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ひとり水泳大会の思い出


女として生まれて来たからには
チューブトップを着てみたい

みなさんはそう思ったことはあるだろうか?
私にはそんな20代があった

そして全くチューブトップに縁のない女に
それを着るチャンスがやって来た

友人の結婚式

一張羅を買いに行くと
絶対的に私に似合うドレスと
憧れのチューブトップのドレス

どうする私

…悩みに悩んだ末に私は後者を選んだ

憧れのチューブトップ
私は浮かれに浮かれていた

モテちゃったらどうしよう
モテちゃうしかないでしょう

ただ私には胸がなかった
チューブトップを胸の上で留めておけるだろうか

「ポロリしちゃったらどうしよう」

そんな不安要素もありつつ、冗談を言いながら
友人と共に会場に向かった

とても良い結婚式だった
何回泣いたかわからないくらい
おめでとう友よ

同級生達との久々の再会も相まって
2次会はお酒も進んだ
それはそれはとても楽しい夜だった

しかしその時は突然訪れた

私たちが飲んでいる横から、足元がおぼつかない程酔っ払った中年男性が歩いて来た

後から後輩らしき男性2人が心配そうについて歩いている

めちゃくちゃ酔っ払ってるなこの人…
と思った次の瞬間

その男性がバランスを崩し私のところに倒れ込んできた

.............…

友人が悲鳴を上げている

…何が起こったのか

..............

私のチューブトップは
胸の下にあった

本来は胸の上にあるはずのチューブトップが
胸の下にあった

ショッキングピンクの下着が
露わになっていた

まさかのショッキングピンク
黒のドレスの下は
まさかのショッキングピンク

友人が一瞬のうちに
元の位置に戻してくれたが
そこからの記憶が全くない

私の憧れのチューブトップデビューは
こうして幕を閉じた

大切な友人の結婚式にポロリしてしまった
というひとり水泳大会の思い出



#創作大賞2024
#エッセイ部門

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