。二人の反応を見たシノは更に言葉を続けた。

「そして、今回ウナテが口にしたのが人間の歌です。人間とは混沌を制し暮らした生物として伝えられており、その遺物には高濃度の混沌が含まれていることが知られています」

「それでそれで」

 ヨモは続きを急かしたが、それにシノは応えないまま机へ手を伸ばす。引き寄せたのは紙束で、内容は数時間前に行われたウナテへの実験結果だった。

「ここからは先ほどの実験の資料を元にした、私の憶測なのですが……」

 紙束へ視線を落としてシノは台詞を繋げる。

「人間の遺物ともいえる歌を口にしたことで、ウナテの中にある思念が増幅されて混沌化し、それが外部へ影響を与えた……ということ、だと思います」

「そんなん有り得るの!?」

 大声を上げたのはヨモ。シノは若干の迷いを見せつつも頷いた。

「今ウナテの思念を量ってみましたが、歌っている間に急激に濃度が上昇しました。これが生物へ作用すれば魔物化は有り得るかと」

 彼は考え込んだ様子になって言葉をもらす。

「確かに、今までもウナテの近くに思念結晶を置くと思念の増幅が確認できていましたし、遺物で同じ現象が起こったのは納得がいきますね。実体のない遺物でも反応があるとは想定外ですが……」

 ブツブツ言っているシノを見て、ヨモも溜息交じりに呟いた。

「まさか歌うことで効果が出るとはねぇ。聞かせまくっただけじゃ意味なかったのかぁ」

 言って、彼女はウナテを見たが、対するウナテは黙り込んだまま頬に手を当てている。
 シノもウナテへ視線を向けると金色の瞳を険しくさせて声をかけた。

「ウナテ、これからは人間の歌を不用意に歌うのは禁止です。何が起こるか分かりませんから」

 続いてヨモも声をかける。

「あ、でも、私がお願いしたら歌ってね? ちょっと試したいこと思いついちゃった」

「ヨモ……勝手なことをしては困りますからね……?」

「分かってるってぇ」

 ヘラヘラしているヨモ。信用できないといった表情のシノ。そんな二人の会話を聞きながら、イサは無言でウナテを見下ろしていた。相変わらず彼女は黙り込んでおり、何か別のことに気を取られているように見えた。

「……ウナテ、どうした」

 彼が淡白に問いかけると、ウナテは首を傾げてからポツリと答える。

「あの……気のせーかもしれないんですが……」

「えっ、なになになに!?」

 その言葉に真っ先に反応したのは好奇心の塊であるヨモ。彼女に急かされる格好で、ウナテは更に台詞を繋げた。

「プチトマトが魔物化した時……声が、聞こえたんです」

 奇怪な内容を耳にしたイサは低い声で確かめる。

「魔物になったプチトマトが喋ったというのか」

「多分……」

 ぎこちなく頷いたウナテを見て、ヨモは白い顔面に不可解そうな感情を浮かべた。

「んん? 魔物って喋んの?」

 疑問に答えたのはシノ。

「人が魔物化した場合、その初期段階では多少は話せるらしいですが、今回は植物ですから当てはまらないかと」

 彼は改めてウナテへ向き直った。

「どんな声が聞こえたんです?」

 問われた側は短く答える。

「……帰りたいって」

 ヨモは今度はキョトンとした。

「プチトマトが帰りたいって、どこに帰るのさ。ホームセンター?」

 シノも眉間にシワを作って同意する。

「妙な台詞ですね……」

 ヨモはイサへ桃色の瞳を向けると興味深げに尋ねた。

「イサは聞いた? 帰りたいっていう声」

「いや」

 首を振った彼を見て、シノとヨモの困惑は継続する。
 二人が思案に沈んでしまったため、いつも通りイサは回答を待っていた。その静寂を破ったのは疑問を提示した人物。

「あの言葉、聞き覚えがあるんです」

 ウナテが更に言葉を発したことで、またもやそれぞれの心に驚きが生まれた。

「えっ? いつ? どこで?」

 さっそく質問攻めを始めたヨモへ、ウナテは自分の額を指先で撫でて答える。

「ずーっと前……ここじゃない場所……だと、思います」

 その台詞が意味する場所を三人は知っていた。

「……もしかして、天文台?」

 ヨモが発した答えにシノも頷く。

「そのようですね……」

 ウナテが館に来る前にいた場所は、天文台。空間が歪むという異常事態が発生した孤島に存在していたそれは、長い年月が経過した今も取り壊されずに残っている。
 島へ潜入した当初の有様を回想し、イサが天文台に関する記憶を呼び起こした。

「私は天文台で、あの、何とかという大きい魔物と出会った」

「惑、ね」

 ヨモの補足を受けた彼は小さく頷く。

「それだ。その惑とやらが、帰りたいと言っていたのだろうか」

 問われたウナテは数秒ほど無言でいたが、やがて浅く息をついた。

「そー、かもしれません。人の声とは、なんだか違う気がするんです。頭にヒビーてくるというか……キーた瞬間、悲しー気持ちになってくるんです」

三人の会話を聞いていたシノは腕を組んだ体勢になって目を細める。

「これは……何か、大きな手がかりになるかもしれません。天文台が作られた真の目的や、ウナテの正体について」

 彼の発言を聞いた瞬間、ヨモは楽し気な表情になった。

「おおー! ついに手がかりきた!?」

 謎は解かねば気が済まない彼女は、長年の謎が解決する予感に胸を躍らせている。興奮状態のヨモは更に声を上げようとしたが、彼女が何か言うより先に予想外の人物が割って入った。

「ウナテの正体が分かるのか」

 言うなりイサはシノへ詰め寄る。

「わっ」

 反射的にシノは仰け反ったが、それでもイサの追及は止まらなかった。

「シノ、分かるのか。どうなんだ」

「ちょっ、イサまでどうしたんですか!?」

 真上から見下ろされる格好になったシノは椅子に座ったまま固まっている。そんな彼の顔をイサは首を伸ばして覗き込んでおり、強い関心を持っているが目に見えて分かった。
 掴みかかりそうなイサをヨモが押しとどめる。

「シノは手がかりになるかもしれないって言ったんだよ。調べるのは未だこれからだってぇ」

「…………」

 イサは素直に従い、首を引っ込めて元の位置に戻った。ヨモは続けて声をかける。

「どしたの? なんかグイグイいくじゃん」

「……いってない」

 彼は妙な否定の仕方をしたがグイグイいっていたのは明白だった。シノは表情を不思議そうなものに切り替え再度問いかける。

「ウナテの、何かが知りたいんですか?」

「…………」

 その質問にイサは不自然な沈黙を返す。が、彼の頭の回転が鈍いのを知っているシノとヨモは回答を急かさなかった。
 イサは一分ほどの熟考の後、やっと口を開く。

「ウナテは、どうしてこうなったんだ」

 やや漠然とした問いかけだったが、彼の扱いに慣れているシノは適切に話を聞きだした。

「えぇと……どうして顔に穴が開いて、虹色の光が生まれたのか、ということですか?」

「……ああ」

 イサの返事を聞いたヨモは納得したようにウナテを見上げる。

「なるほど。イサは虹色の光とかいうのが大好きだもんね。そりゃあ気になるか」

 シノもイサの意図を理解したものの、現時点で答えを示せるはずもない。

「そ、そうですね。その点についても、これから調べていきましょう」

 そう言って、シノは今回の件をまとめた。

「…………」

 対するイサは返事をしなかったが、それでいて不満をアピールすることもない。彼の視線は隣に立つウナテへ向けられており、仲間二人の会話に注意を向けてはいなかった。


 病室兼私室に戻ったウナテは分かりやすく溜息をつく。

「はー……」

「どこか辛いのか」

 扉を閉めながらイサが訪ねると、彼女はもう一度溜息をついてから答えを返す。

「畑に行けなくなったのが残念なだけです」

 魔物が発生したプチトマトの畑はシノの判断により立ち入り禁止となった。ウナテから放たれた混沌は畑全体に影響を及ぼしており、あと少しでも混沌の濃度が高まれば魔物が大発生する状態になっていたのだ。
 イサとしては、生まれたての魔物など百匹いても敵ではないが、土地の所有者であるシノから使用禁止を言い渡されては抵抗する術はない。

「しばらくすれば混沌の濃度が下がるとシノが言っていた。そうなったら、また行けばいい」

「はーい……」

 イサの言葉を聞いてもなお、ウナテは不服そうな態度でいた。彼女は荒い仕草でベッドに腰かけると自力で靴を脱いでいく。何度も繰り返してきた日常的な動きはスムーズなもので、目が見えていないとは思えないほどの速さでウナテは作業を終えてみせた。
 現れた青白い足に五本の指が生えているのを、なんとなくイサは眺める。この足が一度は失われ、そして再生したなど、多くの人は信じないだろう。
 次にイサは視線を上げ、ウナテの顔を見据えた。目隠しに覆われた顔の中心には大きな穴が開いていて、中に虹色の光が宿っているなど、これも多くの人は信じないに違いない。

「……ウナテ」

「なんでしょー?」

 名を呼ばれたウナテはイサへ顔を向ける。イサはベッドの横の椅子に腰かけると、淡々と彼女へ問いかけた。

「ウナテから虹色の光を取り出せれば、ウナテは助かるのか」

「……なんですか、キューに」

 ウナテは声に不可解そうな感情を滲ませる。イサは考えつつ憶測を伝えていった。

「ウナテは頭がだんだん痛くなって、それで死ぬと言っていた。それなら頭から虹色の光を取り出して、普通の頭にすれば、死なないんじゃないのか」

 ヨモが言っていた通り、先ほどイサが関心を示していたのは虹色の光について。しかし、関心の理由は「好きだから」だけではなかった。
 彼の話を聞いたウナテは未だ不安げな様子でいる。

「んー……そんなこと、できるんでしょーか……」

 イサは若干強い口調になって台詞を続けた。

「さっきシノは、ウナテの正体が分かるかもしれないと言っていた。だから、もしかしたら、ウナテの頭の中にある虹の正体も、分かるかもしれない、と思った」

 普段あまり思考しないタイプの彼は一生懸命に言葉を並べる。

「そして、正体が分かれば、取り出す方法も分かるんじゃないかと、思った」

 黙って話を聞いていたウナテだったが、少し間を空けてポツリと呟いた。

「……そんなホーホー、あるんでしょーか」

 イサは確信を持った態度で頷く。

「シノとヨモはとても賢い。何か見つけてくれるかもしれない」

「…………」

 ウナテは何も返さなかった。それは期待していない気持ちの表れだったが、空気を読むのが不得意なイサは気づかない。彼は自身の中に生まれた希望を信じ切り、安堵すらしてしまっていた。

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